11話目 戦争
険しい山脈、そして深い空。一羽の鳥が羽ばたいている。
静かな空。次の瞬間、空と静寂は大きな翼に切り裂かれた。
「クソッ! 後ろを取られた!」
音速をも超える速さで空を飛翔するのは、灰色の体の、大きな翼を持つトカゲ。その背には甲冑をつけ、槍を持つ騎士と魔法使い。
「レイチェル! 後方にファイアーボール!」
「やってます! でも、速すぎる!」
後方を見る魔法使いの目に映る、大きな鉄の鳥。
「やばい来る! 障壁魔法……」
「飛竜! 急旋回!」
翼を広げて空気の抵抗を受け減速、そして横に曲がる。その僅か後に後方からの鉄の弾丸が無数に放たれ、飛竜の身を掠め、悲鳴を上げる
「くっ! 駄目だ、あんなのに勝てっこない! 撤退する!」
急旋回し、山脈の隙間に飛び込んだ。
「なっ!?」
そこには別の鉄の鳥が潜んでいた。尾の長く、上部に回転する羽を取り付けた鳥。
「何が鳥だよ、これじゃあ……」
鳥から筒が飛び出し、こちらめがけて突進してきた。
山脈の隙間から爆発がおこる。それを目にした4匹の赤い竜の編隊が飛び交う。
「だまされた! 何が火竜の火力なら落とせるだ!」
竜騎士が駆る赤い竜のそれぞれを、鉄の鳥が追っている。
「飛竜で追いつけないんじゃ火竜だって……クソォ!!」
竜を振り向かせ、襲い来る鉄の鳥に炎のブレスを放つ。だが鉄の鳥は回避する。代わりに筒が火を突き抜け、高速で迫って火竜とぶつかる。瞬間、爆裂し、バラバラになった竜の四肢が山脈へと降り注いだ。
ざらついた音声で、報告がなされる。
「こちらアルファ2。一騎撃墜」
「アルファ4、こっちも仕留めた」
光と音が瞬き、やがて止んだ。
「アルファ1、敵機撃墜。これで最後だな」
「全機撃墜を確認、制空権は取り戻された。スカイドルフィン隊、帰投せよ」
「いやぁ、一時はどうなることかと思ったぜ、レッドドラゴンなんざ」
「所詮は養殖の雑魚だ。火力も装甲も紙同然。ビビることはねぇ!」
「この空は俺たちのものだ。トカゲ使い程度に渡しはせんよ」
「だが向こうに技術が流出しているのも事実だ。戦闘機を模される前に叩き潰したいもんだ」
「全機、無駄なお喋りをやめろ。帰投するまでが任務だ」
「へいへい。分かりましたよ隊長」
鉄の鳥……戦闘機が西へと帰っていく。ワイバーンの姿は一つもない。
再び空に静寂が戻った。
「戦争、ですか」
優勝した結城と蓮華を祝う宴会という名目で今日はすき焼きパーティー。
華々しいものとはいかず、話は結城が戦争に駆り出されることに。
「でもその前に、結城さんの隣にいる女性、確かレイランさん? 何者なんですか。危うく誘拐事件として通報するところでしたよ」
「なんで誘拐なんだよ」
ツッコミながら、結城は鍋の具をよそってレイランに手渡す。
レイランはありがとうございます、と律儀に礼をして受け取る。
「あ、卵要る?」
「恐れ入ります」
「結城さんがそんな綺麗な女性連れてくるなんて予想もしなかったですからね」
相変わらず素の言葉が鋭利過ぎる。
「初めまして。私はレイランと申します。本日よりマスター……結城様の従者をさせて頂く者です。どうぞお見知りおきを」
「従者……一応、結城さんの部屋で居候と言う形にしておきます。結城さん、飼うならきちんとしてくださいね」
「飼う!?」
「主従なんて国と公務員と同じで犬と飼い主みたいなものでしょう?」
でしょう? と言われてそうですねとうなずけるわけがない。
それはともかく、戦争の話に戻る。
「確かに結城さんは保留と仰っていましたね。あとは結城さん本人の意思次第です」
「私は……反対よ」
そう言うと誰もが思っただろう。一同がチェリーを見る。十分に汁気を吸った白菜を齧っていた。
「戦争なんて結城に出来るわけが……」
「でも結城は大会で優勝したぜ? その実績は確かだ」
「戦争とバトルじゃ全然違うじゃない! 命のやりとりよ!?」
「なぁ結城、悪いことは言わない。戦争するにしても、王国の下で戦うのはやめておけ」
グレイが言う。傭兵としての見識があるのだろう。
「お前みたいな奴は上官の命令を鵜呑みにして、クソみたいな作戦でクソみたいに死なされる。実にくだらねぇことだ。俺についてくれば、まず死ぬことはないぞ」
グレイの目に偽りはない。確実に相棒を守りきる自信があるのだろう。
「下手してワイバーン隊なんぞに入ってみろ。的になるだけだ」
「ワイバーン隊?」
「いわゆる空軍って奴だ。飛竜に乗って操縦する。後ろに魔法使いを乗せて攻撃や防御をしてもらうんだが……向こうが使ってる鉄の鳥の方が速いし強い」
「鉄の鳥ってどんなの?」
「そうだな。口から弾丸を吐き飛ばし、羽から爆裂する追尾してくる筒を飛ばし、自分はケツから火を噴いて空を飛ぶ。そんな奴だ。奴らは戦闘機と呼んでるらしい」
「ああ、なんだ戦闘機か」
なんて説明をしてくれるんだこの傭兵は。
「にしても、なるほどそれじゃ勝てない」
「魔女はユートピアが進軍してきてから早々に身を隠した。今じゃ魔女なんてここでも珍しい……」
「魔女ならそこにいるぜ」
「えっと……」
蓮華の腕が、一人の魔女の肩を抱く。
「ローレライ・アンジュ! 世界最強の魔法使い!」
「せ、世界最強は言い過ぎだよ、蓮華ちゃん…」
「なるほど、ローレライなら……でもそれだと飛竜に乗る必要がないな」
ローレライなら魔法だけで戦闘機を落とせるらしい。
「とにかく、国の下につくのはやめた方がいいぞ。絶対な」
「戦争に参加するのも断固反対よ!」
「そうは言うがなピクシー。お前のワガママで結城を振り回しすぎるのはどうかと思うぞ」
「うぐっ……そ、それは結城のためを思って…」
「そもそも、なんでピクシーが結城に付き添ってるんだ?」
そういえばそうだ。どうしてチェリーは自分の後をついてくるのか。そして意見までしてくる。
「もともと、私は一人前の案内妖精となるための試験として、大妖精様からこの世界に来た子の案内をするように仰せつかったの。本来は結城が住居を手に入れた時点で役目は終わりだった。でも、その後は自由にしていいって言うから」
「要するに、好きで一緒にいるわけか」
「ちょっと言い方どうにかできないの?」
さて、結局のところ、結城の意思はどうなのか。
「俺は、参加してみたいと思う」
各々の反応はそれぞれだった。
やはりグレイは苦虫を噛み潰したような表情だった。
「一応、理由を聞きたい。俺は自信があったんだが」
「いや、別にグレイを信用できないってわけじゃない。ただそれだとつまらないってだけで」
「ほう、自分の命が失われるかもしれない場所で」
「生き永らえると分かっているのでは、面白みがない。戦争ならば戦争らしく、戦争に臨みたい」
「はーん、なるほどねぇ」
自分の命より、好奇心を優先する、か。
「それで、理想を追い続けて果てたってことか」
「そうだとも。叶うアテの無い理想を追うには、多少は緩んでないとぶっ壊れる」
その時だけ、グレイの目に映る結城の顔は、長く戦場を闊歩した老兵のように見えた。
「なるほどな。それじゃあ俺はお前が戦場で死なないように、生き残るコツだけは伝授して、また傭兵に戻るとするよ」
「ご心配なく。マスターは私が御護り致しますので。たとえ場所が戦場であれ魔界であれ、敵が神であろうと魔王であろうと、マスターを守り抜きます」
「さすがシルファン家の娘さんだ。言うことが違う。神断魔裂なんてお茶目な四字熟語もまんざら冗談ってわけでもなさそうだ」
戦場でも時たま耳にするシルファンの噂。正直なところ意味分からないしある種の皮肉かと思ったのだが、シルファン家代々の戦歴と彼女の言葉を聞くとすごく強そうに聞こえる響きだ。
「マスター。マスターがお望みとあらば、一度戦場を駆けるのも一興かと」
「レイランは戦場に出たことはあるの?」
「はい、武者修行で何度か。やはり剣は生死の狭間にて研ぎ澄まされるものですから」
「にしても、あと今日を入れてあと三日か、下手に戦場に出すのはなぁ」
ぼやくグレイの気持ちも分かる。どうあれ戦争なのだ。一瞬の気の緩みが即死に繋がる。
「この国も余裕は無いだろう。十分な訓練もなく戦場に出されることだろう」
すると痺れを切らした蓮華が
「こうなったら、私たちも参加するか!」
「れ、蓮華ちゃん!」
「ローラ、そろそろ動くときだぜ。人間は口だけじゃなくて、拳でも語らえる生き物なんだからな」
「でも、私は、これ以上争うのは……」
「……しょうがないなぁ。ほいっと」
不意にローラの手が取られ、引っ張られる。軽々とローラは持ち上がり、立たされた。
「このままじゃローラの理想は叶わない」
「!」
「ぶつかることもコミュニケーションだぜ、ローラ。さしあたりアタックしてみよう!」
「蓮華ちゃん……そうだね。うん、私も一緒に行く!」
「さて、そうと決まれば明日からみんなで遊ぶぞ!」
立ち上がり、拳を振り上げて宣言する。
「なんでそうなるんだ」
「グレイ、私たちは三日後に戦地に行くんだぜ? 帰ってくるのだって簡単じゃない。今のうちにいっぱい遊んで楽しもう、って単純なことだぜ」
「あー、なるほどな」
「グレイも一緒にどうだ?」
「いや、俺は明日から仕事の準備がしたい」
「そうか……それじゃあ椿と蓬!」
名を呼んで振り向く。
「お姉ちゃんのすき焼きはおいしいなー」
「ええ、たんとお食べ」
完全に蚊帳の外だった。
「おい!」
「ほら、早く食べないとなくなりますよ」
「……まあ、今は食べるか」
翌朝、結城はいつもどおり、蓮華とのトレーニングのために太陽より早く目覚めた。
適当に顔を洗い、歯を磨き、そこで気付いた。
「……あれ?」
チェリーの姿がどこにもない。ふと見れば、座卓の上に一枚の髪が置かれていた。
結城へ
私はあなたと別れ、ここを出、自分の元居た場所へ帰ります。
最初のあなたはあまりに頼りなかったけど、今は私がいなくても、仲間と共に生きていける。
あなたは変わり者しかいないこの世界でも一層変人で、割と楽しかった。
勘違いしないで。私があなたと別れるのは、あなたが戦争に行くからじゃない。あなたが私の案内無しでも生きていけると思ったから。最初はほうっておけなかったけど、もう大丈夫でしょう。
じゃあね。またいずれ会いましょう
「チェリー……」
追いかけようか、とも思った。だがまあ、彼女にも彼女の理想があるはずなのだ。無理に自分に付き合わせることもない。
「そういや、チェリーの理想を聞いてなかった気がするなぁ」
いつものように蓮華の庭に来ると、蓮華以外にもう一人居た。
「おっ! おはよう!」
「おはようございます。マスター」
蓮華と一緒に挨拶するレイラン。
「結城、剣のトレーニングもしてみないか?」
「剣?」
「はい。マスターにも剣の魅力を知って頂ければと思いまして」
「これまた鬼のようなトレーニングになりそうだ」
「基礎体力なら馬鹿みたいにつけたから大丈夫だと思うけどな」
「マスターの筋ならば、そう時間をかけずにある程度の上達は見込めます」
「ふむ、それじゃあ物は試しってことで、お願いしようかな」
するとレイラン瞳が輝く。レイランは基本的に凛々しいのだが、表情があまり変化せず、悪く言えば無表情、よく言えばポーカーフェイスだ。
「申し訳ございません。ではまず基本的な両刃の剣から」
レイランから一振りの剣を受け取る。
「それはマスターに差し上げます。まずは私がお相手しますので、思うように剣を振るってください」
レイランの実力は知っている。たとえ自分が殺意をもって挑んだとしても、この剣は掠りもしないだろう。
「それじゃあ、遠慮なく!」
片手で持ち、レイランに斬撃を加える。とはいえレイランは結城の全力の一太刀を片手持ちで難なく受け止め、払い落とし、弾き飛ばす。
「あっ」
くるくると回転しながら宙を舞い、剣は地面に突き刺さった。
「あれだけ乱雑に振りながら重心はそこまで乱れていない。基礎体力、主に足腰はかなり鍛えられいますね」
「何をするにも足腰は肝心要だからな!」
「ですがやはり、これでは剣というよりは棒を振り回しているだけですね」
「剣なんて棒に刃がついただけのものだろ?」
「それは違います蓮華。剣、いえ、刃物とはもっと繊細なものです。マスターにはいくつか型をお教えしますので、その素振りを暇な時に行ってください。あと料理、主に包丁を扱ってください」
「刃物だから包丁?」
「はい。研ぎ方もお教えします」
蓮華との人間離れしたトレーニングにも次第に慣れ始めてきた。勿論怪しいクスリで体を誤魔化しているところはあるが。
「怪しくないぜ! 私のじいちゃんが教えてくれたプロテインだ!」
蓮華は空気椅子、中国拳法でいう站樁という鍛錬をしながらレイランの素振りを目の前にしていた。
「速いなぁ。私でもちょっと危ういぜ」
「剣速で負けたことはありませんね。蓮華もよくそこまでの力を身につけましたね」
「まあ理想だし、趣味みたいなものだしな」
強さを求める者同士、いずれぶつかりあうことになるだろう。それが純粋に楽しみで、お互いにそうだと感じ取れていた。これは良きライバルになる、と。
「ところで、どうして結城の従者になったんだ?」
「マスターが私の主に相応しいお方だと思ったからです」
「結城が、ご主人様ねぇ」
蓮華はふと結城を見る。95回目の片手腕立てだが、全身がぷるぷるしてる。
「威厳とか全然ないけど」
「そこが良いのです」
レイランは音速を軽々と凌駕する居合い斬りを放つ。風圧で蓮華の体がよろめく。
「っと、なんでだぜ?」
「シルファン家は代々、女性として生まれたならば一人の主に身を捧げ、己が剣で主を護り、誠心誠意尽くすというのが慣わしなのですが、私は国王に見初められ、求婚されていたのです」
「へぇ、あの王様がねぇ」
剣をそのまま上に振り上げ、大上段の構え。蓮華は空気椅子を止め、空手のように拳を腰の横に置き、片足を前に出した姿勢になる。
「私は幼き頃から従者として、剣として誰かに仕えるというのに憧れていましたが、その相手は私が認めたたった一人のお方でなければなりません」
「国王様じゃ不満だったか」
「父も王の手前、私を説得してくれましたが、これは私の理想。これだけは譲ることは出来ません。なので、自分に相応しい相手を十八歳になる前に見つけることで諦めてもらえることになりました」
「なるほど、それで大会に出場していたわけか」
「はい。ですが北方の貴族たちは皆、金と欲に塗れたものばかり」
「あー、あるな。確かに」
「慢心に塗れた彼らに傅くのは私の理想が許しませんでした。迫る期限に焦りながら、戦い、探し続けて、やっと出会えました。あのお方と」
「結城のどこが良かったんだ? 確かに金や欲や慢心は無いだろうけど」
「分かりません。ただ、何か私の心は彼に惹かれていた。それを確かめるためにも、今は結城という主の下で、それを見定めたいと思います」
「へぇ。じゃあ」
蓮華の体が銃弾のごとき速さで動き、音速の壁を越えた音が耳を打ち、拳は突き出されていた。
「結城がお前に人を殺せと命令しても、それに従うのか?」
「ええ」
レイランの大上段からの一刀両断。光速にも迫るかと思わせる一瞬で、剣は地面に触れる寸前で止まっていた。
「……ですが、彼はそのような命令を下さらないと思います。そう思わせるからこそ、彼の従者になったのかもしれません」
まあ、言ってしまえばこんなものは女の勘みたいなものだ。
「さて、そろそろ朝食の時間だぜ」
「はい。マスター、そろそろご休憩を……」
「ひゃ、ひゃっくぅ……」
結城の肘が徐々に伸びる。あともう少し。
「ふっぐぉおおお!!」
ピンっ、と腕が伸びた。瞬間に崩れ落ちた。
「おめでとうございますマスター」
「おお、やったな!」
「…………しぬ」
そして結城はまた怪しげなクスリを飲まされるのであった。
「ただの漢方だ!」
朝食をとると、グレイはすぐさま立ち上がる。
「それじゃあ俺はそろそろ行く」
「グレイ、気をつけて。かならずこのアパートに戻ってきてください」
「ああ、椿さんも俺が帰ってくる前に相手が見つかるといいな」
無言の殺意。うっかり口を滑らせたグレイは戦場にたどり着く前に死を予感した。
「よ、蓬も変な男にほいほいついていかないようにな」
「ありがとうグレイさん。大丈夫ですよー」
「あと結城、死ぬなよ。恐れる前に生き残ることだけを考えろ。敵に同情はするな」
「ありがとうグレイ。肝に銘じておく」
グレイは戦場へと旅立った。
そして三日後、結城たちは直接城に招かれた。
「よく来てくれた。答えを聞こう。と言っても、ここに来たという時点で決まってるな」
玉座の間。
結城とレイラン、蓮華とローラがそこにいる。アルカは支配者らしい悠然とした態度で足を組みながらこちらを見下ろしている
「これはこれは、あのレイラン嬢と蓮華、そしてローラさんまで。これは素晴らしい。安全無欠の勇者以来の逸材たちだ」
「王様、俺たちは一体何をすれば?」
「やる気満々だな。血生臭い戦争の前に一つ歓迎の祝杯でも挙げようかと思ったが、先に大まかに説明するとしよう。椿」
椿? 聞きなれた名前に結城は蓮華たちを見る。蓮華やローラも同じようで、レイランだけは微動だにしてない。
「はっ、ここに」
突如、天井から何かが落ちてきた。それは王様の足元に着地し、片膝をついて頭を垂れている。緑の軍服に身を包んだ、後ろ髪を縛った女性。
「作戦の説明をしてやれ」
「御意」
立ち上がり、こちらに振り返る。四人が想像していた顔がそこにあった。
「「「椿!?」」」
三人の声が重なる。
「ええ。私は戦術戦略戦法を立案、指示する立場の人間でもあります。これからあなたたちは私が組織する、まったく独立したチームとして動くことになります。よろしく」
「と、まあそういうわけだ。詳しい話は後でしよう。今は大まかな流れを教えてやれ」
「御意」
こちらのことなどお構い無しに話を進めるアルカ王と椿に少々げんなりしながら、おかしくて少し笑った。