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83話目 再会

「この辺りはビジネス街だ。飯屋となるとファストフードしかない」


 と、適当なバーガー屋で適当に済ませ、足早に塔へと向かう。

 ふとクロードが問う。


「……エア、そういえばマクスウェルは?」

「奴なら塔のほうだ。能力の調整中」


 マクスウェルの魔女。科学由来の異能にして、魔法を扱える。

 そこに興味を持ったのは、闇黒の徒。


「異能で魔法を扱う、らしいな」

「ああ。俺はユートピアの中でも風の異能のトップランカーだが、魔法を相手にすると流石に分が悪い」


 ファストフード店で、異能についての簡単な説明は済んでいた。


「お前たちは、魔法……ともまた違うんだったな」


 反対に、闇黒の徒やパーヴァートの説明もざっくりだが済ませていた。


「混沌と闇黒は我らの心象にして無間の力。俺の混沌とクロウデルの闇黒は、魔法さえも貪りつくす」

「どちらかといえば異能寄りなのか……パーヴァートは?」


 問われ、答えるのは新月。


「パーヴァートとは妄想と性欲を糧とし、干渉力をもって法理に干渉する力ですわ」


 妄想は心の中で現実を改変する行いそのもの。現実と妄想の境界を歪め、干渉する領域を現実の法理にまで広げる。


「妄想を糧とした干渉力は、魔法や異能にも干渉されない絶対固有の存在。ただ、闇黒の徒の持つ能力は私たちの力に少々耐性がありそうですわ」

「闇黒の徒の力は純粋に理想由来じゃないか?」


 もともと、異能のほうが理想の力を魔改造することで増強するので、この世界で正当な力は闇黒の徒、そして安全無欠たちだ。

 

「そして、俺は五想だ。妄想、幻想、空想、夢想、理想の五つを纏め上げる」


 理想の頂に立った、四つ目の理想。


「妄想……このユートピアを落としたのが、お前か」


 空気がざらりと、猫の舌に舐められた時の感覚。

 気が付けばエアの歩は止まり、視線は結城へと向いていた。

 感情のない殺意。恐らく人を殺すことが日常的だったのだろう。

 それでも結城は動じなかった。

 ただし勿論、レイランの剣は既にエアの喉元に突き立っていた。


「俺も成長したのかな」

「成長……か」


 殺気は緩んだ。

 再び塔へと向かって歩みを進める。


「もはや、俺たちのことなど意にも介さないというわけか」

「目的は既に定まっている。果たす力もある。あとは上手くやるだけ……ん?」


 広すぎるほどの大都会。その中に感じる、異物感。


「この感じ、パーヴァートか」

「どうしますの?」

「……俺が行く。新月は先に行ってくれ」


 結城の言葉、新月は溜息をこぼした。

 少女の姿で、いじけるふうに踊る。


「もう、せっかくのデートですのに。仕方ありませんわね」

「ありがとう」

「その優しさあってこその結城ですもの。待っていますわ」

「マスター」


 レイランは深く頭を垂れる。


「いってらっしゃいませ」

「うん、行って来る」


 結城は手を振って返し、感じ取った方向へと跳んだ。

 見届ける新月とレイラン。それに気付いたクロードは動揺する。


「あ、あれ?」

「おい、勝手な行動は……」

「結城ならすぐに追いつきますわ、お気になさらず。さあ、参りましょう?」




「急いだほうが良さそうだな」


 パーヴァートの反応が同時に二つも増えた。どういう状況なのか予想がつかない。

 否、どんな状況になってもおかしくないと言った方が正しいか。

 間も無く大通りから路地裏へと入り込み、入り組んだ奥の一角へと辿り着く。

 そこには四つの人影があった。


「や、やった! 私やったぁ!」

「よくやった。これでお前も立派なパーヴァートだ」

「あ、あの、私……」

「喜ぶのもいいが、次は被害者のケアだ」

「あ、そうだった。大丈夫ですか?」


 結城が見ていることに一切気付かぬままに、女性らはなんやかんやとやり取りをしている。

 そして、彼女等のうち二人分の声がなじみのある声であることに気付く。


「もう大丈夫ですよ。悪漢は私が倒しました」

「急に身体が動かなくなって、心が乗っ取られたみたいに……それにその、性欲も……」

「催眠系か。さすがユートピアは悪質なのが多いな。そうは思わないか、結城?」


 どうやらとっくに気付かれていたらしかった。という結城自身、声の主が誰なのかは分かっていた。


「銀風、帰省してたのか」

「たまには都会の喧騒が恋しくなる時もある」


 結城は銀風と、腰を抜かしている女性に寄り添うもう一人のパーヴァート、黒髪のツインポニテが印象的な<黒の淫夢ナイトメア>。


「あっ、結城、さん」

「今更さん付けはいい。パーヴァートの淫夢」


 パーヴァートの新人教育といったところか。


「すまない結城、今日は淫夢に付きっ切りなんだ。今日のところは見逃してくれ」

「別にそれはいいが……そいつはどうする?」

「性魔の餌にするさ。お前の手を煩わせることはないさ」


 性魔。それは銀風が創り出した淫魔化した魔物たち。パーヴァートの力を持った人外である。

 そのどれもが、高度な性的技巧と特徴を有している。

 その存在が、パーヴァートの怠慢を防ぎ、あるいは異種族との恋愛すら可能にするだろうと見ているらしい。


「ところで、どうして結城が此処ユートピアに?」

「ああ、神の軍勢への対抗策でな」


 アルカディアとユートピアの共同戦線。

 説明を終えると、銀風はなるほど、と特に興味も無さそうに呟いた。


「まあ、私とお前ならエロスにもフレイヤにも負けやしないさ」


 自信満々だとかそういうのではない。至極当然といったその表情は、もはや清清しいほどでこれ以上無い頼もしさを感じる。


「それで、他のはどうしたんだ?」

「先に行かせて、俺がここに来たんだよ」

「あー……それは迷惑をかけたな。お詫びに塔まで送ろう」

「えっ、いいのか? 今は淫夢に付きっ切りなんだろう?」

「なに、すぐそこだ。淫夢、どうだ?」


 淫夢は親指をぐっと立て応えた。

 それを見て銀風は微笑む。


「この人のパーヴァート能力を奪えばいいんだよね!」

「そうだ。だが取り込むのは私と合流してからだ。闇の性癖を自身の中で浄化するのは危険だからな」


 他のパーヴァートの底知れぬ深い業のような性癖を受け入れるのは、そう簡単なことではない。

 性癖によって起きる現象を加害者、被害者、傍観者として追体験し、尚且つそれに打ち克つ妄想を貫けなければ、自我や精神を崩壊させる。


「と、いうわけで、すぐそこまで送ろう」




 こうして、銀風に案内され、塔へと辿り着く。


「じゃあ私はここで」


 塔の根元は円形の建物に囲まれており、そこから幾本もの支柱のようなものが伸びて、塔を補強しているように見える。


「ああ、ありがとう」


 円形の建物の入り口で、銀風と別れ、結城はついにバベルの塔へと再訪する。

 頑強なゲートの前で立ち往生していると、ふと声がかけられた。


「貴方が結城様ですね」

「うおっ!?」


 周囲を見渡すが、人影は無い。

 耳を澄ますと、ゲートの横にスピーカーがあり、そこから音声が発せられているのが分かった。


「私は自律型AI・アベル塔防衛システム担当のセカンと申します。結城様のことは姉のゾーイからよく伺っております」

「ゾーイが姉ってことは、二代目ってところか」

二代目セカンですから」


 ゾーイとさして変わらない冷淡な声。しかしゾーイより幾分高い、鈴の音のような可愛らしい声が高音質で流されている。


「ドクと貴方のお連れ様、他の方々は既に研究室です。私が音声で案内しますので、その通りに進んでください」

「音声ナビか」


 すると、ゲートは重々しい音と動きで一人分の通り道を開いた。


「どうぞ、お気をつけて」

「ああ、ありがとう」


 促されるままに、結城はゲートを潜る。

 円形の建物の内側にまで来ると、後ろでゲートが音を響かせて閉じた。


「ん? お気をつけて?」


 ふと聞こえてくる滑らかなモーター音。急接近する何かを、結城は横にステップして避けた。

 ザンッと地面に突き刺さる鎌。黒の外套に身を包んだ一人の男。


「なるほどな、お前が俺たちのテストの相手か」

「テスト? お前たちは何者だ?」


 結城は特に動揺することなく、冷静に問う。


「このシューズの性能を試すための、実験台なんだよテメェは」


 一人、また一人と、どこからともなく増える同じ衣服の者たち。その各々が大小さまざまな鎌を持っていた。

 よく見れば、彼らの足は地に着いていなかった。


「冥土の土産に、そのシューズとやらについて教えてくれ」

「陸地用高機動装備・アキレス。タイヤの無いスケートシューズってとこだが、これがなかなかいい。外で流行ってるモーター付きスケートなんぞとは比較にならねぇ」


 嗤う彼らを、正確には彼らの履くその靴を興味深そうに見ていた。


「へぇ、すごいな……外じゃ自動ローラースケートが流行ってるのか」


 その視線が、くるりと男たちのほうに向いた。

 男たちの嗤いが止まり、身体が凍りつく。


「な、なんだテメェ、やンのか?」

「妄想顕現……こんな感じか?」


 いつの間にか、結城の両足には、車輪の付いた靴が装備されていた。


「それじゃあ、ちゃっちゃと終わらせるか。空想に至るも妄想の特権だ。我が妄想世界が待ち遠しい」




 それと対峙した黒外套の男は、後にこう語った。


「ああ、急に雰囲気が変わりやがった。まるで別人みてぇに……なぁ、あいつは一体何者なんだ?」

「…………」

「い、いや、違う。詮索はしない。分かった。分かってる……ああ、その時まではふざけたガキみたいに見えた。ガキみたいに珍しいものに対して目を輝かせてたな。それが、あの一瞬で変わった。妄想なんとか?とか言った時だ。あれから、隠していた凶器を全部むき出しにしてきたような……危ねぇ感じがしたんだよ」




「さぁて、どのくらいかかるか……じっくりたっぷりデータを取らせてもらうよ、結城」

「本当に悪趣味だな」


 いつもと違い、ドクは明るい部屋にいた。

 壁一面の計器を前ににやける白衣のマッドサイエンティスト。

 その横には禍々しさを感じさせる、インクをぶちまけたような黒一色に、鮮血をあしらえたような朱色の髪の女、朱。


 さて、とドクは座っている椅子を半回転させ、客人を見た。


「ようこそ、ユートピアへ」


 一人の研究者のものにしてはあまりにも広すぎる空間。その真ん中にクロードたちは立っていた。

 それも傷だらけで。


「これはどういうことですか、ドクさん」


 クロードらとドクの間に立つ、一人のアンドロイド。全身が丸みを帯びたボディで。シンプルなデザインに、グリーンの光線の紋様がある。


「いやぁ、実験好きは性分みたいなものでね。今は生命として成長しだしたゾーイにボクの研究成果が追い越されないように精一杯練磨しているところさ」


 超高性能学習機能搭載、全局面対応型変異全能防衛戦闘機:ZS―02Xアンリミテッド・セカン。


「他にも、同機能搭載、超状況対応型制圧用戦闘兵器子機:ZS―01Xとか、ZS―00EXアルティマティオス【究極窮アルティメット】とかあるんだけどね。その相手は恐らく彼にしか務まらないだろうから」

「そのふざけた口を閉じろ」


 ケイオスが昂ぶる闇黒を右手から放つ。

 矢のように鋭く進む闇黒の触手。しかしそれさえも見えない壁に阻まれる。


「クッ……」

「今の彼女に当てはまるかどうか知らないが、データ上ではアルティマティオスは自前の仮想システムを持っているが、ユートピアとの連動が無い限りそこまでの出力は見込めない」


 隣にいる朱がうんざりとした表情でそっぽを向き、その反対側に居る少女、マクスウェルの魔女もまた目が死んだ。


「だがこのアンリミテッドはその制限を取り払った。といってもユートピアの情報をほぼすべて有し、その上でそれに見合う超高度な学習機能を持たせることで、あらゆる条件に対し、自力で学び、自力で進化し、自力で解等を導き出す能力を搭載することが可能となった! 生命のもたらす成長をも凌駕する、自ら無制限に進化させることができる! しかもこのアンリミテッド、ユートピアのあらゆる情報を実体化させることが出来る……異能もね」


 不敵な、どころではなく。怖ろしいほどに不気味で、箍の外れている、狂気の笑みであった。


「これは壮大な実験だ。チートを討つという命題の元、君たちの実力がどこまでそれに近づけるかという! さあ、果たして見せておくれ!」




 我が力は、無限の混沌。


「異常能力を感知、計測……」

「淀みは全ての力を飲み込み、闇黒のさえも一部となす……神が相手と言うならば、先に言え」

「深き淵の底、暗黒の最奥。心に漆を塗りて、あらゆる万象を飲み込まん……今こそ、神魔を討つ力を見せよう」


 ケイオスとクロウデルが互いに向き直る。


「「我等、無尽に喰らいあい、無限に深みを増して、無数の力を無へと帰する」」


 初めてアンリミテッドが後ずさった。


「理解、不能……何をしているのか、把握できません。常識ではない。しかし狂気でも……」

「ならば喰らい、さらば喰らえ。喰らい尽くせ……」


 クロウデルの右手に極大になった暗黒。ケイオスの右手に凝縮された混沌。

 刹那、二人は互いの手を掴む。


「神を飲み込む、その時までッ!」


 輝かしい闇の灯火、焔が猛り狂う。

 混沌の象徴、深く濃い、紫色の炎がその手に宿る。

 暗黒の眼光、どこまでも深い深淵が瞳に写る。


「神魔は殺す。それだけは果たそう」


 ケイオスは歩き進み始め、紫色の炎を手の中で変化させ、巨大なライフルを生み出してアンリミテッドを銃撃する。

 しかしアンリミテッドは傷一つつかない。

 眼前の空間が水の波紋のように揺れるだけだった。


「無駄です。空間操作により、物理攻撃のみを対象とした空間断絶作用は機能しています」

「そうか」


 掌のみにあった炎が両腕に宿り、断絶されているという空間に触れた。


「無意味です」

「フン……機械風情が、調子に乗るな」


 すると、炎が空間を侵食し始める。

 波紋はそれから逃れるように、しかし瞬く間に炎は広がり、やがて焼け落ち崩れ去る。


「喰わせてもらったぞ」

「対処開始」


 アンリミテッドは即座に後退し、高ランクの炎の異能で熱光線を放つ。

 だが光線はケイオスの眼前で、透明な壁に遮られる。それは先ほどと同じ、しかし一人分の大きさしかない、波紋を生む壁だった。


「能力をコピーされたと仮定、対応を……」

炎極えんごく・マグママグナラグナロック」


 ケイオスのかざした掌から発された黒い焔が、奔流となって熱光線を徐々に押し返す。

 焔は熱光線をまるで貪り喰らうかのごとく。


「固有能力と断定、対応完了」


 その声はケイオスの背後にあった。

 背に向けて光刃突き立てるアンリミテッド。


「超高速移動、といったところか」


 それはもう一人の徒、暗黒のクロウデル。


「だが、私の魔眼からは逃れられん」


 アンリミテッドが察知するよりも早く、クロウデルはその背に立っていた。


「私の視線で見殺す」


 その手には黒の刃。最小限の動きでアンリミテッドを刺突する。

 だが先ほどと同じ瞬間移動で、アンリミテッドはクロウデルから逃れた。


 と、思われた瞬間、すぐ眼前にクロウデルが現れた。


「魔眼・焦点死角デッドスポット


 視線を集中させることで、その空間だけを消失させる能力。

 アンリミテッドの胸部の中心に、小さな空洞が出来た。


「勝った!」

「油断するなクロウデル!」


 ところが、アンリミテッドは動きを止めなかった。

 弾丸のように動くアンリミテッドの右腕、先端の刃がクロウデルの胸を捉え……


「それだけはさせない!」


 クロウデルの身体が強い力で横に押し出された。

 鋼と鋼がぶつかりあい、火花を散らし、鼓膜を突く。

 一点の曇りなく清らかな白刃と緑光の刃がせめぎ合う。


「あ、安全無欠!」

「彼らも僕の仲間だ。傷つけさせはしない!」


 クロードがアンリミテッドの刃を弾き、一閃を奔らせると、右腕がザンッ、と落とされた。

 更に後退するアンリミテッド。


「これで、終点ピリオドだ」


 突如走る紫色の火柱が、アンリミテッドの残る四肢を絡め取る。

 声がした上を見上げる瞬間、まるで雷の如き鋭さで、紫焔しえんが縦一閃を描いた。


「……戦闘続行、不可能」


 左右対称の機体が、左右に分かれて床に崩れた。

 それを見届けて、ドクはコンソールに向き直り、データを参照する。


「どうやら闇黒の徒の二人の能力は能力の複写といったところか。奪うものではないらしい。こちらが千変万化の異能を所持していてもあれを使われたら意味が無い。いや、それにしてもアンリミテッドの動きが鈍かったのはなぜだ? ……あー、学習装置の処理で容量を食ってるのかぁ。いわゆる不可解と呼ばれる現象ゆえか。これは神相手には致命的だなぁ。どうするかこれ……あ、そうだ。人間には条件反射というものが備わっていた。あのシステムを導入して思考処理とは別に緊急回避の手段を構築すればいいんじゃないか!? そうだな! では緊急回避にも種類を設けよう。バリアフィールドもいいしさっきの超高速移動もいい。あとは様子見と牽制の意味もかねて長距離攻撃の充実、ヒットアンドアウェイ等戦法の選択……」

「おい、いい加減にしろ。さっさと用件を済ませろ」


 隣の朱に言われ、ドクは朱の顔を見る。


「ああ、そうだったそうだった。さて、改めてようこそ、ユートピアへ……」

「ドク、アラートです」

「えっ、せっかくキリが良かったのに。今度はなんだいセカン」


 その声は先ほど倒したアンリミテッドの声と同じだった。


「客人の結城が急速にここまで接近しています」

「随分かかったねぇ。それで、今はどのへん?」

「現在4階、18階、50階……加速しています」

「なるほど。まあ放っておいても……」


 突如、僅かな震動を部屋に居る全員が感じた。


「この階の外壁が壊されたようです」

「いくらなんでも早い。どの部分?」

「現在、こちらの反対側から侵入。壁を壊している模様。このままだとコアルームに到達します」

「ああ、それならいいや。放っておこう。いいデータが取れるかも……」

「ドク、僕たちはなんのためにここに招かれたのですか?」


 クロードが珍しく苛立たしさを露にしていた。

 が、さして気にせずドクは応えた。


「まあ、表向きは君たちの……両国の友好的交流。だが、本当の目的は君たちの能力を分析すること。そして得たデータをもとに、このボクが神の軍勢への攻略法を考える、その情報を提供してもらうことが今回の目的だよ」





 それは見覚えのある、そして思い入れの強い部屋だった。

 まっさらな空間。中央には見覚えのある六角水晶。その隣にある機体は自分の……友人だ。


「久しぶり、ユートピア、あとゾーイ」


 黒を基調とし、灰と青のラインが描かれている。

 機体は一度跳ねるような挙動のあと、ゆっくりとこちらを見た。


「久しぶり、です。結城」

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