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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『男は全員ロリコンでスケベに決まってんだろ!』超超偏見探偵の偏見!

作者: ヒロモト

「C」


そう言うと探偵はテーブルの上に足を乗せて腹の上にパソコンを乗せて何やらカタカタと弄り始めた。

『真面目に考えろ』と怒鳴ってやりたいところだが、この『偏見探偵』の言うことはかなり『当たる』。

人に騙され続けたトラウマから超ド級の偏見男になってしまった探偵は『偏見を捜査の邪魔』と考える私たち警察関係者とは本来水と油。

良くない事なのは分かっているが、私はついつい難事件があるとこの探偵の所に来て相談をしてしまう。


「なぜCだと言い切れる?」


「嘘をついているからだよ。分からない?」


「嘘……か」


よし。この『地下アイドル殺人事件』をもう一度簡単に振り替えって見よう。


被害者は地下アイドルをしている『るぅ』。

本名は春子。

19才だと公言していたが、実年齢は23。

23でも若いのに年齢を偽るのが理解できない。

おっとそれは関係ないな。

その春子が自宅マンション六階から突き落とされて死んだ。

警察がピックアップした容疑者は三人。

いずれも動機がある。




容疑者A。30代男。SNSで春子にしつこく絡み、当日は『個人撮影会』で春子に会った。

セックスを目的にしていたが断られSNSに怒りの悪口を大量に書き込む。

アリバイは犯行時間はメイド喫茶にいた事。

これは店員に確認を取っている。



容疑者B。50代男。SNSで春子と交流があった。

当日はセックスを目的に『支援』の為に春子と会った。

結果金だけ取られた。まぁ体よく春子にたかられた訳だ。

ウェブマネーやチケット。大量の在庫グッズを売り付けられたと証言。

アリバイ有り。犯行時間は中古アダルトショップにいた所をカメラに捉えられる。

余談だがロリコン物のDVDを買っていた。

 


容疑者C。36才女。これが探偵が犯人だと疑っている『曽根美知子』だ。

去年まで被害者とはSNS上で激しい『舌戦』を繰り広げていたが和解。

その後の関係は良好。事件当日に会うことになっていた。

アリバイ有り。犯行時間は公園で買ってきた小説を読んでいたと知人が証言。


「わからん。被害者は突き落とされたといってもベランダには当然手すりがあったんだ。持ち上げてから落とさねぇと。力がないとな。動機から見ても男二人の方が怪しいと思うが……」


「バーカだなぁ!若い女がよく知らんクソキモいロリコンおじさんを部屋に入れる訳ないっしょ!?」


「いや。まぁ。それは偏見であり正論かもだが……」


「男二人はアリバイが素晴らしいよ!変態に相応しいアリバイ!変態だからこそ信じられる!」


ひでえ言いようだ。偏見を語る時の探偵は実に楽しそうだ。


「それに比べて女のアリバイ!これはひどい!女が公園で本なんか読むわけないでしょ!?読むとしても薄っぺらいファッション紙か漫画ってとこでしょ!?ねっ?ねっ!?」


「お前……いつか女に刺されるぞ……」


「なので急いでこの人を保護して」


「……?」


探偵は急に真顔になった。どうやら本気の様だ。速やかに部下に様子を見に行かせよう。

私はスマートフォンで連絡をした。

理由も聞かず……私はこの男を信頼しすぎているのかもな。


「曽根美知子のネット周りをざっと洗ったよ。美知子のアリバイを証言したこの知人の男は未婚の40代。『裏垢』を手当たり次第フォローしてる。こりゃひどい。セックス出来たらもう誰でも構わないって感じ」


探偵はこの男がセックスを交換条件に嘘の証言をしていると推理(偏見)した。

完全なる偏見だがもしそれが事実となるとそんな男が『一度のセックス』で満足するとは思えない。

要求はエスカレートする可能性もあるな。

なるほど保護が必要だ。


「おい!この数字!これはかなり危険だ!速く真犯人を追い詰めないと!」


「なんだい?こりゃ?『真犯人』?」


フォロー5。フォロワー1502→フォロー77。フォロワー1580。


「見てよ!美知子のSNSアカウントだよ!この数字は『被害者と喧嘩していた時と仲良くなった後のフォローフォロワーの変化』だ!えらいこっちゃ!」


探偵はイライラしながらある投稿を見せてくれた。

美知子の『かなり』加工された写真だ。


『#美男美女と繋がりたい #いいねした人全員フォロー』


はぁ。こんなタグがあるんだねぇ。……で?何だろう?


「おい!しっかりしろよ!自撮り女はプライドが高いんだ!この数字を見てわからないか!?」


「わからん」と言うと探偵はイライラしながらも説明してくれた。


「美知子のフォロー数には絶対的な法則がある『フォローは必ず5人まで』。SNSを始めて5年間もだ。クソつまらないゴミみたいなプライドだよ。フォロワーが多く、フォローが少ないことを誇りに思ってる。は?なにそれ?」


「それは何の意味がある」


「ない!いいから聞け!」


美知子は#いいねした人全員フォローとタグを付けた投稿をしてはフォロワーを増やしフォローはしない。

それを5年も続けていた様だ。

だが『美知子と被害者が仲良くなって』からちゃんといいねした人をフォローしている。

……つまり?


「これ。途中から美知子じゃなくて『他の誰か』が投稿してる。つまり犯人は美知子じゃなくてイケメンの彼氏だろう。しかもかなり年下の」


「なにぃ!?」


SNSの投稿を見ただけで何故わかる!?推理か!?いや……偏見だろう。


「そいつが真犯人だよ。年の頃は25~29?」


「真犯人って……犯人は美知子じゃないのか?」


「違うってんだろ」


探偵の推理……いや。偏見は酷かった。


美知子のアカウントは美知子の年下の彼氏が使っていた。

彼氏は美知子のフリをし、会う約束をして虎視眈々とるぅを狙っていた。

何故彼氏が美知子のアカウントを使っていのが分かったか?

探偵は『余程惚れてなきゃここまでセコセコフォロワーを増やしたアカウント使わせない』との事。

彼氏が年下でイケメンだと分かった理由。


「年下でイケメンじゃなきゃ庇わない。イケメンじゃなくても金持ちだったら庇うかもだけど……金があったらもっとお金を使ったいいアリバイ作りがあるはずだよね。彼氏だって彼女が犯人にされたら自分に捜査が及ぶんだから。何より『若いイケメンだから』るぅは騙されたと分かっても男を部屋に招き入れた」


そう……なのか……なぁ? 偏見じゃないかな? ……偏見か。


「浮気目的で自分のアカウントを使って若い女を殺した男を何故庇うか?そりゃ36で年下のイケメンの彼氏がいたら結婚まで逃がしたくないよ」


「いくらなんでも偏見じゃないか?」


「俺はお前が来てからずっと偏見を言ってるんだが?推理が聞きたきゃホームズ先生のとこへ行け」


「……そうだったな。ちなみに彼氏の年齢はなぜ分かる?」


「んー?男は全員ロリコンだからるぅより年上は間違いない。そして美知子より年下だから……その辺だろう。美知子も彼氏が30代だったら庇わなかったかもね。20代って男女問わずブランドだから。ぜーんぶ偏見だけどね!『他にいい男がいる』。美知子にはそう言ってごらん?」





その偏見は全て当たっていた。

美知子を保護する際に笑い話のつもりで探偵の話をし、あの台詞。『他にいい男がいる』と彼女に言うとあっさりと吐いた。

警察を一人で騙し続けるのは予想以上に疲れたのだろう。彼氏と嘘の証言をした知人を捕まえ何ともあっさりと事件は解決した。

探偵の偏見や恐るべし。決して理論や知識や常識やましては推理ではない……が時に偏見は正義に繋がる。

あの探偵の場合。その打率がすごい。

確証なしに断言しやがるんだもんなぁ。


今日も私は探偵の所へ足を運んでいる。


ある漫画家の事件について相談するために……。

きっとまた過激で辛辣な偏見を聞かされるのだろうが、私は少しワクワクしている。


私は偏見が好きなのかもしれない。


……刑事としてそれはかなり危険なのは解っているんだが。
















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― 新着の感想 ―
[良い点] 偏見だらけの推理、楽しかったです。
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