「弱音」と「強がり」
今まで
ぼんやりと観えていた
「それ」は
ある時を境に
よく観えるようになったんだ
時に笑い
時に怒り
時に悲しみに満ち
時に何かを祝う
まるで
お祭りのような
そんな空間
いつ観ても
飽きる事のない
儚くも
素敵な空間
夢見る空間
憎しみに満ちた空間
彩り豊かなその空間
その空間を
僕は唯
そう
唯々眺めていたんだ
今までよく観えず
ぼんやりと観えていた「それ」
「それ」が
はっきりと観えるようになってから
すぐの事だった
** さぁ 選びたまえ **
どこからともなく
響き渡る音
感じられるものと言えば
何かの使命感である
「それ」
に映るイメージは
今までに感じていた
感覚的なものでは無く
「人」そのものであった
窓のような
穴のような
何とも言えない
言いようのない空間で
その空間の隅で
唯々「それ」を
僕は観ている
「それ」に映る「人」
笑ってる人
泣いてる人
悩んでいる人
自分勝手な人
数え切れぬほどの「人」が
「それ」には映っていた
** さぁ 選びたまえ **
またも
響き渡る音
その音に導かれるように
「それ」に映る「人」も
幾度となく変化していく
己の感情のままに
己の思うままに
唯々「それ」を眺める
ただ
なぜだろう
笑っている人
悩んでいる人
身勝手な人
そんな人々に感情は揺れず
泣いている人ばかりに
感情が揺れる
なぜだろう
悲しそうな人
泣いてる人
そのような「人」ばかりに
感情が揺れるのだ
なぜだろう
ただ感じることは
悲しい思いを
して欲しくない
唯々そう感じるのだ
** さぁ どちらにする **
その音と共に
「それ」には
二人の女性が映っていた
一人は常に弱音を吐き人前で泣く女性
一人は常に強がり一人になると泣いている女性
その二人の女性を
唯々眺め
悩むというよりは
唯々決めあぐねている時だった
何かに押される感覚が走った
「うっ」
その刹那「それ」に吸い込まれていた
気付いた時には
霧が視界を遮っていた
霧が徐々に晴れたその時
今まで見ていた「それ」に映る
「人」が居たんだ
目の前に
そう
僕の目の前に