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モブに転生したと思ったのに私もヒロインって本当ですか?  作者: 芹屋碧
五章 マジカルナイツと聖女の力
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 「ルナセイラ様、どうぞご確認ください!!」


 瞳をキラキラ輝かせたレインが嬉しそうに短剣を差し出した。


 疲れが溜まっていたのか、散々夜遅くまでセイフィオスに唇を奪われ続けたルナセイラは、目が覚めたのは十時過ぎだった。


 すでにセイフィオスは置手紙を置いて広場に向かったらしい。


 時間に余裕があるというようなメモ書きが残されていたので、眠たい目をこすりながら身支度を済ませていく。


 そして、そろそろ部屋をチェックアウトしようと思った時に、タイミングよくレインがやってきたのだ。


 流石に宿に迷惑をかけたくなかったので、先にチェックアウトを済ませてからフレキセンの執務室で見せてもらうことにした。




 「素敵・・宝石のように美しいですね!!短剣にも丁度良い大きさですが、このサイズで良いのですか?」


 渡された短剣のガードの部分に綺麗にリュキスエント石が嵌めこまれている。


 「フレキセン様に確認して加工したので問題ないはずです!」


 短剣は鞘から抜き持ち上げると、暖かさを感じた。


 すでに持っているだけでも周りを浄化しているように思える。


 「すごいです。万が一の時には、攻撃しながらも浄化できそうですね!!」


 「ルナセイラ様の剣を振る姿が見れるのは楽しみです!・・ですが、護りはできれば我々に任せてくださいね。その為のマジカルナイツですから!!」


 「ありがとうございます!!とても心強いです!他の皆さんはセイに訓練をつけてもらっているみたいですけど、そろそろおわるのかしら?」


 「そう思います!元々がルナセイラ様が準備が出来るまでという話だったみたいなので」


 「レイン様も参加したかったですよね・・短剣の為にありがとうございます!」


 「いえいえ、私は早く短剣を見て欲しかったので、全く問題ないです!!」


 微笑むレインは、ルナセイラには口の荒さなど微塵も見せず、嬉しそうに語る。





 レインの言った通り、残りの四名は訓練を終えてから出発の為の荷物を持って、フレキセンと共に執務室へとやってきた。


 「聖女様、短剣を受け取られたのですな。いかがでしたか?」


 「とても美しい短剣で、癒しの力もしっかりと感じられました。ありがとうございます!」


 にこやかに問うフレキセンにルナセイラは満面の笑みで返した。


 「それは良かった。箱の中もご覧になりましたかな?」


 「はい、聖女ローナ様からのお手紙が入っておりました。

 ジェイキンス王子の子孫の方々に、心から感謝していらっしゃいました。」


 「なんと・・・左様でございますか・・

 ジェイキンス王子も非常に当時聖女ローナ様とロウェイン王子殿下を支える為苦悩されたと伝え聞いておりましたので、きっと報われて安堵なさっていることでしょう」


 「それなら良いのですが・・」






 エディフォールは、まだマジカルナイツでも力が弱いためサーシェンやセイフィオスに訓練を付けて貰っていたらしい。


 ヘラもちょこちょこ参戦していたようだが、大分打ち解けたのか最初の頃のようなぎすぎすした様子は全く感じなくなっていた。


 「用意も終わったし、出発はいつでもできるんだけど、ちょっと話をしておいた方が良いと思うんだよ」


 「何か気になることがあるの?」


 「次に向かう遺跡は『魔信仰』と遭遇する可能性があるんだよね。私の影と、『聖魔団』の調査隊も確認しているらしいんだ。

 ワッシュレイ湖と、ムートンヒルの町は予兆も出ているようだからね」


 「そうなのですか?!」


 セイフィオスはいつの間に情報を掴んでいたのだろうか。


 リッセンハウルの外に待機しているという影の人たちが先に探りに行ってくれたのだろうか。


 「左様でございます。我ら聖魔団の調査隊も確認しておりますな。

 正直今予兆が出ている遺跡はかなり多そうです。恐らく穢れが溜まりやすいように以前から何かしら『魔信仰』が動いていたのかもしれませぬ」


 「予兆が出ている遺跡の数が今までと比べて多いのですか?!」


 「多いですな・・これまで魔力溜まりが発生するときは、おおよそ三か所程でした。

 しかし、今年は少なくとも六ケ所ですでに予兆が発生しております」


 「――二倍じゃないですか!!」

 

 「はい、これまでこんなことはありませんでした。

 やはり魔女が現れる時を狙っていたのやもしれません・・・・」


 「予兆の数の分だけ・・魔力溜まりは・・・・出来るということですか・・?」


 「・・・・恐らくそうなるでしょうな。

 そうなると魔獣に迎え撃つマジカルナイツの数は圧倒的に足りないと言えます。

 それに・・もし『魔信仰』が今回の魔力溜まりで何かを企んでいるのであれば、非常に危惧される状況と言えるはずしょうな・・・・」


 全員の表情が青褪める。


 さらに予兆の出ている個所を確認すると、王都を囲むように予兆は現れていた。


 もしこの全ての予兆が魔力溜まりに変われば、魔獣のスタンピートが六ケ所から発生することになる。


 それに合わせて『魔信仰』が王都に攻め入ればどうなるかは誰にでも想像できるだろう。


 「私たちに出来る事は・・あるのでしょうか」


 「次の遺跡のワッシュレイ湖には『魔信仰』が潜伏しているようです。

 信者たちに話が聞けるかもしれません。また、可能であれば予兆の内に浄化できれば状況は大きく変わるはずです」


 「なるほど!・・・・『魔信仰』の信者の方々は・・話を聞いてくれるでしょうか・・」


 「・・・・恐らく難しいでしょうな・・」


 ――やっぱり無理なのかな・・・・ 


 「諦めるのはまだ早いと思うよ?

 『魔信仰』の信者はほぼ穢れた魔力に魅了されているんでしょう?

 それならルナが浄化してしまえば話が聞けるかもしれないよ?」


 「・・・・捕まえるということですか?」


 「ふふ・・そうとも言うかもね!」


 「セイのやり方は普通なら物騒だが・・捕まえる方がずっと早いと思う。俺は賛成だ」


 「私も調査隊で調べに行ったことがあるのでわかります。

 彼らはは足が通じるような者たちではありません。捕まえて強制的に浄化してし合った方が早いかと」


 セイフィオスの意見にレインもヘラも賛同したことが、ルナセイラは信じられなかった。


 最初は皆セイフィオスを敵対するような眼差しで見つめていたのだから。


 しかし、訓練を通して心が少しは通じ合えたのかもしれない。


 改めて状況を見直した上で、セイフィオスの指揮の下今後の作戦を立て直したのだった。



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