67話目 勇者伝、開幕
勇者、英雄、ヒーロー。
それらは誰もが憧れるであろう称号にして職業。
誰もが頼り、慕われるであろう存在。
「なりたい……」
だが、一人の少年が目指しているのは、そのどれでもない。
「主人公に、なりたい!」
主人公。それは物語の中心となり、人物たちの中心となる存在。
七徳正善。彼の手には、一冊の文庫本。
彩色鮮やかな表紙には、活き活きとした 主人公がヒロインを抱きかかえ、剣を構え、敵を睨んでいる。
勇者のように勇気があり、英雄のように誇り高く、ヒーローのように慕われる。
だが、苦手なものには恐怖し、完全無欠ではなく弱みがあり、聖人君子のように欲を捨て切れたわけでもない。
それを、救った仲間たちが、また自分を救ってくれる。互いに助け合い、励ましあえる仲間が居る。
完全ではないが、仲間を大事にし、最強ではないが、大切な人を護れる力を持つ。
安全無欠の勇者。それが彼の目指した主人公だった。
正善はそれを目指した。
しかし、その理想を叶えるためには多くの障害があった。
まず両親だ。
父親はこういった夢想を抱かないタイプだった。
超がつくほどの現実主義者 (ここでは高望みな理想や夢見がちな夢想を軟弱と称する者の意)で、浪漫もなにもない。
父が自分に求めるのは常に強くあること。そして正しくあること。そして完璧超人であることだ。
現実において、ただ強者として君臨し、自らの価値観で正義を定め、悪をなさず善人であること。
対して母親は成果主義で、拝金主義であった。金を多く稼いだものが力を有する。力を持つ者は常に正しく、故に金を稼ぐことこそが正義。そして、勝利と言う結果だけがすべて。
己が欲望を満たすために、金を稼ぐための能力を身につけさせようとしていた。
母親が父親と結婚したのも、父親が現実において最も金を稼ぐことの出来る人間であったからだ。
かつては宿敵という関係だったらしいが、彼にとっては両親の馴れ初め話など心底どうでもよかった。
「正善、なんだこの成績は。これくらいのことも完璧に成せないのか?」
「正善、強くなければ正義は定められない。負ければ正しくはあれない。強者であれよ」
父親の言うことは、そのほとんどが極論じみた正論のようであった。
ゆえに子供の知識では反論も出来ず、抗うことも出来ない。
「正善、この世で勝者となるのは金を稼ぐ者よ。あなたには誰よりも大金を稼げる人間になってほしいの。あなた自身が幸せになれるために」
「正善、友達は選びなさい。優しいのも良いけれど、敗者とかかわりすぎると弱さが感染ってしまうわ」
強者、正義を求めるが故に、夢を見ることさえ許されなかった。
成果、結果を求めるが故に、冷淡に、冷酷になることを強いられた。
だが、正善の内にある理想は日に日に増し、勇者への憧れは膨れ上がる。
そして十六歳、労働が出来る年齢になり、正善は両親の前から姿を消した。
両親の思想ゆえに、家庭は裕福なんてものではなく、世界屈指の大富豪であったため、生活に不自由は無かった。
などとは言えなかった。
そこにあるのは十二分に与えられる餌と環境だけ。そこには自分の意思と自由が存在できなかった。
正善は甘美な牢獄を抜け出し、自由の外へと足を踏み出したのだ。
それからは順調だった。誰よりも優秀であることを強いられたことが自分の身を助けることになっていた。
しかし、あそこに居続ければ、それを発揮する機会などなかっただろう。
建築の仕事を泊り込みで行い、程よく金を稼いだら転職。
進学はせず、中卒の社会人であるために、働ける場所はそう多くは無かったが、叩き込まれた能力でみるみるうちに金を稼いでいけた。
職場を転々とし、預金通帳の残高が九桁になった、家出四年目。
正善は突如、労働から離れた。
「違う……僕が望んだのは、こんなことじゃない」
能力はあった。実力もあった。
しかし、なぜか分からないが、仲間や友人というものが出来ない。
人より能力が抜きん出ているからか、頼られることはあっても、自分が頼ったり、競い合ったり、対等に立ったりする存在がまるでいなかったのだ。
上の人間からは、便利な奴だと褒められ、下の人間には、頼りになる方だと崇められ、同じはずの人間からは、凄い人だと称えられる。
人望、それだけは厚かった。よく頼られていた。それだけ給料も多かった。
だがそれは正善の求めるものではなかった。彼は社会的に有能で、羨ましがられる状況にいながら、最も望むものを得られなかった。
消沈し、彼は遠い田舎で土地を持ち、自らの腕のみで家を建て、生活環境を整えていく。
若くして隠居生活。しかしその中身はサバイバルにも近い。
すると、徐々にサバイバル仲間というのが増えてくる。
低出費を目指す者、単純にサバイバルに憧れを抱いていた者たちが集まり、やがてサークルのようなものになる。
だがそこでも自分は依存される存在となってしまった。自分が何かに依存することは出来ない。
それからは、もはや語ることも無い。
描いた夢想も空想も全てが儚く、何事も無く老いて、朽ちた。
朽ちて尚、その理想は失われてはいなかった。
仲間が欲しい、頼り、頼られる仲間が欲しい。
対等な友が欲しい。ともに戦える仲間が欲しいッ!
願いが、理想が、正善という存在を理想の世界へと誘った。
「なるほどなぁ」
結城としては、ここまではこれといった見所も無かったように思えた。
一応はパソコンで文章を打ち込んではいるが。
「まあこういうのは自分のが一番だからな」
自らが抱く理想の根源について言うならば、自分の経験した過去こそが絶対の存在であるのは当然だ。
人の過去がどうのこうのと、そこに興味を抱くのは結城や、類する変わり者くらいであった。
「まあ過去編なんて言うほど重要じゃないし誰も得しないよな。そろそろこっちの世界のことに入ろう」
過去は現在の行動からちょこちょこと小出しにしていけば良い。ということにした。
「それじゃあ次は、この世界に来るところからだな」
「分かった。じゃあそこから……」
「さて、ここからだな」
結城は両頬を叩いて気合を入れる。
「僕がその世界に来た頃は、まだユートピアもアルカディアも互いの存在に気付いてすら居なかった頃のことだ」
そして、クロードはその地に降り立った。ネクストワールド、理想の世界に。
「ここは……」
澄んだ空は、淀みない空気を呼吸に知らしめ、照る太陽は、世界を輝かせて見せる。
覚えているのは前世の最後、そして闇黒に響く男の声。
「ここなら、僕の理想が叶えられる?」
周囲は草原。正面には遥かに大きな壁。
灰色のレンガを積み重ねたような壁に、鉄製の門がある。
前世とは全く違う建造物。しかし、幾度も創作の世界で見た、夢にまで見た外観。
しばらく圧倒されていたクロードであったが、とりあえず歩を進めてみる。
すると、扉は自ら開かれる。ふと見上げると、壁の上にある穴から、見張り番が見下ろしていた。
「新入りだな? ようこそアルカディアへ!」
「アル、カディア……理想郷の名前だ」
理想郷アルカディア。その名前は、創作の世界では度々目にしていた。
門を潜り、理想国へと足を踏み入れる。
広々とした大通りに、また大きな噴水が小さな虹のアーチを描いている。
「すごい、本当にここは、僕が前居た世界とは別の、異世界なんだ……」
憧れていた異世界。クロードは少年のような好奇心に煽られ、歩を進めた。
歩けば歩くほど西洋風の街並みが続き、人々の活気ある声が途切れることなく響き渡っている。
「おい! おいあんた!」
すると背後から声をかけられ、クロードは振り返る。
門の上のほうに居た見張り番と同じ、兵士の恰好をしている男だった。
「あんた新入りだろ? だったら案内役が必要だぜ」
「案内役?」
「この世界のことと、アルカディアのことを説明してくれたり、補助してくれる奴のことさ。新入りはまず役所にいって、詳しい説明を受けて、分からないことがあったら案内役に聞くんだ」
「あっ、そうなんですか」
「ってことで、このまま真っ直ぐ進んで、城の入り口近くに役所があるから。間違ってもへんな小道に入るなよ?」
クロードは兵士に礼を言って別れ、言われたとおりに真っ直ぐ進む。
「ンだとてめェッ! ヤんのかコルァ!?」
「よし! やろうぜ!まとめてかかって来い!」
大通り、一部に人だかりが出来ており、そこから言い争いのようなものが聞こえた。
それがクロードにはどうも気になった。
「今の声、確かに女の子だったよね、片方……」
女の子が襲われているのだとしたら……そう思うと、クロードはすぐさま人ごみを掻き分けて進んでいった。
「このアマ、調子に乗りやがって!」
「ナメテンノカ、コノヤロウ!」
片方は三人。筋骨隆々の黒人と、長身の白人、二人に比べ小柄なアジア人。
対して片方は、碧緑の頭髪と紺碧の瞳を持つ、勝気な乙女。
「私は蓮華! お前たちがジョナサン流・拳闘道の師範代だろ? お前たちを一蹴すればジョナサン直々に稽古を付けてくれるって言ってくれたんだぜ」
「チッチッチ、オジョウチャン、ソレハマチガイダゼ?」
「うん? なにガだよ黒いの」
「イッシュウシタラ、ボクシングジャナイダロ? HAHAHA!」
「は……はっ!? そういえばそうだな!」
大うけの黒人に対し、呆れるアジア人、そして冷静な目で見る白人。
「まったくジョナサン師匠は相変わらずネー。にしてもお嬢ちゃん、本当に俺たちとファイトする気なのか?」
「当然だぜ。私は地上最強を目指してるんだからな!」
緑髪の乙女は見事に言い切る。
「さあ、やろうぜ! 最初は誰から……」
不意に、蓮華と三人の男の前に何かが立ちふさがる。
「すいません、貴方達は何をしていらっしゃるんですか?」
それはクロードだった。人ごみを抜け、なんとか騒ぎの中心までたどり着いた時、対峙する乙女と男三人が目に入った。
クロードの判断は概ね正しかった。
「いや、そっちのお嬢ちゃんに決闘を申し込まれたんだ」
「えっ」
ただし、その乙女が蓮華でなかったならば、の話である。
「まあ、こっちも格闘家だ。挑まれた勝負、ノーするわけにはいかないネー」
「そんな……」
クロードの途惑う姿に、アジア人が口を開いた。
「兄ちゃん、おめぇさんがどんな正義感と価値観を持っているかはしらねぇ。けどな、この世界じゃそういうのは力で押し通すしかねぇんだ。見たところ、おめぇさん此処に来たばっかだな。怪我したくなきゃ大人しく引っ込んで他方がいいぞ」
「いや、しかし……」
「なら、仕方ねぇ。体に刻んでやるよ。この世界での摂理って奴を」
その言葉の意味を理解する間も無く、鋭い拳が風を切る。
「っ!?」
それよりも速く、頭をぐいとどかされ、迫り来る拳は難なく掴まれる。
「なっ……」
驚きの表情を浮かべるアジア人。不遜な笑みを浮かべる蓮華。
「さすがに初心者相手に本気じゃ打ち込まないよな?」
「てめェ……ナニモンだぁ?」
「言ったろ? 地上最強になる挌闘士さ!」
ぱっ、と離すと、アジア人は即座に手を引き、軽いフットワークで跳ね始める。
「俺の本気の拳速は、必中の百打だ」
「へぇ、そりゃ楽しみだぜ」
蓮華もまた構える。弓矢を引き絞るような型で、アジア人と間合いを取る。
すでに始まってしまった戦いは、さすがのクロードも止められない。
「あの女の子は、どうしてあんなに楽しそうなんだ……」
「ソリャ、アタリマエダ」
「うわっ!」
黒人がいつの間にかクロードの隣で観戦していた。
「ど、どういうことですか?」
「自分のドリームに近づいていけるんだから、楽しいに決まっているサ!」
あわせて白人も隣で観戦している。
「ジブンノリソウニ、ヒタスラムカッテイク。ソレガコノセカイデノイキカタダヨ」
「よくルックして、参考にするといいヨ」
「あれが、この世界での生き方……」
長いにらみ合いの末、ついにアジア人が動いた。
一瞬、その姿を見失うほどの瞬発力が、雷電のごとく拳が飛ぶ。
「フッ!」
しかし蓮華はその動きに対応して見せた。
弓矢を引き絞るような構え。引いた拳が打ち出された。
だがどうしても先に動いたアジア人の拳が先の届く。誰もがそう思った瞬間、蓮華は重心を移動し、顔を左に逸らした。
拳は頬と髪を掠め、代わりに蓮華の右拳と衝突した。
その音は、ただそれだけで決着を悟らせる音だった。
「がっ、ぐっ……」
叫ばないのは、格闘家としての意地か、アジア人は苦痛に悶絶しながら拳を抱え、くの字に折れる。
「二発目はないぜ!」
その技量に、クロードは打ち震えた。
「すごい、速度重視の相手に破壊力で対応した!」
「イヤ、チョットチガウ」
「確かにとんでもなく硬いパンチだけど、あのスピードに対応した反射神経は凄まじいヨ。スピード勝負でも勝てたかどうか」
「で、次は誰だ?」
そして一歩前に出たのは白人だった。
長身の白人は、蓮華の慎重の約二倍ほどであった。
「エヴリシング。物事は背の高い男がウィナー」
「高っ!」
「人間は頭上からの攻撃に対してベリー弱いヨ」
「へへ、でも闘りようはあるぜ」
蓮華が微笑み、白人もまた微笑む。そして大きく拳を振り上げた。
「なら、ウォッチングさせてもらうヨ!」
拳は隕石のように蓮華に降りかかる。
蓮華は軽々とフットワークを駆使して避ける。
「さすがアイツのアタックに反応しただけのことはあるネ。バット、それも何時まで続くかナ!」
一打、また一打と、蓮華は軽やかに避けていく。
「れ、蓮華さん! そのままじゃ!」
クロードの声に耳を貸さずに避け続けると、蓮華の背に何かが当たった。
壁だ。建造物の壁。もう背後には下がれない。
それを好機と白人は笑う。
「HAHA! ゲームオーバーだ!」
単細胞に振り下ろすかと思いきや、両腕を広げて左右から拳を打ち込む。
「いいや、ロスタイムだぜ」
ガコッ、と拳と拳がぶつかり合う。そこに蓮華の姿は無い。
蓮華は白人の眼前にいた。
そう、本当の眼前。同じ高さの目線。自分に匹敵する位置にいた。
両足はしっかりと壁面にあり、拳はブレなく顔面に向けられる。
「届いたぜ?」
「オォ、ワンダホー…ッ!」
重い衝撃音、壁面に皹が入り、白人の長身は背後に吹っ飛び、大通りの真ん中に倒れた。
一方、ふわりと羽のように降り立つ蓮華は、次に黒人を見やる。
「さあ、ラストだぜ!」
「ッタク、フタリモヤラレテンノニ、オレガカテルワケネェッテノニ……」
「格闘家なら、闘いを拒むなんて敗北以上の恥、だもんな?」
「ワカッテルナラ、エンリョシテクレ」
「私にとって闘いは最高に楽しい一時なんだ。せめて出来る限り優しく倒してやるぜ」
唖然とするクロードを置き去りに、黒人は蓮華の前に出る。
「イクゼ!」
「同じく!」
すると黒人は地面を蹴り、見る見るうちに加速し、蓮華へと突っ込んだ。
蓮華の体など吹き飛ばされるかと思いきや、なんと僅かに後方に押しやられた程度で勢いを食い止めた。
「オマエ、ホントウニナニモノダヨ!?」
「私は蓮華! 地上最強になる挌闘士!」
筋肉達磨の黒人は、まるでカブトムシのように蓮華に持ち上げられた。
決して、弱い相手ではなかったはずだ。
それを余裕そうに、しかも全力で堪能した後に漏れなく打倒した。
圧倒という言葉が相応しく、クロードはただその光景に……
「か、かっこいい」
憧れていた。
主人公において、やはり強さは欠かせない要素であるからだ。
憧れていた勇者となるならば、それ相応の実力を有していなければならない。
「お前、名前は?」
目にした光景を何度も脳内で再生しているクロードの前に、蓮華が立っていた。
「えっ、あっ、僕は……」
「あ、そういえば此処に来たばっかりだっけ? なら、好きな名前を名乗るといいぜ?」
「えっ?」
「ここは理想の世界だ。前世の名前を捨てて、新たな名前を名乗るっていう奴も多いんだ。私は前世の名前のままだけどな」
正善。この名は自分には合わないとずっと昔から思っていた。
自分には、なにが善くて、なにが正しいのかなんてことはよく分からない。
ただ強く、正しくと言い付けられながら、その中身はまったく教えられることはなかったからだ。
自分はただ、主人公になりたい、仲間が欲しいと思い続けて生きてきた。
正しいもなにも、自分にはそれを判断する基準を持っていない。
「僕の名前は……」
ならばと……青年は、前々から想い描いていた理想の勇者の名を名乗ることにした。
「クロード。僕はクロードだ」
「クロードか! 良い名前だ。私は蓮華。地上最強を目指す挌闘士だ!」
クロード。後に、安全無欠の勇者と呼ばれ、空前絶後の功績を残す理想人である。
「へぇ、そこで名前がクロードになったのか」
「うん、いつからか、来世を夢想するようになってた。生まれ変わったら、勇者クロードとして活躍したいって思ってた」
理想を抱く者は、ほぼすべてが妄想をするものである。
「それからは、役所に行って、色々な書類を貰って、住居にはすぐに入れた」
「嘘だろ……」
ふと結城のキーボードを叩く手が止まる。
「結城のときは一日待たされたわね。ふふっ、懐かしい」
結城の頭の上のチェリーが悪戯っぽく笑う。
「ああ、懐かしいな。お前は急に居なくなっちゃうしな」
「そ、そういうことを掘り返すんじゃないわよ!」
「あ、そうだ」
会話の流れをぶった切り、何かを閃いた結城。
「また唐突に……今度はどんなろくでもないこと思いついたの?」
「俺がいつろくでもないことを思いついたんだよ。いやな、クロードの自分語りも必要だけど、他者から見たクロードってのも必要だと思ったんだよ」
「他者からって、つまりどういうことよ」
「語り手を増やす。参考人を呼ぼう」
「へぇ、こんなところに住んでたのか!」
蓮華は興味津々で無駄に豪華な結城の自室を見回す。
「掃除が大変そうだ」
「今日はお招きいただいてありがとうございます」
蓮華の横にはローラが居る。
また、クロードにもいつものメンバーがそろっていた。
エルフのエル・フォレスト・メイヴ。そしてアマゾネスのリューテ。
「水臭いぞクロード。そういうことなら私も連れて行ってくれれば」
「そうじゃぞクロード、お前と儂のハーレム生活を忠実に、おっとこれではR-18になってしまう」
和気藹々とした安全無欠のメンバー。そしてクロードと出会った蓮華とローラ。
そして実際にクロードと対峙し、対決したことのある結城自身が語り部となり、それを書き綴る。
「それじゃあ、続きを始めようか」
「えーっと、それじゃあ私からでいいんだな?」
一同が席に着き、語り部となる蓮華は結城の隣に座る。
「初対面でのクロードの印象はどうだった?」
「珍しい奴だなと思ったな。理想を叶える世界で、自分の理想以外に興味を示すやつはほとんどいないからな」
ここ、理想の世界では、誰もが自らの理想を叶えようと日々、切磋琢磨している。
暴漢から乙女を護るタイプの人間が居ないということもないが、珍しいことには変わり無い。
「しかも私が庇われるなんて、本当に貴重な体験だったぜ」
地上最強という理想を持つ蓮華。その戦闘力は、その気になれば理想戦争も一人で終わらせることが出来ただろうといわれるほど。
そんな蓮華だからこそ、ボクサー三人相手に身を挺して庇おうとする存在。そしてそんな経験をさせてくれるなんていうのは、確かに希少で貴重といえた。
「で、クロードとは翌日また会った」
蓮華はつらつらと語り始める。




