表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/113

第74話 様子見の一撃

「誰が熊だ! このちんちくりん! 死んだ真似なんてするんじゃない! 本当の熊の前でそんなことしたら逆に襲われるからな!」


 ちんちくりんとか言ってるけど、いい人っぽいぞ……。熊はどこかでそうだって聞いたことあるし。だけど――


「……すいません。よく言って聞かせますので。ほらシオン、謝ろうな」


 とりあえず謝り、まだ死んだ真似を続けてるシオンの脇に手を入れ起き上がらせる。


「……シオン、()に謝ろう」


 そうだ。向こうが先にちんちくりんと言ったのだ。それに熊と返してしまった形だからどっちも悪い。


 プランと垂れ下がっていたけど、床に足をつけるシオン。


「……むう。仕方がないのです。おじさん、熊って言ってごめんなさいです」


「うん。えらいぞ」


 ポンポンと頭を撫でておく。


「おじさんじゃない! まだ二十六歳だ!」


「「「え?」」」


 え?


 ――と、騒ぎを見ていたほぼ全員が同じタイミングで疑問の声をあげた。


「くそっ! いいだろう、試験の相手は俺がしてやる。先生、最初はそいつからだ、いいよな!」


「大人げない。順番は別にそれで良いのですが……怪我はなるべくさせないでくださいね」


「探索者が怪我を怖れてどうする。怪我や骨折くらいなら中級ポーションを持ってるから安心してくれ先生」


「ぬぬぬっ、謝ってくれなかったのです。レイ、Aランクの熊はぶっ飛ばして来るですよ」


 こそこそ俺だけに聞こえるよう小声でそう言い、戦闘モードの顔になったシオン。


「シオン、俺にやらせて、大丈夫だと思うけど、シオンに怪我はさせたくないからさ」


 修行中は怪我や骨折どころか手足が普通に飛んでいた。だけどそれは修行だからだ。


 それに相手がタマちゃんたちだから許せることであって、他のヤツを許せるかって言われれば当然許せない。


「そ、そう言われたら譲るしかないのですよ、ずるい……レイぶっ飛ばして来るですよ?」


「もちろん」


「何してやがる! 試験の放棄か! なら十段階評価の点数は0だ! Bランクで大人しくしてやがれ!」


 いつの間にか試験場、先輩たちが壁際に移動して、残っているのは俺たち三人と、熊の人だけだった。


 シオンとシオリが壁際に下がり、俺は熊おじさんの前に進んだ。


「なんだ、彼氏が身代わりってことか? どちらにしてもアイツの相手は俺がやるから同じことだけどな。ほら、いつでもいいぞ、かかってこい」


「どうも、一年の長門零です。準備はいいです、武器は使いませんから」


「ほう、俺はAランク探索者の熊田だ。俺は盾使いだからこの盾は使わせてもらうぞ。先生よ、コイツが一番目だ!」


 背に担いでいたタワーシールドと呼ばれる盾を左手に持ち、右手にはフレイルを装備した。


 壁際から――


『やっぱり熊だって』『Aランクの熊ってマーダーベアか?』『それはBランク。Aランクの熊はビッグレッドベアよ、火属性の』


 ――と、色々と聞こえてくる。


「わかりました。熊、田さん、記録は撮りますのでいいタイミングで始めてください」


 先生も、変なところで間を取るから思わず笑ってしまった。


「おう、準備はいいな。って何笑ってやがる!」


「あ、すいません、つい。はは……準備はいいですよ。それじゃあ行きますよ」


「くそっ! 近頃のガキどもは! 来い!」


 そう気合いの入った声を出して、大男の部類に入る熊、田は、身体がほぼ隠れるようなタワーシールドを構えた。


 熊、田か、……ぷふっ!


 危ない危ない。笑いがなければ全力でトリプルを使ってしまうところだったよ。


 盾持ちのAランクだから、聖一が生身で受け止められたんだし、盾もあるしそれくらいは耐えられるだろうけど、様子見でダブルで行こう。


 ギュッ! と体育館の床でゴムのソールが摩擦音を奏で、一瞬でタワーシールドの真ん前に踏み込んだ。


「盾持ちに正面からだと! 舐めやがって! 身体強化!」


「舐めてません! 身体強化!」


「来やがれ! シールドチャージ!」


「ダブル! はぁっ!」


 シールドチャージは盾で相手を突き飛ばす技のようだけど――


 ――遅い!


 ドゴン!


 押し出してきた盾を真正面から殴り、押し返す。いや、殴り飛ばす。


「グアッ!」


 振り切った腕の向こうに体育館の壁へ飛んでいく熊、田さんが見えた。


 バン!


 と、うまい具合に飛んだ軌道上には誰もいない。当然それは確認していた。


 移動が自由なのに、戦う者の背後で見学しているものはいないから、安心して殴り飛ばせたんだけどな。


 そう思いながら飛んで壁にぶつかった熊、田さんの元に間合いを詰める。


 ドスンと壁から床へ滑り落ちたところに追撃を――


 かけようとしたんだけど、……気絶してる? それとも死んだふり?


「……あの、もしもし? このまま追撃していいですか? 死んだふりなら止めておいた方がいいですよ?」


 一応聞いてみる……うん。返事がない。


 一応反撃があるかもしれないのですぐに対処できるようにしながら爪先でつついてみた。


「気絶してますね。先生、この場合どうしたらいいのですか?」


 先生に聞いたけど返事がない。そのかわり近くにいた、たぶんAランクの残りの二人が――


「嘘だろ……【鉄壁】の熊田さんだぞ……それになんでシールドチャージした方がぶっ飛んでんだ?」


「わからん。わからんがこの一年はAランクパーティーの守りの要を、真正面から一撃で倒せる力を持ってるってことだ……」


「だよな……ってことは、一年なのにSランクの実力ってことか? ……おいおい飛んだ新人が出てきたぞ」


「あ……そういえば……お前も聞いてないか? Sランク探索者に復帰した高橋さんに」


「あ! そ、そうだ……長門と大和……、試験官を受けたならその三人には気をつけてねって注意されてたじゃないか」


「一年生だったのかよ……長門と大和で三人……化物レベルだぞ。俺たち、残りの大和二人の相手をしなきゃいけないんだよな?」


「……帰りたくなってきたぞ……」


 化物は酷く……ないかもしれないな。【鉄壁】とか二つ名がつく人だったみたいだし。


「そ、そ、そこまで!」

 読んでいただきありがとうございます。


 ブクマや★★★★★で応援よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ