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ィ世界天龍;ドラグーン  作者: 鰹節の会
第一章 龍の肺は千年の時を刻み
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第一章 第六話 色褪せぬ血


 「·····ってわけだ」


「な···るほど····?」


 万歳地獄から1日────。

よく晴れた日の午後、リョーガは一階の低いテーブルに胡座をかいて座っていた。



「まぁ、オレの代で終わって良かったよ」


 リョーガの向かい側に座ったコロルが、写真立ての写真を見てしみじみと続ける──、



 「ちょいと面倒な事になりそうだが·····娘には自由に生きてほしからな」



 コロルの言うことによると、この村は〝ある目的〟のために、遥か昔──千年も前に作られたものらしい·····





千年前────


 時朽ちてなお、後の時代に語られるようになる

大いなる邪龍王【レベリオン】と、その配下の魑魅魍魎が跋扈していた頃の話···


·····ではなく、その後始末の話だ。


 〝村〟の存在意義は、邪龍王が倒された後、その亡骸を封印した邪龍王城を見張る事だった。


 千年前、勇者一行の結界術士が討伐した龍の死骸を龍王城ごと封印した。

 勇者が殺したとはいえ邪龍王は邪龍王·····何かの拍子に意識を復活させないとも限らない。


 そういった周囲の懸念を受けた勇者は、仲間の結界術士に邪龍王の死骸を城ごと封印させたのだが、いくら凄腕の結界術士でも所詮は人間である以上、完全に回復した邪龍王を留められる程の結界は作れない。


 魂を勇者に砕かれても、邪龍王は邪龍王·····何かの拍子に完全回復しないとも限らない。


 そういった周囲の懸念を晩年になって再び受けた勇者は、自らの子孫で結界術の素質を持った者に子孫代々、邪龍王の死体が朽ちるまで見張る事を命じた。


 命じられた勇者の子孫·····それが初代 クーストス・ペカトール である。····実に頭がハゲ上がりそうな名前だ。



 そして千年···時に注目され、時に忘れられ·····世間に助けられたり、邪魔されたりしながらも、一族と村の人々は先祖の約束を守り続けてきた。


 邪龍王が復活した時、誰よりも早く世界に警告するために·····。



 確実かつ迅速に邪龍王の復活を知るために、クーストス一族には特殊な力が与えられた。

 祖先の血に残る並々ならぬ結界術の素質·····そしてもう一つが、魔力の存在を感知する力だ。


 魔力の存在を感じる事ができる者は決して少なくない。

それなりの腕を持つ者なら大なり小なり魔力の存在を〝見る〟ことはできる。

 だが当然ながら、その領域にたどり着くには豊富な経験と才能が必要だ。

 しかしクーストス一族は、生まれながらにしてそれができる。


 まさにチート、圧倒的チートの塊ッ!



「ずりィ」


「ガハハハッ!そりゃすまねぇ!」


 リョーガの小さな妬みを豪快に笑い飛ばしたコロルが、湯呑みのお茶をグッとあおっていると──



「おいコロル、酒はこれでえ····おぉ!われ、元気になったんか!」


 扉を開けて入ってきた男が、リョーガを見て大きな声で笑う。

 農家のおじちゃんといった感じの老人で、白髪頭をみるに六十代は過ぎているのだろうが、シャンと伸びた背すじと日に焼けた精悍な顔立ちで、あまり歳をとっているようには見えない。


 「おぉ、とっつぁんか」


コロルにとっつぁんと呼ばれた男が、草鞋を脱いで上がってくる。


「そうか、起きたばっかだから何も説明してなかったな····」


 コロルが立ち上がって、リョーガに男を紹介した


「この人は レンブルー・ホラス ·····お前さんが溺れてるとこを見つけて助けた人だ····あとオレの義父でもある。」


「まぁ控え目にいーて命の恩人ってわけだ」


ヨロシクと手を差し出したホラスと握手して礼を言う。


「サンキューじっさん!」


「さんきゅ?·····まぁええけどね?じっさんはじっさんじゃけん」


 ホラスは、じっさんと呼ばれたことに若干の不服を表しながらも話を進める。


「で?われなんちゅーんだ?」


「サガラ・リョーガだ····リョーガって呼んでくれい」


訛りの強いホラスに釣りこまれてついこっちまで訛りかける。


「で?どっからきたんじゃ、われ?」


「どっから来たって言うか、なんつーか·····」


 質問に少しドキリとする·····。頭の中を、今聞いた邪龍王の話が駆け回る。

 自分が転移した真っ暗闇な洞窟───巨大な龍の全身骨格があったあの洞窟が、コロルの話した邪龍王の話と無関係だとは思えない。


·····というか俺が見た龍の骨は、まんま邪龍王の遺骨である可能性が高い、ってか多分それだわ、うん。威圧感パなかったもん。


 問題は、その事を言うべきか言わないべきか。

邪龍の城から来たというのはどうも心象が悪い。


 そこから来たのではなく、通ってきた事にしようか。


「あー·····ここだけの話なんだが····」


「「ん?」」





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