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【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

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第60話 トイレの捜索(主人公+山本先輩視点)

 視界がキャンピングカーの中から切り替わった。


 キレイに整地され、昔あった遊具が無くなりガランとした公園の入口に俺たちは転移してきたようだ。


 雰囲気は変わったけど、しっかりと見覚えのあるコンクリート製の建物が、記憶にある位置に立っていた。


「あそこです! あのトイレから向こう側の水門小屋に行ける通路があるんです」


 指差した先にはペンキが日に焼けて白い粉が浮き出たトイレが見える。


「あっ! わたしも思い出した! タマちゃんも一緒に遊んだよね!」


「うむ。昨日のことのように憶えておるぞ。じゃが、おかしいのう、強者の気配は感じぬぞ……」


「もしかしたらもう水門のトンネルを抜けてしまったかも! 急ごう」


 パッと見るとトイレにしか見えないが、扉が四つ。実はトイレが二つ、用具入れが一つ、そして一番奥の扉が水門小屋に続く扉だ。


 なるべく音を立てないように、それでも急ぎトイレを覗き込む。


 床は水を撒いたように濡れている。これはここを聖一たちが通った確率がグンと上がった。


 その濡れた先には普段は管理されていて開いていることはない扉があった。


 だけど今は鍵が壊されているのか、パッと見でも隙間が見える。


「高橋さん、あの一番奥が水門小屋に続いている扉です」


「なるほど、地下道に続く階段があるのですね」


「はい。地下道の先に水門小屋があって、そこからも街に出ることができるんです」


「分かりました。少しその事を追跡班に知らせてから行きましょう」


 素早くスマホで指示を打ち込み送信し終わったのか、ポケットにスマホをしまい、トイレを覗き込む。


 手前二つは開きっぱなしだからすぐに確認はできる。たけど三つ目の用具入れは一応確認だけはしないと駄目だ。


「皆さん――ここは私が先頭を行きます。いいですね」


 俺たちは黙って頷き、先行する高橋さんのうしろについていく。


 一つ目、二つ目の個室を覗き、三つ目の扉を開ける高橋さん。


 ギギッと音がなり、冷や汗が出るがその後は軋みもせず扉が開いた。


「ふぅ、用具しか入っていません。次、行きますよ――これは血痕のようですね……」


 扉に赤い手の跡が残っている……ということは、ここに来たのが聖一と山本先輩ならどちらかが怪我をしている可能性がある。


 それに、よく見ると濡れている床にもポタポタと血が落ちていた。


「まだ乾いてませんね。怪我をしたまま川を下ってきたなら、この出血ですから貧血で動けない可能性もありますね」


 そう言ったあと高橋さんは扉に手をかけた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 side山本先輩


 なぜこんなことに! せっかく聖一くんを(おとり)に会見場を上手く抜け出せたと思ったのに!


「山本先輩、どこ行くんすか?」


「聖一くん。ここはまとまって逃げるより、別々に逃げた方がいいわ。かくりよで覚醒した今のあなたなら正面からでも逃げられらでしょ?」


 正面玄関で暴れてくれれば車を停めた裏からなら逃げられるはず。


 それに聖一くんはやり過ぎたわ。かくりよ改の投与で二人が死亡。かくりよの投与で聖一くんと二葉ちゃんを除く二人も死んだのに、聖一くんと二葉ちゃんは生き残った。


 まだ目を覚まさない二葉ちゃんはいいとして、副作用で死ぬこともなく、格段に強くなった状態で意識のある聖一くんは問題がありすぎる。


 まさかAランクのものたちが相手にもならないほど強くなるなんて……失敗だったわ。


 手駒にするために、日に五人は抱き潰す。文字通りセックスで人を殺してしまうほどの性欲お化けだったのが想定外だったわ。


 最初は二葉ちゃんだけで満足していたけど、足りないと暴れ始め、必要の無い拉致をこの一ヶ月続けなきゃならなかった。


「余裕っすね。だから二人で逃避行と洒落込みましょうよ」


「駄目。完全装備のあなたはいいかもしれないけど私は丸腰よ? 裏の駐車場まで行ければ予備の装備も持ってきてはいるけど」


「じゃあそっちに向かっててください。俺は追い付いてきた黒服どもを片付けてから追いかけるんで」


 聖一くんの背後に黒スーツたちと、揃いの制服を着た男たちが迫ってきていた。


 アレは自衛隊? まさか自衛隊が動いてるっていうの! マズイ。こうなったら国内に居場所はないわ。


「……分かったわ、じゃあね聖一くん」


 ポキポキと指を鳴らして、男たちに向かって走り出した。


 さようなら聖一くん。お願いだから時間を稼いでね。


 裏に向けて走りながらスマホで裏口に車を回すよう指示を与える。


「え? 高橋が!?」


『はい。車は駄目です。ですから屋上に向かってください、十五分でヘリを向かわせます』


「ヘリ! その方が確実ね、よくやったわ。状況は分かっていると思うけど、海外へ出るわ。あなたは幹部としてついてきなさい」


『かしこまりました。では私は自家用ジェットを確保に向かいます』


「よろしくね」


 うん。さすが私が選んだものたちね。ただの駒でしかない聖一とは動きが違うわ。


 裏口に向かう通路から、身体強化が残る身体で階段を駆け上がる。走りにくいドレスにピンヒールでも、二歩で踊り場。方向を転換してさらに二歩で二階に到達した。


 屋上に行くには非常階段を使うことになる。


「ふふ。騒ぎが一階だから二階は誰も居ないわ」


 ヘリの到着まで十五分か……走るのを止めても余裕ね。


 カツカツとリノリウムの床を同じテンポで進む先に見える非常口。


 あ、そうだ……外周は見張りがいるわよね普通なら……。いない方がおかしい。でも屋上までは三階分の非常階段を上らないといけないし……困ったわね


 非常口を少し開けて覗くと、川沿いにある道の先に横付けされた車と黒服が見えた。


 駄目だわ。逆は確認できないけれど同じように封鎖されているのは確実。


 仕方ないわ。ギリギリまでここで待っ――


 バン!


 突然車に引かれたような衝撃のあと、浮遊感と共に意識がなくなった。

 読んでいただきありがとうございます。


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