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ちょろインの恩返し

作者: あかり

日本昔話のOP曲を各自、脳内で流してからお読み頂けるとより楽しめます。

 昔々ある所に、貧しいし、童貞だけど、心の優しい青年が住んでいました。

 青年は、まだ幼い頃に流行り病で亡くなった両親が残してくれた小さな家に住み、小さい畑を耕しながら細々と暮らしていました。

 村のみんなは青年に親切でしたが、残念ながら彼のもとに嫁ごうとする女はいませんでした。


 ある寒い冬の日のこと、お兄さんは街へと女の人を買いに出かけました。


「いよいよ俺も脱童貞か……」


 正直もう所帯を持つことは諦めていました。ただ、せめて一度くらいは経験したい。そんな思いからなけなしのお金を貯めて、今日と言う日に挑んだのです。


 すると街までの道中に通りかかる田んぼの中で、一羽の鶴が罠にかかってもがいていました。


「あらら、可哀そうに」


 青年は鶴を逃がしてやりました。優しいし、良い青年なのです。良い人止まりなのです。

 鶴は青年の頭上をくるくると飛び回って、嬉しそうに鳴いて遠くの空へと飛んでいきました。


 冬の澄み切った青空を、真っ白な鶴が飛んでいきます。

 それをしばらく眺めて、青年は呟きました。


「帰るか……」


 良いことしちゃったので、どうにも女の人を買う心境ではなくなってしまったのです。

 男心は複雑だな、と青年は思いました。


 その夜、日が暮れた辺りからコンコンと雪が降り始め、辺りがすっかり暗くなる頃にはずいぶんと大雪になりました。

 こりゃ、街まで行ってたら帰ってこれなくなってたな。と、青年が思っていると表の戸をとんとん、とんとんとんと叩く音が聞こえます。


「ごめんください。開けてくださいまし」


 それは若い女の人の声でした。


 青年が戸を開けると、そこには頭に雪を被せた娘が立っていました。

 

 年の頃は15か16か。

 雪のように真っ白な肌に、闇夜を溶かしたかのような艶やかな黒髪。冬の外を出歩くにはいささか薄い着物を着た美しい娘でした。胸元に置いた手には傷一つなく、青年が住む村や近くの街でも見かけないような上品さのある綺麗な女でした。


 青年は驚いて、


「こんな雪の夜に、どうしました? 寒かったでしょう。どうぞお上がりください」


 と、娘を家に入れてあげました。


「私は人を訪ねてこの辺りに参りましたが、どこを探しても見当たりませんでした。そのうち大雪が降り始めて、日も暮れてしまうしでほとほと困り果てて……。どうか、一晩泊めて頂けませんでしょうか」


 娘は丁寧に手をついて頼みました。ちょっと着物の締め付けが緩いのか、胸元から白い谷間がちらりと見えます。


「なるほど……それは災難でしたね。ただ、この家には俺しか住んでません。ひとり身の男の家に寝泊りするのは心配でしょうから、今から一緒に、村の老夫婦のところへ案内しますよ」


 と青年は止せばいいのにそんなことを言い出します。青年だって内心、綺麗な女の子を家に泊めるチャンスを不意にしてしまうことを惜しく思っていますが、彼は良くも悪くも誠実なのでした。


 しかし娘は、


「いえ、出来ればあなたのお宅に泊めて頂きたく思います」


 と、大きな瞳でじっと青年を見つめながら、はっきりと言いました。


「いや、しかし若い女が男の家に寝泊りしては危ないでしょう」

「嫌ですか?」

「え?」

「私が泊まっては迷惑ですか? 嫌、ですか?」


 そんなことを言って、じぃとこちらを見つめてくる娘の美しい瞳に、青年は何も言えなくなりました。


「わ、分かった。泊まっていってくれていい。どうぞ、くつろいでくれ」

「はい」


 娘は嬉しそうに微笑み、青年はその笑顔の美しさについつい見惚れました。


 狭い家の中、ひとつ屋根の下で寝泊りすることになっても、優しく誠実な青年は娘に手出しするような男ではありません。ヘタレではありません。誠実なのです。


 青年が作った夕食を二人で食べたあと、娘はやや頬を染めながら言いました。


「あの、ひとつお願いが」

「うん、なんだい?」

「冬の寒い中とはいえ、歩き詰めで汗をかいてしまいました。体を拭いてもよろしいでしょうか」

「え!? あ、あぁ、そうだね。それじゃあお湯を沸かして、桶はこれで……。俺は外に出てるから!」

「いえ、まだ外は雪が降り続いております。お風邪を召してしまわれたら大変です。どうか中に居てください。私は大丈夫ですから」

「しかし……」

「大丈夫ですから」


 娘の微笑みには有無を言わさぬ迫力が籠っていたので、青年は観念しました。青年の住む小さな家には部屋がひとつしかありませんから、仕方なく木枠に障子を張り付けただけの古い屏風を、仕切りとして立てることにしました。


 着物を脱ぐ音と、ちゃぱちゃぱと桶に布を浸す音が、青年の耳をくすぐります。

 屏風には灯りに照らされた娘の影が映っています。青年はついつい、ちらちらと眺めてしまいました。


 もちろん青年は優しく誠実な男なので、屏風を張り倒して娘に無体な真似をすることはありません。


 体を拭き終わった娘は荷物のなかに持っていたのか、薄い生地の寝巻に着替えていました。意外と豊かな胸とお尻のラインが、かなり目に毒な恰好でした。


 青年はなんとか娘の体から視線を外し、布団の用意をします。

 両親が死んで以来青年はずっと一人住まいであり、両親が使っていた布団もずいぶん前に売ってしまったので、布団はひとつしかありません。


「布団はどうぞ使ってください。俺は屏風の向こうで寝るから、安心してくれていい」

「いえ、私は泊めてもらう身ですから、そういうわけには参りません。こんな寒い夜に布団もかけずに寝て、お風邪を召したら大変です」

「いやしかし、貴方こそ床に寝させるわけにはいかないから」

「それならば、ひとつの布団を二人で使うと言うのは如何でしょう」

「えっ!?」


 娘の提案に、青年は驚きます。


「それはさすがに不味いでしょう」

「大丈夫です」

「いや、全然大丈夫では……」

「ちょっとだけですから。一晩だけですから」


 ぐいぐい押してくる娘に、青年は折れました。

 こうして青年と娘は同じ布団で寝ることになりました。


 青年は全身が石にでもなかったかのように微動だにしませんでした。


 娘は頻繁に寝返りを打ったり、その拍子に偶然娘の手足が青年の体を撫でさすったり、寝ぼけて青年に抱き着いてきたり、見た目より大きな胸を押し付けてみたり、青年の耳元に艶めかしい寝息を吹きかけたりしました。


 青年は結局一睡もできずに朝を迎えました。


 朝を迎えると、娘はあれこれと家の仕事をこなし始めました。

 囲炉裏に火をおこし、手際よくご飯の支度をします。青年は久しぶりに他人が作ったご飯を食べて、少し鼻の奥がつんとなりました。

 食事を終えたら家の掃除をしはじめ、男の一人暮らしらしい有様だった青年の家は、とても綺麗になりました。


 青年はなんだかとても幸せな気分でした。

 もちろん若い美人な女と一緒にいられることも嬉しく感じていましたが、それ以上にこうして誰かと過ごす時間がとても暖かく思えたからです。


「ご飯を作ってもらったばかりか、部屋の掃除までしてもらって、本当にありがとう」

「泊めてもらってる身ですから、なんでも致します。どんなことでも」


 娘は青年の別に凝ってもいない肩を揉みながら答えました。

 "揉む"というか"撫でまわす"と言った感じでした。


「はは。美人で気立てが良くて、しかも働き者とは、さぞかし良いお嫁さんとして喜ばれるだろうな」


 思わず青年がそう呟くと、肩を撫でまわしていた娘はそっと身を寄せて、青年の耳元で囁きました。


「本当ですか?」


 その声に含まれた妙な色気と背に当たる柔らかな感触で、青年の背筋にぞくぞくと甘い刺激が走りました。


「あぁ、本当だとも。君をお嫁に貰う男は幸せ者だよ。ははは、ははは」


 青年は誤魔化すように明るく笑ってみせました。

 娘もにっこり微笑んで言いました。


「そうですか」


 そして外の様子を伺ってから、言いました。


「雪は止みそうにありませんね」

「うん。この辺でこんなに降るのは珍しいことだが、無くはない。まぁ明日には止むだろう」

「今日も泊めて頂けますか?」

「え、うん……まぁ、君がいいなら」

「ありがとうございます」


 青年は女性が一人で泊まっても安心できる家を紹介しようかと一瞬考えましたが、何故だか必ず無駄に終わる気がしたので止めました。それに娘が嬉しそうに微笑んでいるので、水を差したくありませんでした。


 それから二日、雪が降り続けました。

 娘は甲斐甲斐しく青年の世話を焼きつつ、美味しいご飯を作ったり、家事をしてくれます。


 娘はとても綺麗好きなのか、必ず寝る前にはお湯で体を清めます。青年はそのたびに落ち着かない気持ちに耐えねばなりません。しかも娘は意外とドジなのか体を拭いている最中にうっかり屏風を倒してしまう、なんてことも多々ありました。頻繁にありました。 


 二人で一緒の布団で寝ることも継続されました。

 さすがに一睡もせずに何日も過ごすのは無理なので、青年も二日目には眠るようになりました。

 しかしそうしてすっかり寝入った後には、起きるとなぜか必ず口の周りや首元が濡れていたり、やたらと寝巻がはだけていたりしました。目覚めるとほぼ全裸だったりした時は、隣に娘が寝ているので非常に慌てる羽目になりました。


「しかしこうも雪が降り続けるとは、珍しいこともあるもんだ」

「記録的な豪雪ですね。異常気象と言うやつでしょう」

「へぇ、なるほどなぁ。君は学もあるんだね」

「そんな大層なものではございません」


 青年と娘は草鞋を編みながら、他愛もない話を交わします。もともと冬にする外仕事はそんなにないので、二人で内職をこなしました。


 青年はなんだか、こうして娘と二人で居るのがとても自然な事のようにも感じ始めていました。


 そういえば夢の中で誰かが「娘と二人で仲良く暮らしたい」とか「娘をお嫁さんに貰いたい」とか「娘さんを襲いたい」とか囁く声を聞いた気がしますが、なにぶん夢のことなのでぼんやりとしか思い出せません。

 しかもその声は、なんだかとても聞き覚えのある可愛い女子(おなご)の声にも似てる気がしましたが、なにぶん夢のことなのでぼんやりとしか思い出せません。


 青年はふと言いました。


「そういえば君は、人を訪ねてここまで来たんだったね。早く雪が止まないと探しにもいけないな」 


 すると娘はすぅーっとスライド移動して、青年の横にぴたりとくっつきました。


「いえ、もう散々探した後なのです。ですからもう諦めました」

「でも俺はこの辺にずっと暮らしているから、手がかりを教えてくれたら何か力になれるかもしれないぞ」


 なぜ横にくっついたのか全く分かりませんでしたが、青年は優しい性格の持ち主だったのでそう提案しました。

 

「いえいえ、もういいんです。非実在訪ね人なので」

「え?」

「こほん。いえ、いいんです。つまりあれです。この世のどこにも居ないということです。私の心の中にしかいないのです」


 娘の言葉に、青年は申し訳なさそうに眉を下げました。


「それは……すまない。見つからなかったと言うのが、そういう訳だったとは知らず」

「お気になさらないでください」


 青年は微妙に勘違いしていましたが、娘はそれをあえて正そうとはしませんでした。


「ちなみにその人とは、その、どういう間柄だったんだい?」

「えーと、父であり、母でもある的な、同時に友人としての側面も内包しているような存在です。深く掘り下げないでください」

「す、すまん。辛いことを聞いたか……」

「構いませんよ。私は大丈夫です」


 青年は娘の言う訪ね人が娘の"良い人"なのかと勘ぐって、ついついしてしまった質問なのですが、娘の返答は要領の得ないものでした。ただニュアンス的に、親族っぽい感じの人だと言うことは伝わりました。


「ところで実はそのことで困ったことがあるのです」

「なんだい。俺が力になれることは少ないかもしれないが、なんでも言ってみてくれ」

「訪ね人が見つかりませんでしたので、実は私、行く当てがないのです」

「そうなのか?」

「はい。身寄りのない娘なのです」


 青年は驚きました。こんな良い娘が、こんな若い身空で天涯孤独とは。


「分かった。そういうことなら俺も出来るかぎりのことをしよう。君次第だが、この村で良ければ、君を引き取ってくれる家を探してあげることもできる」

「この村に住めるのはとても嬉しいです。でも見知らぬ人のお家にお邪魔するのは、心細いですし怖いので嫌です」

「え!? そ、そうか……、ではどうするかな……」

「慣れ親しんだ、三日も四日も一緒の布団で寝起きした仲の、人柄を良く知るお方のお宅に出来ればお邪魔したいです」

「……うん、まぁ、行く当てが決まるまでは、じゃあ、うちに来る、か?」

「不束者ですが、よろしくお願い致します」


 娘が三つ指ついてお辞儀をすると、雪がぴたりと止みました。





 それからも二人は今まで同様に、仲良く暮らします。


 ただ少し困ったこともありました。

 


「今から屏風の向こうで自家発電を行いますが、終わるまで決して覗かないでください」


 娘はトンデモない発言をしましたが、青年には通じません。


「じかはつでん、とはなんだい?」

「……まぁ、いわゆるマッサージです。リラクゼーションです」

「まさ? りら? よく分からんが、必要なことなのかい?」

「ええ、まあ。長らくお預け状態ですので」

「うーん、良く分からんが、覗くなと言われれば決して覗いたりしないよ」

「そうですか」


 娘の目にはなにやら闘志の炎が燃えていましたが、青年は気づきませんでした。


 そして娘は屏風の向こうへと姿を消します。日も落ちて小さな灯だけが照らす室内は、冬なので虫の鳴き声すらなく、とても静かでした。

 青年は先に布団に入っていましたが、何やら屏風の向こうから音が聞こえます。


 それは水をかき回す音のようでした。


「ぁっ……あっ……」


 しかも何やら、娘の艶めかしい声まで聞こえてくる始末。


「あっあっ……」

「ど、どうかしたのか?」

「いえ、あっ……大丈夫です……あぅ……」


 小さな灯に照らされて、屏風に写った彼女の影がもぞもぞと動きます。


 その日から、優しく誠実な青年のとても厳しい死闘が始まりました。

 亡き両親を思い浮かべたり、村のむさっ苦しい男衆を思い浮かべたり、聞きかじりのお経を心の中で唱えたり。


 そうやって青年が自分の脳細胞を虐めていると、そのうち娘は少し頬を染めて、どこか満足気な顔で屏風の後ろから出てきます。そしてそのまま青年の寝る布団にもぐりこみ、青年にぎゅっと抱き着きついてすぐに寝入ってしまうのでした。


 この時青年は娘の体温がいつもより高いことに気が付きましたが、必死に危険な新発見を脳内から追い出しました。

 それ以来、娘は夜になると必ず「絶対に覗かないこと。絶対ですよ」と念を入れつつ、屏風の向こうへと消えて「じかはつでん」をするようになりました。

 やはり娘はちょっとドジなところがあって、たまに誤って屏風を倒してしまったりしますが、青年は頑張って覗かないように努めました。青年の精神力はA+でした。


 そうやって夜を過ごしながら、そろそろ冬が明けて春先めいてきた頃、娘が少し俯いて言いました。


「少し自信が無くなってきました」

「どうしたんだい急に」

「いえ、自分では我ながら結構なものだと思っていたんですが」

「えっと? なんの話だい?」

「こうなれば最終手段に出るしかありませんね」


 娘の言うことは青年にはよく分かりませんでした。

 その日の夕食、娘はどこから持ってきたのかお酒を手に青年の傍らに寄り添います。

 

 娘にぐいぐい酌をされては仕方なく、貧乏でお酒なんてずいぶん飲んでない青年が遠慮がちに口に含むと、ほんのり甘い味が口の中に広がります。


「なんだか変わった味のお酒だね」

「薬の味が出てるのかもしれませんね」

「薬?」

「はい、体の芯が元気になるお薬が、ほんの少し入っているんですよ」

「そうなのか。薬なんて高いだろうに、いいのかな。俺は別に病気でもないし」

「いいんですよ。そろそろ私の方が我慢できなくなってきちゃいましたから」

「我慢?」

「いえ、こちらの話です」


 娘が勧めるままに杯を開けていると、次第の青年の奥底がぽかぽかと暖かくなってきました。


「それでは私はいつも通り、自家発電を」


 娘はいつも通り、屏風の向こう側へと消えていきます。


 この日の青年は何かが違いました。

 獣が体の中で暴れているのです。大きな熱が唸りを上げているのです。


 これまでずっと青年の辛い夜を支えてくれていた両親の顔も、村のむさい男衆の顔も、仏様への祈りも、全て青年の中の獣が切り裂き噛み砕き、こっぱ微塵に叩き潰しました。


 そして獣は屏風の向こうへと跳躍しました。


 屏風の向こう側で、哀れな獲物は、好き放題に食べられました。

 どちらが獲物だったかは、我を失っていた青年には、よく分かりません。


 こうして二人はようやく(つがい)になりました。


 朝が来て我に返った青年は娘に謝ります。

 娘はきりりと眉を上げて青年と相対しています。ただ口元は若干緩んでました。


「こうなったからには、お嫁に貰っていただくしかありません」

「それは……、俺はかまわないが……。いいのか?」

「ええ、もちろん。それに初めてお会いした時から、そうなることを望んでおりましたから」

「あの雪の晩から?」


 娘は答えず、にっこり微笑むばかり。


「俺は正直顔も良いわけじゃないし、家は貧乏だ。君より全然頭も悪い。こんな男のどこが良いのか……」

「優しいところに惹かれたのです。酷く心細い思いをしていたところを助けて頂き、くらりと来ました」

「……一晩宿を貸しただけだぞ?」


 娘は答えず、代わりににっこり微笑みます。

 

 青年にはまだまだ聞きたいことがありましたが、娘の笑顔を見ると何も言えなくなり、結局気にしないことにしました。特にあの晩飲んだ酒と薬のことはかなり気になりましたが、気にしないことにしました。


「これから死が二人を分かつまで、妻としてゆっくりじっくり恩返ししていきたいと思います」

「いや、俺そんな大層な恩を感じるほどの事はしてないよな!?」


 青年はふと大事な質問を思いつきました。


「そういえば今更、こんなことを聞く自分に呆れるが、君の名前を聞いていなかったね」


 娘は優しく微笑んで言いました。





「鶴、と申します」








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― 新着の感想 ―
[良い点] 年に一回の読み返し ほっこりしますね どこがとはナイショ
[良い点] さらりと読みやすく後味も良いです(^^♪ [気になる点] 他の感想でも言われている通り別の童話でも使えそうな技術ですね。
[一言] 面白かった!
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