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チート・クリミナルズ  作者: 犬塚 惇平
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おしえて!ナナコさん! 1

説明しよう!サジェウル業界とは、死と皮肉とブラックジョークで出来ている、怪人業界の最底辺である!

「あ、おはようございます。ナナコさん」

「ちっす。はよっす」

「いつも通りのやる気の無さですね」

「やる気なんざ出してもあんまりいいことねえっすからねえ」

「もう。ナナコさんと言えば今や協力者の中でも大人から子供までみんな知ってる有名人なのに、

 普段があれなのは何とかならないんですか?あとその三下口調」

「いやあ、有名つっても採用んとき有利かなとか思ってウケ狙いで付けたハウンドコップナナコっつう

 ネタまみれのキックネームと仕事選ばねえことに定評あるのと、何だかんだ採用された本庁勤務の現役婦警なのと、

 元ガチで結社の怪人だったっつうネタ込みでの有名っすからねえ。

 戦闘評価Cっすから、やる気なんざ出して死ぬような仕事振られたら死ぬっすから。後三下口調はもう治らねえっす」

「相変わらずすごい自虐ですね」

「自虐っつうか事実っすからね。戦闘員に毛が生えた消耗品ナメんなっつう話っすよ」

「いや、ナナコさん、配属三日目で銀行強盗に入ったバーサークタウロス相手に単独で交戦して、無力化して逮捕してたじゃないですか。

 他の協力者刑事の方が、すごく驚いてたじゃないですか。そもそも銀行強盗相手に人質全部逃して、

 建物はひどいことになってたけど人的被害なしなんて、普通に考えたらすごいことなんですよ?」

「そりゃ自分これでもサジェウル業界じゃエリートっすから。

 訓練もロクに受けてねえバクダンの一つや二つ処理できねえはずがねえじゃねえっすか」

「……何ですかサジェウル業界って」

「サジェウル業界はサジェウル業界っす。

 元々が群れ作ってナンボの生き物ベースの怪人で18000人も居るとそれだけで独特の文化が生まれるもんなんすよ。

 上の命令には絶対服従とか、顔色は常に伺えとか、バクダンみたら逃げろ、死神みたら祈れとか、犬扱いする奴は殺せとか」

「余計わけがわからないんですが」

「まあ、色々あって生き延びたの3000人ちょいだったっすけどね!」

「……少なすぎません?」

「死亡率80%オーバーナメんなっつう話っすわ」

「いやでもそれちょっとおかしくありません?」

「何がっすか?」

「だってサージェントウルフって言ったら『行け!戦闘員ども!』って戦闘員けしかけるポジションじゃないですか。

 そりゃあ協力者の間ではサージェントウルフ殺せば戦闘員の動きが悪くなるからまずはサージェントウルフから殺せ、

 って言われてたのは知ってますよ?でも一万五千人も死ぬもんですか?それだけで」

「ああサジェウル業界の素人にありがちな考えっすね」

「素人て」

「まずっすね。そのポジションに居る時点で三カ月の訓練で脱落しなかったエリートっす」

「エリートだったんですか?じゃあナナコさんも?」

「だから言ってんじゃないっすか。自分サジェウル業界じゃエリートだったって」

「てっきり冗談かと」

「なるほど、テメエがそういうやつだってことは死ぬまで覚えてるっす」

「怖いからやめて」

「で、話戻すと、訓練残れなかった非エリートは、二つ道があるっす」

「二つ、ですか」

「二つっす。一つは結社の雑用っす。掃除洗濯ゴミ捨て事務処理の統括に擬態しての現地調査に

 産業スパイ、連絡要員のコンビニ店員まで全部サジェウルの仕事っす。

 まあスパイとかはそう言うの得意な専門のB級もいるっすけど」

「スパイとかはともかく簡単な作業って戦闘員の仕事じゃ?」

「無理っす。サジェウル業界素人さんにありがちな誤解パート2っすね」

「無理何ですか?」

「戦闘員って正確にはスレイブアントっつう蟻ベースのD級怪人なんすけど、

 クローン培養で増えてるから人格ってもんがねえんすよ。なんかあっても命令無いと一切動かねえ。

 判断力が存在しねえ生き物っす。命令されたらその通り動くっすけど、それ以外できねえっす」

「なるほど。ロボットとかそんな感じですか」

「んな感じっす。ガチの単純作業なら行けるんすけど、ちょっとでも頭使うのはサジェウルがやってるっす」

「はあ」

「ちなみに勤務形態は今の自分が天国に見えるくらいひでえっす。

 サジェウルは人間よか頑丈なんと衣食住完備だからって一日18時間労働休みなし活動費月一万とかっす」

「それ労働基準法とか」

「結社そもそも基本的人権から保証無しっすから。A級様がサジェウルうっかりぶち殺しても新規配置申請書一枚っす。

 申請者名欄にサイン書くか印鑑ポンと押すだけの、A4用紙1/4サイズくらいの価値なんすよねサジェウルの命の重さって」

「正直ドン引きするんですがそれ」

「結社っすからねえ。ただまあそれでもそっちに回されたのはまだマシっす。

 わざわざサジェウルどうこうしようなんて変態の怪人は滅多にいねえっす。

 ただただ働き続ければ基地ごと自爆とかならねえ限り死なねえっすし。過労死以外」

「怪人って過労死するんですか!?」

「精神面では脳改造受けたつっても人間とあんまり変わらねえっすからねえ。

 結社の機密保持用の自爆が自分の意思でお手軽に出来ちゃうのも大いに問題っすけど。でも一番やべえのは被験体っす」

「被験体?」

「結社が新しく作った装置だの怪人だのの性能テスト、ただの威力確認とかなら戦闘員でいいんすけど、

 ある程度頭働く奴のデータ取るときってサジェウル使うんすよね」

「安全装置とか無いんですか?」

「んな余計な手間かけるならサジェウルで実データ取った方が早いっすねえ。換えはいくらでもいるっすから」

「……理解できません」

「実験用の申請書ってA4用紙で申請理由と必要人数書く欄あるんすよね。ちなみに書類作ってるのも大体サジェウル。

 それで精神病んじゃってある日突然自爆しちゃうって話が割と」

「やめて」

「ちなみに自分がやった被験体で一番ヤバかったのは新たに誕生したA級怪人様の最終性能テストで」

「もう許してください辛くなってくるから」

「そっすか。まあ触られたら死ぬパニック系ホラーの実地体験談とか聞きたくねえっすよね」

「気になるけどいいです!話題変えましょう!」

「なんかいい話題とかあるんすか?」

「ありますよ! ナナコさんにとって最高にいい知らせが」

「ほう。言ってみるっす」

「本庁でハウンドコップナナコが市民の皆様に人気なのを受けて、権限拡大考えてるらしいですよ。

 何人か怪人の刑事増やして、怪人犯罪対策二課みたいなの作って、初代主任をナナコさんにしようって」

「おお!とうとう自分も人間の部下に加えて怪人の部下持ちっすか!」

「それでそのテストケースとしてちょうど、1人新しく採用検討中だそうです。

 元結社の怪人で、大学四年生の方だったんですけど、結社に捕まって、脳改造受けて訓練中だった時に解放されたらしくて。

 事情を鑑みて卒業論文提出を条件に卒業だそうです。それを本庁が採用して、研修後にうちに配属する予定とか。

 ナナコさんみたいになりたいって言う可愛らしい女の子らしいですよ」

「いいっすねえ。中卒でサジェウルの自分が大卒で怪人の部下アゴで使える身分とか、婦警兼協力者やっててよかったっす。

 あ、ちなみに怪人名は?」

「はい!バーサークタウロスだそうです!」

「死んでも阻止しろ。失敗したら殺す」

「いきなり何ですか!?三下口調どこに行ったんですか!?」

「本庁何考えてんすか!?訓練未了の女でバクダンとか、数え役満っす!あからさまに見えてる地雷じゃないっすか!?」

「ナナコさんさっきバクダン1人や2人くらい処理できないはずないとか言ってたじゃないですか!?」

「倒すのと部下にするのは全然違うっす!バクダンで女で訓練未了なんて代物率いて鉄火場くぐれ。

 とかそんなんセンパイだって裸足で逃げ出す地雷案件っすわ!」

「センパイって誰!?」

そしてそこで7年生き延びて、なおかつかねがね出会うと死ぬアレと4回戦ってるとか、お前一体何なんだよレベルである

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