灯る。(前編)
人にはひどく醜く見えた。
「夢か。?」
目を開けたのは、田川だった。
彼は見ていた。高い濃度の魔法を自分にかけて。それは、現実世界に近かった。だからこそ、意識を保てた。けれど、保てただけである。よくわからない展開にはなるし、発想力も展開力も落ちる。彼を助けたのは、彼自身だった。暗号化を解いたのも彼だし、事件を作ったのも彼。
彼はただの学生である。新しい道を見ている、未来が明るい学生である。17歳、つまり、高校生。人並みに恋もすれば、悲しいこともする。普通のゲームもする。一般人。魔法を使えることを除いては。なぜ、彼は魔法が使えるのか。それは、彼もわからない。彼は、魔法が使えることを隠してはいない。ほら、今みたいに。
出てこい
なんて、便利な魔法であろうことか。彼は、今、昼休みの途中である。そして、これは、カフェテリアで、魔法を起こしている。彼は、人に見られるのが好きなようだ。
「なぁ、この謎解ゲーム行ってみない?」
彼に話しかけたのは、高校生Aだった。彼は、魔法が使える田川に強く興味を持っていた。
彼は、人には全く持って興味がなかった。名前も覚えていない。だから彼は、名前をつける。
名前
既視感のある名前。彼はそう思った。彼は我儘だ。それは変わらない。けれども、彼は、その我儘さを外に出さない。だから、嫌われない。決して、魔法で事象を変えているわけではない。
変化
んんn。今の音。彼には聞き覚えがあった。だが、今のも、気のせいだろう。
「行こう?」
「えー。まぁ、いいよ。」
彼はそう返事した。
行った
そして、彼は魔法を使った。
行かなきゃ楽しくないだろう。と思うが、彼は、この魔法で、言ったという証拠を作り、記憶を捏造した。そして、記憶捏造などを知っているのは彼だけである。周りの一般人Bとかは普通に行ったと思い込んでいる。
ねぇねぇ
そう話しかけてきたのは、女子だった。
「何?」
彼はそう返事した。