第一章 第十三話 【 祭り! 】
祭りといったら、人は何を思い浮かべるだろうか·····。
浴衣、射的、たこ焼き·····
祭りは夏の、代名詞·····
「なんで·····なんで·····」
大事な何かが欠けていると、酷く寂しい気分になるのは俺だけではない筈だ。
つまり何が言いたいかというと─────
「なんで金魚すくいがねぇぇんだぁぁぁー!!」
ちょっと思ってたのと違った祭りに、リョーガは天に叫んだ、
そして、ヤケ食いを始めた─────
◇
「お、〝朽の使者〟様じゃねーが?ほれサービスで大盛りじゃぁぁ!くえくえ!」
「おっしゃぁ!いただきますッ!」
屋台のスキンヘッドおっちゃんに、サービスで二本貰ったイカ(厳密にはイカに似た生き物)焼きを口に詰め込む───、
「お!ティーちゃんをしょっ引いてきたあんちゃんじゃねぇか!?ほれ、これくえ!うめぇぞ」
「うりゃあ、いただキますッ!」
屋台のハチマキ二本巻きのおっちゃんに、サービスで二杯貰った冷え砂糖水をゴキュゴキュ飲み干す───、
祭りは、祭りじゃなかった·····。
祭りかって聞かれたなら確かに祭りだけど、どちらかというと忘年会だった。
「わっしょいバンザイうれぴーなー」
渋い顔で二杯目の砂糖水を流し込むリョーガの前を、酒に酔ってへべれけのおっちゃんが千鳥足で流れていった───
訂正しよう、これは忘年会だ──。
「おうワけぇの!なにシケた顔しとんじゃァァ!祭りじゃ祝いじゃぁぁ呑め呑めェェェェ!」
「そうじゃそうじゃ、!めでてぇんじゃけぇぇ!飲めや歌えや踊れや踊れぃー!·····ヒック」
通りがかった酔っ払いが、リョーガに酒の徳利を渡して、人混みに流れ去った。
「俺、17なんだけどなぁ·····」
「じゃあいいんじゃぁぁぇぇぇーー!」
通りがかった別のおっちゃんが、なんかなんかよくわかんない事言って流されて行った。
この世界ではもう飲んでいい年齢なのかもしれない。
ま、いっか·····。
チビりチビりと徳利から酒を口にふくむ。匂いも味も知らない酒だ。日本酒に近いのかもしれない。
喉がカッと熱くなる感じに見舞われながら、屋台巡りを再開する。
「これ喰えぇい!」
「おうよ!」
「削り氷じゃぜぇぇ!」
「おうよ!」
「おう、また来たんか!砂糖水二杯サービスじゃけぇぇー!!」
「おぉぉぉ!」
夜は更けていく────
◇
喰って飲んで、騒いだ結果·····
「よっしゃぁぁぁぁ!!コールいくどぉぉー!」
「「おぉぉぉうぅ!!」」
「ハイ!体に体に体にお酒を?」
「「グイッグイグイググイ!あーそれそれ!」」
村人達をぐるりと見回して、手を叩く。
「テメェらぁぁ!ハイ!イッキイッキ!」
「「うぉぉぉぉぉお!!」」
「おいリョーガ·····うわっめた酔っとるアイツ·····」
あ、コロルとアルティマだ····呑ませてあげないと。
「ほらコロルゥゥゥのめのめぇぇぇぇーーー」
「「ほらのめのめーーー」」
「うおっ!?なんだテメェら!うわっ、酒臭ッ!?飲まねぇって!ちょ、やめ、ギャァァ!?」
「お父さん、頑張って·····」
「え?ちょ·····ティー!?助け──ボボっ──飲まねぇよ!呑ま──ぐべべッ───ちょ、かけんな!酒───おい!!ティーー!·····」
お、呑んでる呑んでる·····
「「おいしいかもーーーーー!」」
喰って飲んで騒いだ結果、リョーガは悪酔いした────
「やめっ!もう飲ま────おいリョーガぁぁ!コイツらを止め────オレの頭に酒をかけるなァァァーー!!」