51話目 穢れ阻む風
※今回はキツめの胸糞描写がありますが、お気になさらず。いちおう目印でライン引いときます
圧倒的な力の前に、傭兵たちはなすすべなく殲滅され、ガンダーラは陥落するかに思われた。
瓦礫と化した街の中心で、エア、魔女と対峙する二人の影
「レイア、今です!」
「よしッ!」
夜闇を舞う一人のアマゾネスの少女。
その鉤爪が、マクスウェルの喉を襲う。
「させんッ!」
突如、暴風がレイアを攫った。
体を宙に浮かされ、圧縮された空気の塊が真上から振り下ろされる。
「ぐふっ……」
「風よ!」
腹部を強打され、レイアは高い空中から硬い地面へ叩き落される。
ティターナは咄嗟にレイアの真下に空気のクッションを作り、受け止めた。
「予知能力……ザックの言うとおりか」
レイアは跳ね起き、二人の少年少女を睨みつける。
「ティターナ、もう一度だ」
「ええ、もう一度」
「もういいだろ」
エアは魔女を庇うようにして立つ。
「お前たちにも果たすべき理想があるなら、無駄に戦い、無駄に命を散らすこともない」
至極まっとうな意見であった。
それを敵に言われる違和感。
レイアはいぶかしむ。
「なら、お前の理想はなんだ。それほどの力を持っていながら、なにをしようとしている?」
「語る必要があるか?」
レイアは答えずに飛びかかった。
あわせるように、ティターナも矢を放った。
魔力を宿した矢は、エアに近づくにつれて暴風に曝され、エアの眼前で静止し、横に吹き飛んだ。
「ぐっ……」
レイアの体もまた接近すると共に風圧に勢いを殺され、空気の塊をぶつけられてまた吹っ飛ばされる。
「俺の理想なんて知ったところで、お前らに何の得がある」
「さて、どうでしょうね。ただ、せめて納得はしたいところです。私たちと、貴方がたが対峙する。理想の理由、せめて知らなければ、納得できない」
二射目、魔法を付与された矢は、弓を複雑に動かすのにあわせて、その起動を変える。
稲妻のように右往左往し、背後に回りこんで後頭部を狙う。
しかしそれも一射目と同じように風圧で勢いを殺され、弾かれる。
「これも駄目ですか……」
「おのれぇ、奇怪な技を……」
「俺の理想……か」
物憂げに夜空を見上げるエア。
その隙を、レイアが見逃すはずはない。
獲物を駆る猟犬の如く。
それ速さは、矢を、銃弾をも凌ぐ。
「っ……」
ザリッ、と地面に踏みとどまる。
強風、自分の体が辛うじてそれに耐えられる、敵との距離。
「これは……」
あまりに不思議だった。
傍にいる少女の髪は、一本たりとも揺れては居ない。
なのにレイアの髪は激しく乱されていた。
そして、距離が変わらない今の状況で、向こうは何かをする気配を見せない。
迎撃、追撃どころか、この風を強めることすらない。
「おまえぇッ!!」
レイアの表情が、人喰いの狼のように歪む。
「私を馬鹿にしてるのかッ!」
後ろに跳び、追い風になる強風で、更にエアとの距離をあける。
「図に、乗るなよッ!」
「こいつ……っ!」
暴風は覆い遮るカーテンのように。
それを今、獣の爪が引き裂く。
「裂き殺す、雑踏残爪」
爪が軌跡を描いた。
レイアの姿は、既にエアの遥か後方に。
「なん、だ。これは」
「……っ! マクスウェル、お前勝手にッ」
レイアの装備している鉤爪。その刃が、無かった。
ただ残った刃の付け根が、橙色の熱を発していた。
「はぁ……マクスウェル、あれくらい、風で軌道を剃らせられた」
「でも、でも……ごめんなさい」
「いや、お前は悪くない。心配してくれんだから、礼を言わないと」
エアはマクスウェルの頭を撫でる。
「ありがとう、ウェル」
「……えへ」
「でももう二度と勝手に能力を使うなよ」
「はい」
なぜか戦闘中に和やかにやりとりしている異能者二人。
対して、レイアは唐突な得物の異変に動揺していた。
「熱……武器が、溶けた?」
あの一瞬で、鉤爪の刃がすべてやられていた。
会話を聞くに、それがあの少女の能力であるという。
この理不尽さ。この不可思議さ。これではまるで……
「魔法……?」
驚いていたのは、ティターナも同じ。
ティターナの目には見えていた。
少女が操った。異質な魔力が。
「レイア、ここは一旦引きましょう」
「くっ……」
あまりに得体が知れなさ過ぎる。
少女のほうは特に動きが無いと思っていたが、こちらの方が余程危険にも思える。
「くそッ! くそぉッ!!」
ティターナとレイアが合流する間も、何かしらの攻撃を加える仕草すら見せず、最後まで何もしなかった。
やがてエアとウェルは浜辺に辿り着く。
ここからでも、その巨大な要塞の姿が見えた。
「あれがアトランティス……」
南から、アトランティスから光が打ちあがるかのように、夜明けの太陽が昇る。
「間に合った」
背後からの声、エアとウェルは振り返る。
そこには、誰一人として欠けることなく、戦場を乗り越えた勇者らの姿があった。
「安全、無欠。異能者は……」
「勝ったのは僕らだ。もう君たち二人だけ。大人しく降参してくれ」
「そうか」
エアはなんの関心も見せず、ただアトランティスに向かって歩き続ける。
その後姿を確実狙う、リューテの大弓。
左足の指で弓を持ち、右手で矢を引き絞る。
「殺想一閃、放つ」
弓のしなりが、一気に弾ける。
空気を切り裂く刃、その矢の大きさ重さ、速度は確実に大木を裂き、岩石を穿つ。
しかし、矢は横合いからの暴風に殴られ、軌道は逸れて、海へ、水平線の彼方に消えた。
「なるほど、聞いたとおりか」
無間の風。その言葉通り、エアの異能は無間のようで底が知れない。
「でも、ここで退くわけにはいかない。アトランティスは守り切る!」
クロードは己の聖剣を手に創り出す。
「極聖・ペルフェルクト」
白銀の剣身は、魔法も異能も切り裂く光の刃を宿す。
「聞かせてくれないか、君の理想を」
刃を重ね合わせる前に、クロードはただそれだけが聞きたかった。
むしろ、もはやそれ以外に、あの彼に出来ることなど無いと。
エアの曇りない、瞳に悟らされた。
「俺の理想……俺に理想は無い。あるのは、願望だけだ」
夜明けの太陽を覆い隠し始める、灰色の暗雲。
「俺の望みは唯一つ、俺の想いは変わらない。あの頃から、一度たりとも」
海が怒り狂っているかのように、荒波が立つ。
強風どころか、暴風が周囲一帯に吹き荒れていた。
「こいつを、護る」
それが誰なのか、問う必要など無かった。
「こいつを脅かす全てを殺す。世界を、殺すッ!!」
なんのことはなく、ただ偶然に出会った二人だった。
普通の公園、普通に遊ぶ、普通の子供。
そのときは、偶然にも男子と女子が共に遊ぶことになった。
男子の中で、一人の少年は、独り本を読んでいた。
外遊びがあまり好きではなかった。
あまり体の強い方ではなかった少年は、本の中で、主人公になりきることで、あらゆる困難を乗り越えられる勇者になれた。
だから彼にとって、彼の住む世界は現実よりも、本の世界であった。
少年は喧しく響く男子女子の声で、ふとこちらの世界に引き戻された。
集中していた糸がプツンと切れ、体を少し伸ばしてリラックスする。
これもまた、贅沢なほどに心地よかった。
青天の下、心穏やかに読書に耽ることができるのだから、なんの不満も無かった。
ふと、視界の端で動く者が居た。
目を向ければ、ただ一人、ブランコに乗って揺れる少女が居た。
その少女は、明らかにつまらなそうにしている。
いや、つまらないなどという軽い表現では不適当なほどに、鬱々とした表情だった。
少年は少し考えた。
もしかしたら、あの少女はいじめられているのかもしれない。
しかし、外見に何か問題があるわけではない。
部位が欠損しているわけではなく、可哀想なほどに残念な容姿、というわけでもない。
むしろ外見に関してはほぼ完璧だろうと思えた。
そういえば、ものすごく可愛い転校生が居たという話を耳にしたことがあった。
あの少女がそうなのか、と少年はそのときになって気付いた。
しかし、ならばどうして、少女はあの煩わしい同年代と遊ばないのだろう。
まさか自分のような変わり者がそう簡単に居るわけはないだろうが。
そんなことを考えていると、少女は大きな溜息を吐いて、こちらをチラリと見た。
一時、視線が合った。
少女は慌てて顔を背けた。
少年は呆気に取られて、特にすることもないので、再び本を読んだ。
「おおい! おまえもこっちであそぼうぜ!」
「ごめん、そとあそびはにがてなんだ」
なぜこうも外で遊びたがるのだろう。
よほど頑強で頑丈な体を持っていると、ああも活発になれるのだろう。羨ましい。
とはいえ、今更それが欲しいとは思わない。
自分は本を読み、楽しむ術を見つけた。
本の中でなら、どれほど途方も無いことでも成し遂げられるのだ。
それが妄想と呼ばれるものだと知るのは、もう少し後のこと。
これが、少年と少女が最初に出会った瞬間。
互いに視線を交わしただけの、ただそれだけのこと。
子供は成長するにつれて、大人になっていく。
「子供は複数なのに、大人は一人だ。同族を食い物にし、無情にして非情な競争に勝ち残った、ただ一人の人間を立派な大人と呼ぶ……そんなものに、俺は憧れなど抱かない」
少年はひねくれていた。
それゆえに孤立することも多く、友人は一人も居なかった。
学校でも部活には所属せず、図書室で読書に没頭する毎日。
そんなある日、昼休みにそろりと忍び込む少女。
「あ、あの……」
「…………」
「す、少しよろしいです、か?」
酷く内気な少女が、読書を続ける少年に声をかける。
「お願いが、あって……」
すると突然、図書室の扉が勢いよく開く。
少女が怯え、意味不明な言葉で鳴く女子が迫る。
耳障りな声が少年の耳を嬲る。
「喧しい」
静かな声が響き、けたたましい声が止んだ。
「ここは図書室だぞ。読書に励むところだ。騒ぐなら外にいけ」
「はっ? お前なんなの? ウザいんだけど」
「そうか……お前たちには本のよさを教育する必要があるようだな」
「な、なにこいつキモ……ひぃ!?」
ゆらりと立ち上がる少年、後ずさる女子ら。
謎の気迫、そして、繰り広げられる怒涛の本の、読書の素晴らしさ。
内容はファンタジーに偏っているものの、その愛と熱意は女子らを圧倒し、退散させるのには十分だった。
「き、キモイキモイキモイ!なに熱く語っちゃってんの!?」
「も、もういいよ行こう? こんな奴に構ってられないっつーの!」
逃げていく女子ら。しかし、少女の関心は既に少年へと向いていた。
少年は視線に気付く。
「何か?」
「わ、わたし、感動した……」
頬を紅潮させ、興奮したふうに身を乗り出す。
「っ!?」
「も、もっと……教えて、ください」
少年は思いもよらぬ少女の反応に驚く。
そして、微笑む。
「お前は見込みがあるな。よし読書家としてのあり方から隅々まで教えてやろう」
それは、少年の短い人生の中で、最も近く、深く、親しい関係を築く相手となった。
少女は少年に習い、様々な本を読んだ。
そして少年と同じように、本の世界に憧れた。
やがて少年と少女はかけがえの無い親友となっていた。
もしかしたら、既に親友の次の段階に移行しつつあったのかもしれない。
恋し、愛し合うこと日々を送れたかもしれない。
あの事件がなければ……
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少年は本の世界をこよなく愛していた。
正確には、膨大な量のファンタジー知識を得たが故に、繰り広げられる自分の世界を。
ゆえに少年は、少女の異変に気付けなかった。
熱意が日に日に衰えているのを、その目から生気が失せていることを。
少女が、過酷ないじめによって精神をすり減らしていることを。
少女が図書室に来なくなり、少年は少女を探し始めた。
少年が本ではなく、人を理由に動くことなど、初めてのことであった。
「いない……」
学校のあらゆるところを探し、見つけるのに時間はかからなかった。
それは少年が図書室以外の、静かに読書を出来る人気の無い場所を熟知していたからであった。
そのうちの一つ。保健室。しかも鍵がかかっている。
だがその程度のことは問題ではない。一流の読書家となれば、保健室の合鍵くらいは用意しているものだ。
少年はポケットから鍵を取り出す。
そのとき、室内から物音が聞こえた。扉に鍵がかかっているにも関わらず、だ。
不審に思った少年は扉を開けずに聞き耳を立てる。
「んっ……はっ……」
「我慢してねぇで、素直に声を出してみろや?」
どうやら常時の真っ最中のようだ。
自分の読書スポットでこんなことをされてはたまらない。
一言物申そうと思ったが、ふと悪戯心が芽生えた。
そこで少年は扉を開けずにノックする。
「おい、誰かいるのか?」
自分でやっていて呆れるくらいの棒演技であるが、事の最中に不意を突かれた中の人間には効果抜群だったようだ。
焦り、慌しい物音が聞こえてくる。
「おい!この時間帯なら大丈夫って言ったのテメェだろうが! どうなってんだよ!?」
「わ、わからねぇよ! いいから今は早くしろや!」
たっぷり1分。笑いを押し殺しながら、中から物音が完全にしなくなるまで待ち、ようやく扉を開ける。
しかし、まだ何者かの衣服が床に落ちていた。
気が動転して逃げ遅れたか。窓が開いているのでほかはそこから逃げたようだった。
「チッ、まだ誰か居るのか」
小声で呟きながら、散らかった制服を薄汚れたボロ布を扱うように摘まんで持ち上げる。
恐らく裸だろうと、すぐに制服を投げつける用意をして白いカーテンを開けた。
「おい、いつまでそこで……」
本で読んだ知識で、そういうことも知っていた。
だからこそ、裸体の女子がそこにいたところで、何のことも無い。
そう、思っていた。
その女子が、あの少女でなければ、少年はまだ淡々としていられた。
「っぐ……うえぇ……」
そのときの、胃の中のものを必死で吐き出そうとしているような嗚咽は、耳に深く染み付いてしまった。
しかし、少女にとっての本当の絶望は、その後。
こちらを見ている人間が、誰なのかを視認してしまったときに訪れた。
「どう、して……なんで、なんでぇ……!!」
そこからの泣き声は、あまりにも悲痛だった。
まるで地獄の責め苦をその一身に凝縮されたような。
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少年にとって、少女はさして価値のない存在だった。
そのはずだった。
しかし、少年の心を蝕むのは、途方も無い、名づけられない感情。
敵討ち? 復讐? 罪悪感からの罪滅ぼし?
そんな単語ばかりが頭を埋め尽くす。
いつの間にか少年は本に没頭することも出来なかった。
少女のあの姿が、網膜に焼き付いてはなれない。
嗚呼、それでも少年には、何も出来ないのです。
なぜならば、少年は現実において、ほぼ無力だからです。
虚弱な体では、復讐は愚か、強くなることもままならない。
少年は望みました。強くなることを。
少女を護れる力を。
少女を救える力を……
しばらくして、少女はまた図書室を訪れました。
少年は少女を迎え入れました。
何よりも優しく、誰よりも愛しく。
少女の穢されたあの姿を、少女の笑顔で塗り替えようと。無意識のうちにしていたのです。
少女は微笑みを浮かべてくれました。
そして、こう言ったのです。
「貴方のせいじゃない。気にしないで」
少年にとって、それは強さに見えました。
そんな強い存在を、少年は本の中でしか見たことがありませんでした。
そんな、まるで本の世界の住人のような少女を、少年はとても愛しいと感じました。
だから少年は唯一つ強く願ったのです。
もし、次があるならば、この少女をあらゆる害悪から護れる力を手にしたい、と。
そう、それは本の世界の住人のように。
「そうか、それが、これが君の……」
クロードの能力、主人公補正がその力を発揮する。
強い理想同士が共鳴しあい、クロードにエアの理想の真実を見せる。
「こいつには、指一本触れさせない」
大きな嵐が、ガンダーラを中心に生まれる。
その膨大な力は、後続のユートピア軍すら阻むほど。
「これが最後の警告だ。邪魔をするなら、殺す」
「生憎と、僕にも果たすべき理想がある。安全無欠の理想がある」
過去の悲惨さなど、何の意味も持たない。
この世界で比べられるのは、ただ想いの強さのみ。
「行くぞ!」
クロードは跳躍し、一気にエアへと斬りかかる。
「エアード・ブレード」
風を操り、その手に風の剣を握る。
変幻自在の風刃と、清風明月の白刃の剣戟が始まった。
「後悔するなよ」
エアが両腕を広げ、素早く左右にクロスさせる。
それに応じて、右は全てを燃やし尽くす灼熱の風。
反対に、左は総てを凍て付かせる凍結の風。
左右から迫る異なる風が、クロードを襲う。
しかし、クロードは慌てる様子もなく、くるりと回転し、剣を振り抜いた。
すると風は切り裂かれ、クロードの髪は動作以外で揺れることさえなかった。
「斬り込んだ対象は否応なく、広範囲に渡って浄化するのか」
「次はこっちから行く。アイシア!」
氷の弾丸がエア目掛けて進む。
「小細工か?」
しかし氷の弾丸は風によって逸らされる。
「アイシクル!」
次の瞬間、氷の弾丸は爆発のような音共に、刺々しい形状となって広い範囲にまで巻き込み氷結する。
エアの左腕が、その氷に飲まれた。
同時にクロードはエアに更に接近する。
「小細工だな」
巨大な氷は一瞬にして砕け散る。
そしてクロードに掌を向けた。
「エア・ストライク」
クロードの刃は、まだ僅かに届かない。
圧縮され空気の塊が、砲弾のように打ち出され、クロードの額へと突き進む。
突如、クロードの体はより低い姿勢をとり、頭上を空気の砲弾が通過する。
深い姿勢から、ロケットのように飛び出すクロード。
即座にエアは右手に風を収束させる。
「草薙の風」
それは確かに剣だった。
その剣が形成された瞬間、全ての風が止んだ。
凝縮された風の刃は、なんとクロードの聖剣すら受け止めた。
「僕のペルフェルクトを受け止めるなんて」
それでも尚、クロードの聖剣は確実に競り勝っている。
「負けられないッ!」
大きく振り払うと、風が一瞬だけ切り裂かれた。
膨大にして強力な風でさえ、クロードの聖剣が優勢だった。
エアは後ろに跳躍し、刃を避ける。
風によって飛距離を伸ばし、マクスウェルのすぐ近くまで下がった。
「君の負けだ」
宣言するクロード。
しかし、エアの目には、マクスウェルの心配そうな表情だけが映っていた。
「心配するな、必ず護る」
そして、エアはクロードを見る。
「さすが勇者だ。もうこちらも遠慮はしない」
エアの右手には、次なる風が凝縮されていた。
「構エ太刀」
エアの右手に、実物の刀剣が顕現した。
「風向きを変えさせてもらう」
ライン内を要約すると、色々酷い虐めを受けたみたいなことです。




