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彼の欠点は熟考しないことだ。

イタリアのとある町にとてもやさしい男がいた。

その男は日常的に人助けをしており、信号の渡れないおばぁちゃんや木の上に風船が引っ掛かった子供を助けたりするような男だった。どれだけ自分の都合が悪くても他人を放っておけない男であった。

男にはそこそこの数の友人がいた。友人たちの大半は男の身を案じ、できる限り男のことをサポートしてくれた。友人のいくらかは男のことを良い駒としか考えておらず、頼みごとをしたりものを借りたりいいようにこき使っていた。

男は友人の一人に金を貸していた。だが、どれだけたっても友人は金を返さない。男はしびれを切らして友人の家へ行った。

「こんにちは、友よ。突然やってきてすまないが、借した金を返してほしいんだけど、いいかな?」

「はぁ!?友達に金よこせっていうわけ!?」

「いや、そうじゃなくてだな……。この間貸した1万円を返してほしいだけなんだ。どうかな?」

「そんなの借りてない!お前の記憶違いだ!帰れ!」

反論する前に男は追い出されてしまいました。友人が借りていないというならばそうなんだろうと男は思い、忘れることにした。

ある日、友人の一人が男に頼みごとがあると呼び出した。なんでも今から行く場所についてきてほしいらしい。友人の言うままについていくと、裏道にある地下の部屋に案内された。中にはガラの悪い輩たちが座っており男は少し恐怖した。友人は輩に対し金を貸してほしいといい、話し始めた。途中で男の名前が出てきたが、肝心なところを聞き逃していたため何なのか聞けなかった。友人と輩は男に対しサインを求めた。なぜサインをしなけらばならないのか?ときくと友人はお願いだとしか言わない。頼まれてしまっては断れない男は用紙にサインをし、帰宅した。

それから数か月がたったある日、男の家に輩がやってきた。

輩は顔を見せた瞬間怒鳴りながらさりげなく玄関のドアに足を引っかけた。

「おい!金返さんかい!」

「うん?金なんぞ借りていないが。」

「借りたやろがい!この保証人になる契約書にサインしたんやからはよ金返さんかい!」

確かに男のサインである。そう、友人に連れていかれたところは闇金で、男は気づかぬ間に友人の借金の連帯保証人になったのだ。連帯保証人には保証人と違い抵抗する権利がない。だが連帯とはいえ保証人だ。借金をした本人じゃない。

「我が友はどうした?」

「あいつは消えたんだよ!早くお前が返せ!」

「あいつが消えた?確かに最近見ないと思ったが、そういうことだったのか。仕方ない。金額はいくらなんだよ。」

「5億円だ!」

「5億!?」

それから男の生活は一変した。男は何におびえることもなく暮らしてきたが、それからは輩におびえる毎日であった。来る日も来る日も怒鳴られ金をむしり取られる日々。

数年がたっても男は一向に返済のめどが立たなかった。

男の精神は擦り減り、ついには身を投げてしまった。


「それで鴨になってしまうとはね。」

まったくもってその通りだといった顔をした鴨はせっせと私の飼っているオウムの代わりに巣作りをしている。

「5億も借りて一体何に使うんだろうね。いやまぁもっとすごいのは5億を貸せることだけれども」

気が付かなかったのか鴨は驚いたそぶりを見せる。なぜ気づかないんだろう。

「まぁ、これでわかったろう?人の話はよく聞くことさ。とりあえずこの中に入ってみなよ」

鴨は特に考えず鍋の中に入った。そこにねぎのぬいぐるみを入れてやると、

「はは、鴨鍋のいっちょ上がりだ。」

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