第四話:超重機動!
スリー!!
ウィトスはできうる初速を稼ぎ、最高速度に近づくためひたすらにステージを駆け巡った。
ツー!!
対する上級生のバイスはメタルフェイズ型。
地上機動:3、空中制御:2、防御:10、対衝撃:10
スラスターはバースト型Ⅱ
あまり機敏ではないがすさまじい耐久力をほこり、並大抵の攻撃では沈まない。
ワン!!
なので相手の距離などあまり関係なく、隙を見せたところに一撃を刺すスタイルが多い。
そのためか、相手のバイスは開始位置から動こうともしない。
ゼロ!!
シグナルと同時にウィトスは壁の後ろへ回り込み、様子をうかがうためにライトフリックアームを発射した。
「やれ!メッサ!!」
飛び来る弾をジャンプでかわしたかと思うと、すさまじい勢いでスラスターを吹かせ
一気にステージ三分の一の長距離を詰めてきた。
「あの高速長距離の移動…へヴィーブーストレッグスか」
「うっ、速い!ウィトス!マロースマイン設置後即座にショックウェイブで迎撃!」
ウィトスは壁の左右にマロースマインを設置し、そのまま壁に向かって突っ込んでくる相手にショックウェイブを放つ。
黄緑色の太い光が壁を突き抜け、相手に直撃した。
が
「あんだ、その攻撃はぁ!なまっちょろいぜ!」
なんとメッサはショックウェイブの直撃をもらいながらも、二度目のブーストを吹かせてウィトスの目前へと迫った。
「メタルフェイズ型はよぉ、特殊な電磁波だの冷凍だのじゃねぇ、単純な衝撃は一切食らわねぇ!」
ズドォン!
空中から地面に着地すると衝撃が辺りを襲う。
ブーストの速度とメタルフェイズ型の重量をのせた着地は、それだけで武器となる。
その揺れに足をとられたウィトスは、走り寄るメッサから逃れることはできない。
しかし、設置していたマロースマインがその接近に反応しメッサへ襲いかかる。
パンッ!パキシュ…パシュ…
マロースマインが弾けると、辺りに強烈な冷気を撒き散らした。
メタルフェイズ型は単純な衝撃には弱いが、冷気による速度低下免れない。
「いまだウィトス、走って次の障害物まで逃げるんだ!」
「こんなカチカチの相手、近くじゃ相手してられないわ!」
「あめぇなぁ、下級生はよ!メッサァ!ファイアグレイザー!!」
腰部パーツからファイアグレイザーを起動すると、メッサの体を炎が包み込んだ。
当然冷気は無効化され、さらにメッサの武装が黄色く光り始める。
「ファイアグレイザーは自分のバイスをオーバーヒートさせ、耐久と引き換えに機体の性能を上げるパーツ…ただでさえエネルギー切れかけのバイスに、ショックウェイブの直撃をさせ、こんな負荷のかかるパーツをつけるなんて、ひどいじゃないか!」
「勝てりゃあいいんだよ!どうせこれで一発ぶつけりゃあおしまいだ!食らえ!」
メッサの右腕に装備されたマグナムレーザーアームから強力なレーザーが発射され
それを走ってかわそうとするも、あまりの弾速に回避しきれず腹部に命中する
「あっ…ぐ!!」
「ウィトス!大丈夫か!しっかりしろ!」
マグナムレーザーアームの威力は並大抵のバイスが受ければ450ダメージは受けてしまう超強力なアーム
そしてウィトスの防御は10段階評価中1の最低値。それが弱点ではないが、腹部に命中しているとなると
600ダメージは越えているだろう。
その直撃を受け、吹き飛ばされたウィトスは起き上がれずにダウンした。
バイスは一定時間以内に多大なダメージを受けると、力場がバイスを起き上がるまでバリアをはり、守ってくれる。
そのバリアがはられているということは、まだウィトスは戦闘可能である証拠。
「だ、大丈夫…みたい。なんとかエネルギーの集中に間に合った」
回避できないと判断したウィトスは、腹部にエネルギーを集中させできうるかぎりのダメージ軽減を図った。
しかしこれは、エネルギー攻撃を8割カットできるシールドに比べて1~2割しか軽減できない上
武器に回しているエネルギーなども全て集約させなくてはいけない、薄く扱いにくい羽衣だ。
「いい判断をしてくれたな、ウィトス!相手は本格的にエネルギー切れだ!」
「ぐっ…そりゃてめぇも同じだろうが!」
そう、あと一発でも攻撃をもらえばエネルギー不足で負けるのは同じ条件だが
「この場合、物陰に隠れながら攻撃でき、高速で回避できるウィトスが有利」
「そーゆーことっ!観念しなさいよね!」
一撃で決めきるつもりでエネルギーを消耗しすぎたメッサはブースト回復が遅れ
高速の長距離スラスター移動がすぐに行えない状態だった。
それに反してダウン状態から起き上がったウィトスは、起き上がり直後の異相転移状態を利用して最高速度まで走り抜けた。
メッサは反応しようと銃口を向けるが、あまりの速度に自身の旋回すら間に合っていない。
「なにやってる!ぶっぱなせメッサ!」
メッサはその命令にあわててマグナムレーザーを放つが、最高速に達したランスプライト型を捉えきることはできなかった。
その隙を逃さず、最後の一撃を叩き込む。
「とどめよ!ショックウェイブアーム!」
右腕の武装から放たれた太いビームがメッサを包み込み…
「キャン吉&ウィトス!win!」
勝利のアナウンスが流れた。