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【NTR+裏切り≠ぼっち】捨てられた俺は、騙され搾取されていた君と、友達から始めました。  作者: いな@
第二章

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第98話 脱出

 二階から下りる階段の途中から煙の匂いが強くなってきた。


「なるべく煙は吸わないように!」


 一階に下りると、火災場所だと思われる扉が開け放たれ、黒い煙が廊下へ吐き出されている。


「あそこだ!」


「冷たいのです! 早く逃げるですよ!」


 天井からのスプリンクラーで煙は多少押さえられているが、視界は悪い。だけど煙を吸うリスクは減りそうだ。


「川側の非常口は駄目だ! 正面玄関口に急ぐぞ!」


「わかったのです!」


「みんな! 足元が濡れてるから気を付けろ!」


「いっ! イダダダダダ! な、なんだ! どうなってる! ってお前なにしてやがる! 下ろしやがれ!」


「こら暴れるな! 火事だ!」


 担いだ男が目を覚ましたようだ。どうしよう……置いて行くか……。いや、縛ってしまったし、自力では逃げられないだろうから無視して――


「訳のわからねえこと言ってんじゃねー! 下ろしやが――」


「うるさいのです!」


「レゲヒュ――」


 ゴン! と、先頭を走ってたシオンが戻ってきてフレイルで男を気絶させる。


「ありがとう。後少しだから騒いでもこのまま連れていくから大丈夫だ。今は早く外に出よう」


「はいなのです! 全速力でぇぇぇえええ!」


「シオン!」


 担いでいた男をなるべく前方に飛ぶよう放り出し、足元の水で滑り、転けそうになったシオンを掬い上げるようにお姫様抱っこ。


 ドスン――と前方で落ち、数メートル床を滑っていく男が落下の衝撃で目覚めたのか――


「アガガガガ! どうなってんだぁぁあ! そっと下ろしやがれぇぇえ!」


「滑りやすいんだから気を付けなきゃ駄目だろ!」


「ごめんなのです! ふらはいの人も今のはごめんなのです!」


「そのまま走って! この人は私が引きずっていきますわ! 身体強化!」


「私も手伝う! 身体強化!」


 前を走っているシオリとミクは、床に転がった男の足を縛ったロープを走りながら掴み、走る勢いを殺さず引きずり始めた。


「痛っ! こら、腕が! 折れて! 止め!」


 まもなく正面玄関口に到着し、開きっぱなしになっている両開きの自動ドアから外に走り出る。


「嘘だろ! アギャ! オゴッ! イギッ!」


 エントランスから走り下りるとき、階段で何度か男がダメージを受けていたが我慢してもらおう。


「イダダダダダ! ひ、引きずるな! 削れるダァァアア!」


 仰向けで二人に足を持たれ、アスファルトの上を引きずられる男……。


 折れた腕が下になってるから痛いだろうなアレ……。


 ……もう少し離れるから我慢してもらおう


 シティーホールから少し離れ振りかえると、二ヵ所の窓が割れ、一階の窓から黒い煙が立ち上っていた。


「あそこが出火場所ですわね。私たちがいた部屋の真下。逃げたフライハイの二人が火をつけたと考えて間違いなさそうだけど……」


「ああ、なに考えてるんだアイツら……こんなことすれば探索者ランクの降格だけじゃ済まないだろ」


「無茶苦茶なのですよ。ふらはいは警察に捕まえてもらわないと駄目なのです。放火魔なのです」


「ホント、シオンお姉ちゃんの言う通りあんな人が普通に歩いてると思うと安心できないよね。絶対逮捕よ逮捕」


「そのあたりはサブマスが連絡してくれていると思うけど……あっ、高橋さん!」


「たかぴー?」


 シティーホールから俺たちより遠くで火災現場を見ている集団の中に高橋さんを見つけ駆けつける。


 男は引きずられてまた叫んでいるけど、置いておくわけにもいかないし……我慢しろよ、後少しだから……。


高橋さんのところにたどり着いたときには男は気絶していた。泡をふきながら……。本当になにか申し訳なくなってくるな……。


「大丈夫だったかい?」


「はい。少し濡れましたが怪我はありません」


「それは良かった。……ところでその縛られた男は? 先程から気になっているのですが」


「この人はフライハイの仲間のようです。今日の説明会に来た三人組のAランクパーティーの一人で――」


 二階であったことを簡単に説明していると、消防車を誘導していたサブマスさんが合流して、説明の補助をしてくれた。


「なるほど……。でしたら紅の紳士と一緒に少し尋問をしたいですね。……サブマスさんこのものの身柄を預かりたいのですが、よろしいですか?」


「そのものは……そうですね、今回の火災には関わっていないと思いますので、探索者カードをお借りして、降格処理さえ済めばギルドとしては問題ありません」


「ありがとうございます。君……気絶しているのですね。では勝手に探させてもらいますね。さて、探索者カードは……」


 高橋さんは男の体をペタペタと触り、持ち物を取り出していくと、財布から探索者カードが出てきた。


「ありましたね。サブマスさん、これを」


「ありがとうございます。しかし、このものを預けるとして、どうなさるおつもりですか?」


「フライハイは近ごろ少々やり過ぎですので、少しこらしめようと思いまして」


「でしたら、その男の仲間が二人、逃げたのですがいかがなさいますか?」


「レイくんやサブマスさんに聞く限り、この火災の放火犯の可能性も高いですよね……見つけ次第になるでしょうが、話は聞きたいですね」


 そうか、可能性が高いけど確定ではないのか。まあ俺たちも火をつけた現場は見ていないから、断定はできないもんな。


「火災現場の部屋には防犯カメラがあるでしょうが、映像が無事だと良いのですが……」


「そうなのですよね。防犯カメラの映像も提出するようにシティーホールの管理会社には伝えましたから、後は結果待ちになりますね」


 残っていると良いんだけど……。でも考えると不思議だよな。あの短い時間でどうやって火をつけ燃え広がらせたのか。


 もしかすると燃えやすいものが置かれた部屋だっただけかもしれないけど……。


 よし、結果はまた高橋さんに聞くことにしよう。

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