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うちのAIが転生させてくれたので異世界で静かに暮らそうと思ったが、外野がうるさいので自重を捨ててやった。  作者: 藍染 迅


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第47話 ニュー・ダンジョン発見。田舎のラブホみたいだね。

「後は、各種魔法スキルがメジャーですね」

「ショップ店員みたいな薦め方だな、おい?」

「しかし、この世界の法則に存在しない魔法をどうやって発現しているニャ?」


 アリスさんが学術的な質問を発する。俺としては「使えるんならそれでオッケー」なのだが。


「我々は4次元生命体ですので、魔法などのスキルも4次元的な時空につながっています。『この世界』の法則に存在しなくても『あの世界』では使えるということです」

「なるほど。納得ニャ」

「えーと、『あの世界』って言うと略して『あの世』?」


 あんまりお近づきになりたくないですからねぇ。あちらの方とは。


「『死後の世界』という意味でしたら、それも数ある『あの世界』の内の1つです」


 簡単に言ってくれるね。4次元生命体の感覚は人間と違うのかもね。違っていて当たり前か。


「武術スキルなんてのはあるの?」

「そういうのは割とオーソドックスですよ? 趣味で『経験』とか『知識』をデータベース化しているダンジョン・マスターがいますから」

「そのデータをインプットすれば、達人になれるわけ?」

「その通りです。どんなスキルをデータベース化しているかは、ダンジョン・マスターの性格次第ですね」


 いいねえ。「I know Kung Fu」とか言ってみたいじゃん。


「だったら、生産系スキルも同じ流れで行けるか」

「はい。そっち系のデータを好んで収集しているDMもいますね」

「『DM』?」

「ダンジョン・マスターの略ですね。直メではありません」


 こいつちょくちょく前世のネット文化なんかをぶち込んで来るね。どうも俺の頭の中身をのぞいてる感じがする。なにせ4次元不思議生物だからな。何ができても不思議じゃない。だって元々不思議なんだもん。


「ところで、そもそもの話なんだけどさあ」

「何でしょうか?」

「すべてのダンマスが同一個体の分身だとすると、お前を討伐した時点で全員倒したことにならないの?」

「それは1つ倒すと全部ボンって消えるタイプの分身ですな。ウチの場合は全員が個別の意思を持って動くタイプの分身なので、本体が複数あるのと変わりません」


 ふうん。クローンみたいなもんか。


「物は考えようか? それぞれが本体だから、個別に討伐報酬(ボスドロップ)があるわけだしね」

「素晴らしいポジティブ・シンキングですな。日本語に訳すと『能天気』」

「訳語の選び方に悪意があるな!」


「それより、お前は良いわけ? 自分の分身を倒しに行くことになるけど」

「古来、自分との闘いこそ強者が最後に乗り越えなければならない試練でありましょう」

「お前、本当に言うことが面倒くさいな!」

「テイムされた瞬間からマスターの精神に一方ならぬ影響を受け続けております」


 うっせぇわ! 俺は面倒くさくないですぅ―。性癖が少しこじれてるだけですぅ―。

 はぁはぁ。


「と、とにかくだ。ダンジョンが同心円状に分布していると仮定して、近場から順繰りに調査して行こうか」

「順番にポイント登録して行けば、活動拠点を増やしながら討伐を進めることが出来るニャ。悪くはないニャ」

 

 それじゃあ今晩はみんなゆっくり休みましょう。俺はぬる燗で晩酌ね。


 ◆◆◆


「あのね、昨日寝ながら考えたんだけどね」

「唐突ニャ。何をと聞く前に、寝ながらは考えられないニャ」

「睡眠学習法なのかしらね。朝起きたら思い付いちゃったのよ」

「何の話ニャ?」


 大事な話なんですよ、これが。ダンジョン討伐遠征の成否にかかわるというか、世の中に革命を起こすというか。


「我々の移動方法なんですけど」

「どうかしたニャか?」

「ダンマスがオープンできるダンジョン入り口って、東京ドーム1個分ですよね?」

「そう聞いたニャ」

「じゃあ出口は?」

「……へ? ニャ、ニャんだとおおおおー?」


 そうなのよ。入り口が東京ドーム1個分なら出口だって東京ドーム1個分でしょ?

 東京ドームの端から端まで何メートルあるんですか?


「答えは約200メートルニャ……」


 でしょ? だったらさあ、200メートルの「こっち端」から入って「向こう端」に出してもらったら、それだけで200メートル移動できちゃうよね?


「1秒間に200メートル移動したら、時速何キロ(・・・・・)よ?」

「時速720キロニャ……」


 ですよねぇー。新幹線の営業運転最高速度が320キロでしょ。その2.25倍ですよ。


「これはリニア新幹線を個人で持っているようなもんニャ」

「しかもどこにでも行けるわけですよ」

「ジジイ、何という掟破りな発想を……」


「これが寝酒にぬる燗を5合飲んだ効果です!」

「嘘を吐け!」


 とにかくトーメー探検隊は高速移動手段を入手したわけですよ。


「しかも、途中地点はすべて移動ポイントとして登録できるから、次回からは正に瞬間移動ができるわけですよ」

「踏んだり蹴ったり、じゃなかった、至れり尽くせりニャ」

「これは遠征が楽しくなるじゃありませんか」


 ダン・増田を呼び出して聞いてみると、さらにとんでもないことがわかった。


 俺たちが出たり入ったりする必要すらないのだと言う。ダンジョンとして入り口~出口を尺取り虫のように移動させていけば、俺たちをダンジョン内に置いたまま出入り口を移動させることができるらしい。


 しかも1秒間に240回。


 これも俺がそのくらいできるんじゃないかとイメージしたらしい。こうなると時速に換算するのも怖いのだが、その速度は時速17万2千800キロに相当する。


「ICBMの最高速度を超えているニャ……」

「凄すぎて良くわからんのですが、100キロ移動するとしたら何分掛かるの?」

「2秒ニャ」

「うひょー。ほぼ瞬間移動じゃん」


 だよねえ。かの有名な「ど〇でもドアー」だって、「ドアーを開ける→入る/出る」で2秒は掛かるでしょう?

 100キロ以内の場所なら事実上「ど〇でもドアー」ですよ、これ。

 

「便利な世の中になりましたねえ」

「世の中は変わってニャイわ!」


 蒸気機関もガソリンエンジンもすっ飛ばして、いきなり究極の移動手段が確立されちゃいました。

 しかもカーボン・ニュートラル。だって燃料を燃やしていないんですもの。


 それでは実際にドライブしてみましょうということになって、一番近いダンジョン候補地に向かって出発したら、2秒で着いた。


 アリスさんが何やら測量の結果、目的地周辺に間違いないことを確認。GPSがないと不便だとブーブーじゃなく、ニャーニャー言ってたが、結果問題なし。余裕ができたら、GPS打ち上げよう。


 当地は一面荒れ野原で何もない。これなら誰に気兼ねなくドンパチやれるよねということで、このまま探索続行を決定した。さて、ダン・増田の出番だぞ。

 やることはアホみたいに単純だ。


 同心円状のポイントで「東京ドーム1面分」、つまり直径200メートルの円状に垂直なダンジョンを形成する。その時に他のダンジョンの反応があるかどうか? これがダンマス式ダンジョンレーダーだ。


 その間俺はグランピング風に拠点を設営し、優雅にアウトドアを満喫する。本来満喫とはアルコール度数6%以上を言うが、本日もお仕事モードにつきノン・アルコールだ。


 上等なコーヒーを、「美味しくなれー、美味しくなれー」といいながら入れた奴を頂く。

 これはこれで、悪くはない。寂しくなんかないやい。


 2杯目のコーヒーが半分に減った頃、ダンマスからダンジョン発見の連絡が入った。


「やれやれ。お仕事の時間ですか。今回は依頼じゃないから報酬ゼロなんだよね。スキルオーブとかドロップ品で稼がなくちゃ」

「うちも慈善事業とちゃいまんニャで、きりきり取り立てさせてもらいまひょ」


 これでも世のためにはなるから、善行だよね。そう、善行。プラスのカルマでございます。

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