順逆関係
●「おはようございます。カウンター攻撃ですね」
〇「え?かなりいきなりですけどカウンターですか」
●「カウンターと言えばこうやって、こういうやつやん?」
〇「うん。まぁ、見えてないですけどね。活字の限界を超えて視覚に訴えかけてきるなこの人」
●「クロス的な奴は特にかっこいいですよね」
〇「もう、主観でしかないことに気づいてくれないかなぁ」
●「そのカウンターなんですけどね。『反対』『逆』的な事じゃないですか」
〇「唐突に本題か。まぁ『逆に』的なね。攻め手がいて受けてる側が反撃というか攻める。順があってそれに対しての逆的な」
●「それ!」
〇「で?」
●「カウンターってさ。その順的なものありきやん?」
〇「まぁ、そうやね。先に攻めてる側がいてこそのカウンターやからね」
●「って事はさ。順的なものが無ければ無いし…」
〇「そらなければ無いよね…ただの攻撃やな」
●「逆に順的なものさえあれば必ず存在するんじゃないかと」
〇「ほう」
●「カウンターカルチャーってあるじゃないですか」
〇「急転直下文化的なお話?」
●「カウンターカルチャーのカウンターカルチャーってのもあるじゃない?」
〇「まぁ、ありますね。所謂歴史は繰り返す感じですな」
●「そのカウンターカルチャーのカウンターカルチャーに対するカウンターカルチャーってあって」
〇「ややこしいですけどね。そもそも、ギリシャ神話でもウラノス、クロノス、ゼウスと似たようなこと繰り返してるしね」
●「いや、ギリシャ神話は知らんわ。でも、こう、前後左右にこう…こまごまとしたカウンターカルチャーが無数にあって」
〇「なんとなくわかりますけど…いわゆる逆の逆って無数にあるんじゃないかって疑問ですか?」
●「それですよ。っていうか『カウンターカルチャー』っていらんかったですね。シンプルに『逆』でよかった」
〇「まぁ、単語が長いとややこしいですからね」
●「そこなんやけどさ『カウンターカルチャー』を逆としてさ。実際どうなん?もう、逆の逆って順じゃないの?」
〇「まぁ言葉で順逆っていうとそうなるけども…実際はいろいろとこう、もう少し複雑ですからね」
●「えぇ?たとえば?」
〇「たとえば…コインなら表と裏しかないでしょ?」
●「ないですね」
〇「ならば『表の逆は裏』『裏の逆は表』どちらかが順ならばどちらかが逆で。どうしたって『表』と『裏』しかないから順と逆しかない」
●「ほら。じゃぁやっぱり…それで行くと逆の逆は順でしょう」
〇「いや、その条件の場合に限りそうです。でもね。物事ってまぁ2択って少ないじゃないですか」
●「そうかぁ?」
〇「『赤が好き』ってことがあるとして、その逆は?」
●「『赤が嫌い』」
〇「ふむ」
●「『赤が好きな人』と『赤が嫌いな人』が順逆関係。いいじゃない」
〇「じゃぁさ」
●「ん?」
〇「『赤以外が好き』の反対は?」
●「『赤が好き』…あれ」
〇「ね。もっと細かく言えば、『赤以外が好き』の中には『青が好き』『緑が好き』『赤が嫌い』『赤以外全部好き』などなどいろいろ含まれている」
●「えぇ…ややこしいな」
〇「ややこしいな。だから裏表みたいに単純な2択にできない。世の中ほとんどがこんな感じで2択にはできないんですねぇ」
●「でもさ…」
〇「・・・・」
●「・・・・」
〇「いや、反論ありき発進で発言しようとして言葉詰まってますね」
●「でもさぁ!!」
〇「語気を強めても論を強化することはできません」
●「赤に対してっ!好き嫌いってなんなん!」
〇「え?」
●「赤は赤やん」
〇「あぁ、それやり始めたら冷戦以来のにらめっこになるよ?」
●「好き嫌いってのは好みの話であっって!個人の感想やん!そもそも逆とかないし!!」
〇「スタートした段階から覆されてくるけど…まず話の前提を共有して同じテーブルに」
●「もういい。お前理屈っぽいのよ」
〇「理屈を聞いてきた人が、理屈っぽいというのはもう全力の暴言ですよね」
●「あぁ。もうやめやめ」
〇「ならやめましょうか」
●「やめるの逆ーっ!」
〇「やめへんのかーいっ!」
●「いや、やめるの逆はやめないとは限らないで…」
〇「めんどくさいのでおしまいにしましょう」