追い込み漁
「嘘でしょ...」
パパが獣相手に戦っている。
兵士でもないのに、ラルグでは全く歯が立たなかった獣を、力でねじ伏せている。
大きな声を上げて私達から注意をそらすと同時に、怯んだ獣から処理している。
「あれがビョルン。あなたのパパ強いでしょ?」
「そんな話じゃないって、兵士でもないのに獣を倒せるなんて聞いたこと無いよ?」
ママは体勢を立て直すと、パパの後から攻撃をする形で参加した。
「ビョルン、助かったわ。強いのは私が相手をするから、弱いのを片付けてちょうだい。」
「わかった」
余計わからなくなった。パパはどうしてこんなに強いの?
兵士のママほどは戦えていなくても、その攻撃は確実に獣に届いている。
届いているのだが――
「数が減らない」
徐々に先程と同じ状況まで持ってこられているのはわかるが、パパの助力もあってかろうじて持ちこたえている。
あ、パパが居るってことはレナお姉ちゃんも帰ってきている!?
ジリ貧でも耐えきれば助かるかもしれない。
「グアアア!」
パパが苦痛に顔を歪める。
よく見るとパパは腕のそこら中から血を流しており、打ち付けた拳の指は曲がってはいけない方向に曲がってしまっている。
「パ、パパ!」
「来るな!」
パパに壁まで押し飛ばされてしまった。
流石にむちゃをしていたんだ。
気合であんな動きをしてたなら、体が無事な訳が無い。
それなのにパパは攻撃をやめない。
もうパパもママも戦っちゃいけないくらい、酷い怪我をしている。
二人で敵を前に息を切らしながらも、立ち向かっていく。
私は結局そんな後ろ姿を眺めることしかできない。
「ハァ、ハァ。アルマ、俺は驚いているんだ」
「何に?」
「家族を守れるんだって、それだけでこんなに力を出せている。今幸せなんだ。腕が裂けようが、骨が砕けようが、これっぽっちも痛くはない。」
「あなたは昔からそうね。ここぞってところでよくわからない力を出す。そういうところに...いえ、何でも無いわ。...子どもたちを守りきれるかしら?」
「――やってみせるさ。それにお前も守る。久しぶりのアルマの飯が恋しいんだ」
「ふふ、食い意地ばっかり張って」
「ああ、マヤを、家族を、そして何よりお前のことを愛している。だから、家に帰るぞ!」
大通りには50を超える敵。
その波は未だ衰えない。




