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旅日記  作者: Crying
4/5

暗闇の国

そこは真っ暗でした。

本当に真っ暗。

なにも見えない…


でもそれを誰も変だと思わない…

どうして?


とある旅人は旅をしていました。

旅人だから旅をしているのは当たり前ですが…


「あの巨大なドームはなんだろう」

荷物をたくさん積んだ鳥が言いました

「なんだろうね」

旅人をのせている鳥が続きます

「きっと城壁だよ…すっごく高いやつ」


どこからどう見てもドームにしか見えないモノを指差しながら旅人はいいました。


「太陽の光が入らなさそうだね」

呆れた鳥がいいました。




門の前で入国を頼むと、門の向こうから声がしました

「夜にきてください!夜です!真夜中!」

仕方ないので旅人は夜を待ちました。



夜になってやっと入国がゆるされました。

中にはいると何も見えませんでした。


「何も…見えないね」

そうつぶやくと

「仕方ないよテラ、そういう国なんでしょ」

と別の声がかえってくる

「でもティパ…暗すぎてこれじゃすすめない」

「仕方ないよテラ、ティパも僕も何も見えないんだし」

「…テオもか」

そんなふうに会話をしていると



「どうも旅人さん!こちらですよ!」

後ろから声が聞こえてとっさに振り返るが…そこには闇しかなかった。

「…どこです?」

テオと言われた旅人は尋ねる

「ここですよこの闇の中」

そう答える声はだいたい中年くらいの男性の様な声だった。


「…」

暫く沈黙、そして相手はあわてて説明した。

「申し遅れました。私この国の管理のものです、旅人さんは暗闇は苦手で?」

「ええ…何も見えないので少し苦手です」

即答するテオ、それに周囲からかすかに笑い声が聞こえた

「いや、申し訳ない。こちらでは珍しいので。」

そういって管理の男も笑った。

「暗闇でどうして生活できるんですか?」

テオは管理の男に尋ねた。

暫く沈黙があって管理の男ではない男が語りだした

「昔…ここには闇の王国と呼ばれる国がありました―…その国の王はこの暗闇も昼間のように明るく見えていたそうです…我々はそこの国の住民でした。ある日、王が民に恨まれ殺されました。しかし民の恨みは晴れることはなく…王子をねらって追いかけだしたのです。王子はもちろん逃げました。泣きながら「なんで俺がっ!」と叫びながら…王を失った闇の王国は消滅しました。いや、あるにはあるんです…我々が立ち入れないだけで。そこで我々は新しく国をつくった。それがこの国なんです。我々の目は普通とは違い…昼間には何も見えないくらいまぶしく見えます。だからこうしているのです。お分かりいただけましたか?」

その男は少し笑っているようだ。

テオはきにせず考える…ここで見えないのは僕たちだけだと…そんなことになってるんだとしたらもし銃を突き付けられたとしても逃げようがないじゃないか…と

予感は的中した。

「今の話から分かるように…まだうっさん晴らしができてないんですよね」

カチッという音が耳元で聞こえた。

テオはさっと気配を感じ取る…

周りに杖を持つ魔法使いが3…剣が2…銃が5…

これは…

「なんのことでしょうか?僕には関係ないことですよね?」

気が付けばティパとテラの声もしない…

やられたか?

危険だな…どうしたら…

そんなときに…

「ちょっといいですか?入国したいと言っている人がいるのですが」

兵士の声が響いた。

武器をしまう音が聞こえる。

「かまわない…今は夜だからな」

管理の男はそういって促した…

重たい門が開かれる音がしたとともにものすごい轟音がした

爆風と光が広がった。

「まだ…こんな所にいて旅人を殺していたとは…」

眩い光で昼間みたいに明るくなった…ここにいる住民は地面に伏せている。

僕は仲間を探すと…すぐに見つけた。地面で眠っていた…さすが鳥というか…心配して損した気分だ。

入ってきた人物は赤い宝石のついた杖を片手にもってこちらに歩いてきた。

「大丈夫だったかい?」

その人は細身でどこか優雅に見えた。よく見ると杖には…ここの国の門に刻まれていた紋と同じものが描かれていた。

ここの人なのかな…そう僕が思ったとき…管理の男が叫んだ

「この魔法ッ!!王子だ!王子が帰ってきた!!みな!!殺せぇぇぇ!!!」

うおおおおおっと人々がその人にとびかかるが…

「ワレヒカリトカゼヲツカイココニネップウヲマキオコサン…炎渦…」

ごうっと音がしたと思うと僕の目の前に炎の竜巻みたいなのが現れて…

飛び込んできた人間が目の前で消し炭になった。

怖くておびえてしまった自分がなさけない…


いきなり抱えられて驚いた。その人がテラとティパと僕を抱えて国の外に一瞬で逃げた。

その国は燃えていた。

夜に輝く星よりも明るく。

「怪我はないかい?」

その人は僕をそっと地面におろしてから僕に言った

「はい、ないです助かりました」

震える体を必死に抑えながら声を絞り出した。

まだ自分でも驚くぐらいにおびえている。

「…」

その人はそっと僕の頭をなでながら何かを唱えていた

暫くしてると体がちゃんと動くようになった。

「だいぶ体が驚いていたみたいだね…驚かせてごめん」

その人は苦笑しながらそういった。

炎がだんだん小さくなって…


そこには静かな夜が訪れた。


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