第70話 回復魔法……
不思議な効能、失った血を回復させてくれる露天風呂を出た俺たち。
よくよく考えると、俺だけ男なんだよな……。
みんな最初は凄く抵抗していたけど、全員貧血で動けなくなり、タマちゃんたちに剥かれて放り込まれてから、シオン、シオリにミクの三人は開き直り、堂々と入るようになった。
まあ今は水着着用だけど目のやり場に困るんだよな……。
少し前屈みで社務所に戻ると、高橋さんが来ていた。
「お疲れ様、温まったかい?」
「あ、たかぴーなのです。見ての通りホカホカなのですよ」
「はい。今日はどうしたんですか? 高橋さんもまた修行に?」
「いや、現役に復帰したからね、今はAランクダンジョンの攻略の合間に寄らせてもらったんだよ」
「うむ。頼んでいたスキルオーブを持ってきてもらうついでにの」
高橋さんに頼んでいたスキルオーブ。回復魔法のスキルオーブだ。
今はシオリが使えるんだけど、全員が持っていた方がいいと、探してもらっていた。
それが今日来たってことは見つかったってことだと思う。魔法だ。ついに俺も魔法スキルを覚えられる。
高橋さんの前に置かれたアタッシュケースが開けられ、スキルオーブが目の前に現れた。けど、スキルオーブは五個入っていた。
「回復魔法は残念ながら二つなんだよ」
「なんじゃ、一つ足りんではないか。……それで他のスキルオーブはなんなのじゃ?」
「この三つはレイくんに持っていてもらいたいと思ったスキルオーブなんだけど、ストレージが一つ。サーチと鑑定ですね」
くっ、魔法は無いのか……だけどストレージはバックパックも不要になるし、サーチは不意打ち防止に役立つ。鑑定は……まあ、あった方がいいかなってくらいだけど……魔法がよかったなぁ。
「ほほう。良いものを。高かったであろうな」
そうだ、スキルオーブはむちゃくちゃ高額だ。それも回復魔法とストレージ、それに鑑定なんかは軽く億超えだった気がする。
サーチはまだ安価だけど火魔法よりちょっと安いくらいだったはず。そんなの買えるなんて……やっぱり高橋さんは凄くお金持ちなんだな。
「いえ、今攻略中のAランクの富士山ダンジョンですべて出たものです。さすがSランクより鬼畜とされるダンジョンなだけあって、落とすドロップも良いものが多いですね」
買ったんじゃないのか! 富士山ダンジョン……俺たちも行けないか、な……そうすればワンチャン魔法のスキルオーブを手に入れられるかもしれないよな。
「富士山か、すべての部屋がモンスターハウスじゃったかの」
「その通りです。まあ、階層全部がモンスターハウスなので、造りは迷宮タイプなのに一部屋しかないので迷う心配はありませんけどね」
……そんなダンジョンがあるのか。全部がモンスターハウスとか、それもここのゴブリン程度じゃないモンスターが出てくるんだろうし、経験値稼ぎには最適かもしれない。
「じゃが、帰ってきたということは次は別のダンジョンへ行くのであろう?」
「はい。スタンピードが懸念されるダンジョンを巡る指名依頼が来ましたので」
「なるほどの。エルフィはどうなのじゃ? まだ動かんのかの?」
「あー、エルフィさんは自衛隊組を任せてます。あの方は魔法主体ですが、戦えば普通にAランクの探索者とやり合えますからね」
管理人さん、そんなに強かったのか……魔法はスゴいんだろうなって、聖一たちを人間に戻した魔法とかスゴかったしな。
「ふん。やっと動いたか、ならばアレもやっておるのじゃろ?」
「ええ。思ってた以上の掘り出し物ですね、ま、公開は先になると思いますが。っと、そろそろ私は移動の時間になりますので」
「もー帰るの? だったらお菓子、持っていくのです、甘いもの食べたら疲れがとれるのですよ」
「そうなんだ、久しぶりにみんなでご飯食べれると思ってたけど、スタンピード対策は重要ですもんね、頑張ってください、応援しておきます」
「ありがとうシオンちゃん、レイくんもありがとう、頑張ってくるよ、今回は北海道に行くからお土産は期待しててね」
そう言うとタマちゃんが転移でダンジョンの外に送っていった。
そして目の前には回復魔法のスキルオーブが二つ。シオンとミクの物になる。
……いいな! 魔法いいな! めちゃくちゃ期待していたのに!!!
はぁ、そうだな、俺が持つより二人が持っていて方がいい。怪我どころか手足がポンポン飛ぶ修行しているけど、今はタマちゃんたちが治してくれてる。
だけど俺たちだけでダンジョンの探索するようになった時、近接戦闘する俺が回復魔法を使うより、後方支援のできるみんなが持っていた方が効率は絶対いいもんな。
よし、なら俺はストレージでみんなの荷物持ち兼、サーチで斥候。鑑定も罠とか調べるのに役立てるように頑張ろう。
決意を固めたところにタマちゃんが戻ってきて、サクサクとスキルを覚え、三人は瞑想と回復魔法の修行に。
俺はサーチと鑑定の修行をしてから就寝時間になった。
明日はまた学校だ。それに年明けに催されるランク試験がある。ミクを除く俺たち三人は今回の試験でSランクになるのが目標だ。
学園最強と言われていた、退学になったリバティがAランクだった。当然負けるつもりはないが、これまでSランクになった学生は一握りしかいないそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おはよう。欠席者はいないようだな」
ザワザワとした朝の雰囲気が担任の登場で引き締まる。
教壇に立ち、ゴホンと咳ばらいをしてから話し始めた。
「今日は皆知っていると思うがランク試験の日だ。この日のために体調も整えてきていると思う」
コクコクとうなずくクラスメイトたち。俺たちは……いつでも準備万端だ。
「今回の試験の結果で進学した時のクラス分けがされるからそのつもりでな」
そうなのだ。二年からは細かくランク別にクラス分けがされる。当然俺たちが狙うのはSランククラス。
このクラス分けで低いランクになると待遇が変わってくるからな。Aランクと最低のFランクには天と地の差がある。
まあFランクは、ほぼいたことがないから、おそらく今年もEランクが最低になるだろう。俺も覚醒してなかったらここだったはずだ。
バチンと左の手のひらに右の拳を叩きつけた先生にクラス全員の視線が集中した。
「いいか! 全力で挑め! 今出せる力の限りだ! 準備が終わったものから校庭に集合! 頑張ってこい!」
「「「「「はい!」」」」」
うん。気合いが入った。……やってやりますか!
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