ぬくもり
ここから、一気にエンドまで書きます。
なんだか、そういう気分なのです。
スパム行為でバンされるかもしれませんが。
「おはよう……」
「おはようございます。明さん。そういえば、顔色が悪いですよ」
「本当?」
「はい」
時はやさしくて———
「そういえば体がだるいな……」
「今日は学校を休んで、病院に行かれたらどうですか」
「そうだね、今から行ってくる」
「私も一緒に病院へ行きます」
「駄目だよ。学校に行かないと。先生から怒られるよ」
「ううん、大丈夫よ。それより、明さんが心配なの」
ふたりは透き通るようで———
「僕は大丈夫だよ」
「寂しいでしょ?」
「でも、美鈴さんがいるから」
「だから、私が一緒に行った方がいいでしょ」
「本当に? 行ってくれるの?」
「うん」
「いいの? 美鈴さん」
「はい」
「じゃあ行こう」
輝きを失うこともなく———
「そろそろ、病院だね」
「着きましたね」
「ああ、古い病院だけど、やぶ医者なんじゃないかな」
「大丈夫よ。私もいつも行くから」
「ここの病院は患者さんが多いね」
「そうね」
「吉田さん。病室にお入りください」
「ほら、看護婦さんから呼ばれたよ。じゃあ、受診してくるね」
「うん」
時として———
「先生、どうですか?」
「君、いつから調子が悪いのかね」
「先生、昨日の夜から体がだるくて……」
「食欲はあるかね?」
「いえ」
「熱があるし、風邪だな。家でゆっくり休んでいなさい」
「美鈴さん。診察が終わったよ。風邪だってさ」
「よかったじゃない。変な病気じゃなくて」
「うん、そうだね。でも、やぶ医者みたいな感じだったからな……」
「大丈夫よ。私がいるから」
「そうだね。美鈴さんがお医者さんだといいな」
「私はやぶ医者じゃないからね」
ハハハハ
「もう……」
ぬくもりは———
「そう言えばさ、俺のところは母さんがいないからな……」
「明さんが小さい時に亡くなったのでしたね」
「ああ、そうなんだよ……母さんは病気で、父さんも戦争でね。親戚の叔母さんが面倒みてくれているんだ」
「じゃあ、私が看病してあげる」
「いや、悪いよ」
「大丈夫よ。お母さんに言ってくるね」
消えることもなく——— )
「明さん、ただいま」
「大丈夫だった? 美鈴さん」
「大丈夫でしたよ」
「ありがとう」
「じゃあ、看病してあげるね」
「ありがとう」
「まず熱をさげないと」
「ああ」
幼くとも———
「冷たいタオルをして、冷やし枕もどうですか?」
「そうだね。気持ちよさそうだね」
「そうでしょう 熱を測ってみましょうか」
「うん」
「まだ熱がありますね。でも最初からすると下がりましたね」
「ありがとう」
「おなかも痛いですか?」
「うん」
「じゃあ、温かいおかゆを作りますね」
「ありがとう。美鈴さんはやさしいね」
「今頃気づいたのですか? もう」
「ああ、ごめん、ごめん前から気づいていたよ」
「それなら、許してあげる」
「よかった」
二人をつつむ———
「明さんそばに行っていい?」
「駄目だよ、風邪がうつるし……」
「平気よ。じゃあ、手をつないであげる。これできっと良くなります」
「ありがとう。美鈴さんの手は温かいよ、いつからそんなに積極的になったの」
「みんなの前で明さんが好きです。そういったでしょ、あれで自信がついたの」
「あれは恥ずかしかったな」
「私もよ」
「教室でわざわざ言わせるんだからな」
「言ってほしかったの」
儚くとも———
「そろそろ、お腹が空いてきたよ」
「今度はご飯ね。おかゆをつくりましたよ。食べてみますか?」
「美鈴さんが作ったの?」
「そうよ。私以外に誰がいるの」
「そうだね、おいしいかな?」
「もう失礼ね。食べさせてあげないから」
「ごめん。ごめん。食べさせてくれるの?」
「うん」
「やったあ」
「じゃあ、お口を開けて」
「ああ」
「ほら」
「え……? なんで美鈴さんが食べるの?」
「ふふふ」
「今度は食べさせてあげるから。あ~ん」
「あ~ん」
「ふふふ」
「意地悪だな。どうして、また、美鈴さんが食べるんだ」
「違います。熱いかどうか見ているからです。ふう~」
「そうなんだ、ありがとう。美鈴さんは優しいね」
「やっと気づいてくれたの」
「前から気づいていたよ」
「本当かしら」
「うん。本当だよ」
「今度こそ。食べさせてあげるね」
「ふう~」
「熱いから。ゆっくり食べてね。味はどう?」
「おいしいよ。梅干しが入っているんだね」
「そうよ。おかゆだけじゃおいしくないでしょ」
「そうだね」
「ふう~あーん」
「おいしい? 明さん」
「うん、おいしいよ」
「よかった」
「美鈴さん、そろそろ、帰らないと、お母さんが心配しているんじゃない?」
優しさの中で———
「大丈夫よ。友達の家に泊まると言ってあるから」
「嬉しいけど、恥ずかしいじゃないか」
「もう、泊まってほしくないの」
「そんなことはないよ」
「明さん、おしゃべりをしていると楽しいです」
「美鈴さん、でも、もうこんな時間だよ」
「そうね。そろそろ、寝ましょう」
「ああ」
「明さんお布団の中に入っていい?」
「駄目だよ。別々に寝ないと。だって、僕たちは高校生だろう」
「いいから。明さん」
「僕の風邪がうつるよ……」
「いいのよ」
「もっとそばに行っていい」
「ああ……」
「明さん強く包み込んで」
「こんな感じかな?」
「まだ弱いです。意外と恥ずかしがり屋さんなんですね」
「ふふふ」
「そんなことないよ。風邪がうつるからと思っただけだよ」
「じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
いつまでも———
「おはようございます」
「おはよう。美鈴さん」
「どうですか?」
「あ、熱が下がってる」
花のように———
「私がそばにいたからよ」
「ああ……」
「恥ずかしかった?」
「そうだな」
「明さんは本当に恥ずかしがり屋ですね」
「そんなことないよ」
「だって、あまり強く抱きしめてくれなかったでしょ」
「そうかな……」
「そうですよ。女性に失礼ですよ」
「風邪をひいていたからだよ」
「本当かなあ?」
「そうだよ」
「本当ですか?」
「うん……」
そっと優しく咲いている———




