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うちのAIが転生させてくれたので異世界で静かに暮らそうと思ったが、外野がうるさいので自重を捨ててやった。  作者: 藍染 迅


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第28話 第一モンスターは定番のアイツでした

 作戦会議の結論を反映するため、俺たちはダンジョン攻略を1日先延ばしした。その間に地下工場はフル操業で武器の生産に励んでくれました。


「壁役」ゴーレムチームの一部はポーターとして、装備や食料など遠征に必要な荷物を運んでもらうことになった。ミニ幌馬車隊みたいな感じでカートを引いてもらう。

 カートを引くという役割、つまり牽引力が重要というので、ゴーレムは4足歩行タイプになった。


 あれ? だったらアロー君を連れて行っても良かったんじゃない? えっ? ゴーレムは使い捨てだし、狭いところでは分解可能? そりゃまた親切設計だこと。テレビショッピングがあったら、ガンガン売れただろうな。


 舗装された道ではないのでゴムタイヤを履かせたカートでなければすぐ動けなくなる。オーバーテクノロジー使い放題の我がチームでなければ無理な作戦だ。ロボットを使ってる段階で今更だけど。


 魔法防御を主目的とした「催涙弾」と「スタングレネード」もゴーレムチームの装備となった。身長2メートルもあるからね。いろいろ内蔵できちゃうわけだ。ちなみにマイクロ原子炉も内蔵ね。クリーンなタイプなのでご心配なく。


 最後にこれまた魔法防御に攻撃を兼ねた「液体窒素弾」を俺が装備することにしてもらった。これはリクエストで、わざわざ携帯可能な銃の形にしてもらった。


 そうしないと、俺の出番が無くなっちゃうの!


 一応、白兵戦用武器の「高周波ブレード」も装備する。こちらはハルバード型としてもらった。

 モンスターが相手でしょ? できるだけ距離を取れた方が良いかなって思ったわけです。


 以前から用意していた物もあるらしいが、これを一晩で整備した我が地下工場の生産力ってすごくない?

 アリスさんの本当のすごさは戦いではなくて、こういうところにあると思う。


 世が世なら、地球上のネットワークをすべて乗っ取ってAIによる支配を実現できるお方だったわけですから。

 ……そんなの前世でバレてたら、無期懲役刑にされてたな、俺。老後の趣味はよく選ばないといかん。今世では釣りくらいにしておこう。


 ◆◆◆


 仕切り直して明くる朝、「勝って来るぞと勇ましく」俺たちはダンジョンへと出発した。


 街外れの酒屋がダンジョンを攻略するらしいと噂になっていたらしい。沿道には暇人たちが見物に来ていた。屋台が出ていたりして縁日気分だね。俺もそっち側に回りたいんだけど。


 折角だから、串焼きとか、お好み焼き(?)的な粉もんとか、C級を通り越してD級くらいじゃなかろうかという食い物をしこたま買い込んだ。


 いえ、アイテムボックスもインベントリもありませんよ? そういうのはダンジョンでスキル・オーブに期待してます。現状は、冷凍冷蔵庫に電子レンジね。カートに内蔵致しました。何しろ電力は使い放題なので。


 人気の的はオレ様……じゃなくて、本邦初公開のゴーレム軍団だった。造形デザインはドラ〇エ的な物をリスペクトさせて頂いたので、中二心をくすぐるロマンが溢れておりますぞ。表面は泥だけど。


「頑張れー」とか「酒寄越せ―」という温かい声援に送られて、俺たちはこんもり盛り上がった地面にわざとらしく空いたダンジョンの入り口を潜った。


 入ってみるとまるで酒蔵に入ったようにひんやりとした空気が肌を撫でる。夏場は避暑地に良いかも。

 内部は「自然型」の迷路になっていて、洞窟の途中に横穴があったり、分岐した通路がつながっていたりという構造だった。


「あー。こりゃマッピングが大変なタイプだね。距離とか形に規則性がないヤツ」


 ウチにはアリスさんがいますからね。どんな形状だろうと、言うたら3次元形状であろうと、完璧にマッピングしてくれますよ。3Dで脳内投影可能だしね。便利な世の中になったもんだ。ウチだけ?


 トーメー探検隊はゴーレムロボットを先頭に進んで行った。


 ちなみに、ゴーレムたちにも愛称を付けた。懲りたので個体名は止めたけど、チーム名を「泥ボー隊」と名付けた。人聞きが悪い名前になっちゃった自覚はあるが、直す気はない。


「泥ロボット」→「泥ロボ」→「泥ボー」という3段活用で現在に至る。「ドロロボ」って「ロ」が重なるから言いにくいのよ。まあダンジョン側から見たらウチって泥棒みたいなもんだし。


「ネーミングセンスに関しては呆れを通り越して、尊敬すら覚えるニャ」


「えるニャ」「えるニャ」「えるニャ」……って、エコーが掛かるね。洞窟の神秘的な雰囲気が溢れておりますぞ。


 ダンジョンが「謎空間」だなと認識させられるのが、内部の明るさだ。洞窟全体がほんのり光っており、たいまつやランプを使わなくても行動に支障がない。ウチはヘッドライト照らしているけど。煌々(こうこう)と。


 ピコーン、ピコーン……。


「おっと、罠第1号ですか?」


 床の真ん中にトリガーとなる構造が発見されたらしい。さすがX線カメラと金属探知機。泥ボーが良い働きをしています。

 罠を発見した場合は折り畳み式のスロープを上から被せて、カートの通行を可能にする。


 床ごと崩落なんて洒落にならん。石橋は非破壊検査してから渡れと言いますから。


 そうこうする内、通路先方に第一村人発見。あ、第一モンスターか。

 えと、総数は3体ね。


 ギュイーン、ギュイーン……。


「警報発令! 総員戦闘配置に付け! コンバット・ポジション!」

「ま゛!」


 ジャキーンというmp3ファイルを再生しながら、泥ボー2体が前に出た。通路の広さ的に並べるのはこれが限界だ。残ったドロボーは足を前後に開いて「壁」を作る。


 敵は「ダンジョンと言えば」でお馴染みのスライムであった。ぷよぷよしたライトブルーの物体。

 うーむ。不思議空間だワー。


 距離が近づいたことで敵認識されたらしく、スライム3体はずりずりと床を這って迫ってきた。

 うーむ。「早く人間になりたーい」と叫びたい。


 ここのスライムはあれですな。割とスライミーなタイプ。水分が多くて平たい感じだ。ぽよんぽよん跳ねたりしないのね。いや、愛玩動物化とか狙ってませんよ?


 一応テストはしますけどね? ほら、データってやつを取らないと。


「ニャー、結果報告。1体目、物理攻撃10発目で活動停止。いわゆる「核」らしきものはニャく、単純に物理耐性が高いらしいニャ」

「切っても2体に分かれて襲って来るね。地味に剣士泣かせかも」


「ためしに泥ボー1号を襲わせてみたところ、接触面から溶解液を放出することを確認」


 取りつかせると厄介なタイプね。お肌の敵って、やだわー。


「溶解液の成分は濃硫酸ニャ。良い子は素手で触ったりしニャイように」

「うぉい! 雑魚キャラの割に危険すぎるだろう! 冒険者の大半は溶かされちまうぞ?」


「実験体2体目」

「早くも実験動物的な扱いをしちゃうのね。危険性外来生物だけどが」

「火炎放射5秒で破裂。再生を認めずニャ」


 まあね。水分とか濃硫酸とかを急激に加熱したらそういうことになるよね。良い子は真似しないように。


「実験体3体目」

「ちょっと可哀そうな気がしてきた……」

「ナノマシン移植を実施。拒否反応なしニャ」

「あ。ペット化……じゃなかった、式神化にチャレンジしてくれたのね?」

「爺は何でも生き物を拾ってきそうな勢いニャ」


 そんなことないって。爬虫類は苦手だよ。


「結果はシンプルな脳組織を発見し、制御に成功したニャ」

「おっと、いきなりテイムですか? 仲間になりたそうにこっちを見たりしてなかったのに」

「放課後の校庭みたいなことは起こらにゃいニャ」


 しかし、この結果の意味するところは大きい。ダンジョン内部のモンスターであろうとも、ナノマシンを植え付けて式神にできるという可能性が高い。これなら「モンスター王国」じゃなくて、モンスター軍団を支配下に置いて楽々ダンジョン攻略ができるかも?

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