第二話「ネゴシエーション」
「まぁ待ってくれ。話し合おう。」
《・・・・・・嫌です。》
うん、ちょっとくじけそう。いやいや流石にね聖剣さんちょっとそれは・・・・・。
頑張ってここまで来ましてね。ええそうです。なかなかあれを突破できる人はいないと思いよ!
んでもってね。ここでお帰りくださいはちょっとキツいです。
「なにゆえお外に出たくないので?」
《もう戦いたくありません。》
うん、戦闘を放棄する聖剣。斬新だね。
なかなかないと思うよ。でもちょっと待ってね。ここまでの冒険でメインウェポンがね。無いのよ。
《もういいんです。争いとか馬鹿らしくてやってられません。》
う~ん何か心に深い傷をおってらっしゃるご様子。でもそれって自身のアイデンティティーの放棄では?
《そんなことはありません!包丁とかペーパーナイフとか!私、切れ味は抜群ですからきっとほかにできることがあります!》
「なるほど、確かに斬るだけが能じゃないよな。見栄えもいいし使ったらすごいんだから儀礼用の剣としても行けるかもしれない。」
《いいですね!前線に出ないおじいちゃん将軍さんとかに使ってもらいたいです!》
どうやら本気で戦いが嫌いなようだ。
《そりゃ若い頃は頑張ってましたよ。創造神様だってそのために私を作ったんですから。》
なんと!神造兵器なのか!すごいな!
《でもですね!みんなイクサ、イクサ、イクサ。殺しあいのことばっかり!うん万年も付き合ってたら嫌気もさしますよ!》
どうやら創世記から戦っていたらしい。しかも所有者が変わる旅に戦に連れ出され辟易していると。
《殿方でも御姫様でも私を持つ資格のある方はみ~んな戦に明け暮れていました!あなたも所有者としての資格があります。戦争ですか!戦争ですね!戦争なんでしょ!もう嫌なんです!戦いたくありません!》
すげ~拒否。断固としてNOの姿勢を崩さない聖剣エクスカリバー。
う~ん弱った。ここまで嫌がってるのに無理矢理連れ出したら流石に力を貸してくれないだろう。
どうしよう。おっ!そうだ!
「わかった。無理強いはしない。ただこっちにも事情がある。このダンジョンを攻略するときに俺の剣が半壊した。見てくれ、長年俺の相棒だった『雷帝の剣』だ。」
腰の鞘に吊るしていた相棒を抜く。
刀身が折れて宝珠にヒビが入っているがまだ辛うじて直せる。
《いい剣ですね。流石に私には1枚劣りますが、私達七本を除けば最高峰の剣の一つでしょう。》
「この剣を修復するまでの間だけでいい。この剣も友達に頼んでできるだけはやく直してもらう。」
《・・・・・。》
よし、この方向で説得してみよう。戦闘以外でも神造兵器の使い道なんていくらでもある。それに何となくこの剣の使い方が解ってきた。この聖剣は俺と相性がいいようだ。
《はぁ、確かに原因は私の奉納されているダンジョンですね。邪龍に止めを刺したときに壊れました?》
「そうだ。最後の難敵だった。こいつがなかったら俺は死んでいただろう。」
俺は『雷帝の剣』を優しく鞘に戻した。
≪・・・解りました。不本意ですがその剣に免じてあなたに一時的に同行しましょう。≫
お?以外とあっさり説得できたかな?