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顛末

―――スパーーーンッ!!


響き渡る破裂音に耳がキーンとした。

全長100mにも届こうかというマグナスヴィネアの中身には、ぎっしりと肉が詰まっていた。

だと言うのに叩き割ったら風船みたいな音がするんだもの...結構びっくりした。


それでも1つ良かったと思うところは、タコのような見た目から、叩き割ったら周囲が悲惨なことになるかと思っていたんだけど、木を切った時のようにほとんど周囲に体液等飛び散ることがなかったのだ。


破裂音にのけぞりながらも地面に着地した私に隊長が駆け寄ってきた。


「レナ、警戒を!」


着地して残心をとらずに放心していたら、隊長が私の奥へと走っていった。

結果は見なくても分かっているのだが、たしかに油断が一番危険。一拍置いてマグナスヴィネアの死亡確認に入った。


能力を使わずに切った切断面は、先程破壊した足のようにブクブクと沸騰するような様子でもう反対側を探すように動いていたのだが、流石にこの超巨体をもたげることは叶わなかったのか、やがて完全に反応を見せなくなった。


これで討伐完了と考えて良いだろう。


そうしたら早くマヤちゃんたちのところへ行きたい。


「マグナスヴィネアを力だけで討伐するとは...レナ、お前には感謝してもしきれない」


おっと、長くなる前に退散しよう。


「隊長、ここと街の被害状況ってわかります?」

「?...ああ、そうだな。この場はマグナスヴィネアが出現してすぐ私が退避させたため、ほとんど被害は出ていない。ただうちの隊で4人犠牲になってしまった。これは私の力不足に他ならない。街へ退避させた兵士たちの支援をフレアに任せたが、今はどんな状況か私にはわからない。」

「そうですか、じゃあ私は街へ戻ります。」

「そうか。改めて今回のことはありがとう。ここの状況確認をしたらそちらへ向かうよ」


私は隊長へ頭を下げると、街の門へと走った。


少し進むと、敵と兵士が争った後が見えてきた。

きっとここでも激しく戦闘が行われたのだろう。正門近くに積まれた死屍累々を超えてゆく。


そして正門。

正門は街を守る最後の砦。

なんとか守りきったのだろうか、傷ついた兵士やそれを介抱する衛生兵でいっぱいだった。

ここの兵士たちに状況を聞いて一言かけながら行きたかったが、お互いに構っているよりやることがあるだろうと思うことにしてそのまま正門を走り抜けた。



街に入っていくと、そのままビョルンさんの家を目指す。


走りながら街の様子を確認するけど、思ったより酷い。

倒壊した家屋や、燃焼した家屋の瓦礫を兵士が片付けている様子を見て取れた。


逆に血や死体をあまり見かけない。避難指示などの現場判断が的確だったのだろう。


片付けが始まっているということは怪物たちの殲滅はできたという認識で良いのだろうか。

...みんなの無事を祈ることしかできない。



――家についた。

久しぶりの帰宅だと言うのに、まったく心が落ち着かない。

ドアを勢いよく開け放した...が、案の定中に人は居なかった。

無造作に開けてしまったドアをゆっくり閉じて、次にどこを探せばよいか考えているところを忙しそうにしている兵士が通りがかった。


「ごめん、ここらへんの人たちってどこに避難しているかわかる?」

「はい?ああ、この近辺の住民であれば、あっちの教会かと」

「ありがとう!」


兵士にお礼を言うと教会を目指した。


「こういう時本当に不便...」


心配しながら人を探すのは本当に神経をすり減らす。悪態をつきながら教会にたどり着いて、外の兵士に会釈をして中に入る。

ここは怪物に襲われていないようで、この場所に居てくれるならありがたいなんて思ったが、残念ながらこの教会に3人の姿はなかった。


じゃあさっさと次の場所を、と思ったところで、見たことのある姿が目に飛び込んだ。


「フレア」

「レナちゃん。帰ってきたんだね。」

「ごめんフレア、このくらいの女の子と、元兵士と熊みたいな男の三人家族見なかった?」


私が要点を余り得ない説明をしたが、フレアは理解した様子。

フレアが一瞬とても悲しそうな顔をしたのが、印象に残った。


フレアに誘導されて向かったのは、簡易的な医療所。

テントがいくつか並ぶそこには、正門と同じで負傷した兵士や、今度は一般人も床に敷いたマットの上に横たわっているのが見える。


正直ここは余り訪れたくなかった。皆が怪我や、もしかしたらもっと深刻なことになっているかなんて考えたくもなかったからだ。

それでもみんなが確定でここに居るということは...



フレアは忙しなく走り回る衛生兵を縫って、うめき声のする病室を更に奥へと向かった。

やがて着いた一室の前で止まると、今度は悲しそうな表情を隠すこともなく口を開いた。


「ここにはもう助からないと判断された人たちが集められているの」

「それって」


確かにこの場所には衛生兵の出入りが殆どない。手が回されないということは答えは決まっている。


「うん。もう命がないか、手の尽くしようのない人たちがここに安置されているの。レナちゃんに覚悟があるなら入って」

「わかった」


覚悟なんてできていない。

今まで同僚が死んでいくのなんて何度も見てきた。

それでもなぜかあの三人のことを考えると胸がざわつく思いがする。

この胸のざわつきを収めるために、私は中を確かめる。


――中の光景はとても静かなものだった。

寝かされている人たちの大半は息を引き取っており、生きていてももう話すことができないほど衰弱している人ばかりだった。


「マヤちゃん...」


その奥で背中を丸めて座っている少女の姿があった。

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