第80話 オーガキング
「レイ! 黒い! オーガは! オーガキング! ですわ! Aランクの! モンスター! ですわよ!」
「ずるい! のです! わたしも! キング! ぶっ飛ばし! たかったのですよ!」
「そうなんだ! なっと! 悪いな! 最後まで! たぶん! 残るから! 援護! 頼むぞ!」
「はい!」
「任せるです!」
話しながら戦える程度余裕がある。そんなことをやっている内に残りのオーガもあとわずか。
シオリが言ったキングはオーガたちに指示を出しているのか、なにか叫びながら俺を睨み付けている。
次々と向かってくるオーガにこん棒二刀流でことごとくぶっ飛ばして前に進む。
「終わりました! ファイアーアロー!」
「終わったのです! ふれいむあろー!」
キングを含め残り三匹。キングを真ん中に左右のオーガは二人の魔法で黒い煙に変わり、残りは――
「お前だけだ! 行くぞ!」
「キガアアアア!」
雄叫びをあげながら俺の身長を軽く超える大剣を上段から打ち下ろしてくる。
ガキン! 左手のこん棒を頭上に掲げ、オーガキングの一撃を受け止める。
「ぐっ! 重っ! だけど! まだまだだ!」
ギャリンッ! と受け止めた大剣をこん棒で押し返し――
「胴ががら――」
「ほーむ――」
「くらい――」
胴体へ横薙の一撃を放つ。それと同時にシオンが逆側から胴体へ。シオリは背後に回り込み、首元へ突きを。
「――空きだ!」
「――らん!」
「――なさい!」
ドドン――ザシュ!
キレイに攻撃が決まったが、ここで油断すればなにが起こるかわからない。
「離れるぞ!」
さっと数メートルのバックステップで距離を取る。
だがそこに見えたのは、胴体がベコリと凹み、目の光が消えたオーガキングだった。
グラリと揺れたオーガキングは、倒れきる前に黒い煙に変わり、消えていった。
「よし! 討伐完了。シオン、シオリ、怪我はないか?」
「無傷の勝利なのです!」
「オーガキングには驚きましたが、それほど強くありませんでしたわね」
「だな。魔石を拾って……ってなんで俺のワンハンドソードが落ちてるんだ?」
「ん? ほーむらんする時に邪魔だったからポイッって?」
「シオン、武器はそんな扱いをしてはいけませんって習ったでしょ? まったく」
「ううっ、ごめんなさいです」
ワンハンドソードを拾いにいくシオンの背中を見ながら魔石を拾い集める。
魔石を全部拾いモンスターハウスの入口を見ると、先生に熊田さん、先輩たちがポカンと口を開けて俺たちを見ていた。
「先生、討伐完了しました……あれ?」
「反応がありませんわね」
「だな? どうしてだ? やっぱりキングが珍しいのかな? ナイトが出るとは聞いてたけど」
「ですわねBランクダンジョンのボスモンスター、それもレアなボスモンスターで、ほぼ出ることのないキングですもの、驚くのも無理ありませんわ」
「それは……反応がなくなるのもわかる気がするよ」
「ぽかーんなのです。口の中が乾くですよ? 飴ちゃん放り込んでやれば気がつくですか?」
「やめてあげなさい。喉に詰まらせるかもだろ。それより外に出ないと次のリポップが始まらないんだよな?」
「ええ。ここもゴブリンのモンスターハウスと同じですわね」
「なら先生と熊を外に引っ張り出すですよ」
そう言って先生の手を引き外に出るシオン。
「だな。シオリ、一本こん棒持ってくれないか? 熊田さんを外へ引っ張り出すからさ」
「そ、うですわね。預かりますわ」
男が苦手なシオリに押させるのは駄目だよな。
こん棒をシオリに渡し……身体強化がまだ残っているが、『よいしょ』と重そうではあるが持ち上げる。
それを見て熊田さんの手首をつかんで外に出て、固定してあった鉄の棒を外して扉を閉めた。
それから一分ほどで熊田さんがもとに戻った。
「お前たち……凄いな、オーガキングを三人で無傷? 凄すぎるぞ。今日来てる三人でやってもキング相手だと怪我は覚悟しなきゃならんってのに」
続いて先生たちも復活し始めた。
「長門くん、大和さんたちは……ほぼ確実にSクラスとなるでしょうね。はぁ、スゴい子たちの試験に立ち会えたのは幸運なのかしら?」
それはどうなのかはわからないけど、学園のSクラスは決まりそうだ。
試験の終わった俺たちは現地解散となり、結果は明日の学園で言い渡されることになる。
当然俺たちはそのまま帰るなんてことはしない。
だってせっかくBランクダンジョンに来てるんだぞ? もう少し探索してから帰るよね。




