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ィ世界天龍;ドラグーン  作者: 鰹節の会
第一章 龍の肺は千年の時を刻み
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第一章 第一話 異世界転龍ドラグーン

 

 浮いている─────────


ぷかぷかと─────ふわふわと──────

真っ白な何も無い世界トコで──────


自由に─────不自由に─────


無という概念も····空間も何も無い空間で──────



 誰かが思った──────





 『さぁ、どんな夢を見に行こうか──────』









▼▼▼




「はぁ?」


困惑に眉を顰めた少年が間抜けな声をもらした。



「いや、ですから──────」


理解が追いつかず固まる少年に、定員が繰り返す。

 ホームセンター特有の、明るく元気な店内BGMが脳に流れ込む───



「確認はしましたが·····当店では現在お取り扱いがございません·····」


外からは、うっすらとセミの鳴き声が聞こえる·····。

冷房の効いた店内のレジカウンターに佇む、俺─────相良さがら 稜雅りょうがは、心の中で舌打ちをした。


『まじかー、ここにもねーのかよ·····』


 今は夏休み真っ只中····稜雅が虫好きである事を抜いても、夏祭りに、海にプール····1年で最も楽しい季節なのは間違いない。

それなのに──────



「あ゛ぁ゛〜···あぢー」


自動ドアから二歩目でムッとする暖気が、陽炎が立ちのぼる夏のアスファルトに放り出された肉体に襲いかかる──。


 まさか寝袋が売ってないとはなぁぁーー·····。

2年前に古いやつを捨てたのをすっかり忘れていた·····。


ひとりキャンプまであと二日しかない。

 ネットでポチればいいと思ってたが、今朝調べたらどのサイトも品物が家に届くまで二日以上かかるという衝撃の事実が判明したので、こうして色んな店をまわっているのだ。


 怠け癖がこんな時に祟るとは·····最悪だ。


「おっ·····」


 道端に二つ並んだ白い自販機に、お気に入りの飲むゼリーを見つけて立ち止まる。

 喉も渇いたし───買うか。


背中に背負ったリュックを体の前に滑らせて開ける。



 「130円····っと」


自販機に硬貨を投入していく·····。

 乾いたチャリンという音を立てて3枚目の十円玉が吸い込まれると同時に、ジュースのボタンが薄い緑に光る。



ピピッ、ガシャン────


 リュックを背中に背負い直してから、取り出し口に手を伸ばす。

その時、異変に気が付いた─────。



「····骨?」


 見間違いなどではなく、何度見ても取り出しに口に古びた骨の様な物が置いてある。

とりあえず骨の横に落ちてきた飲むゼリーを慎重に掴んで取り出し口のカバーを閉じる。


反射的に周囲に目を向けるが、真昼という事もあって通りに人はいない。


『なんの骨だ?』


 サイズ感はとても魚の骨とは思えないし、豚にしては太い·····。

牛の骨は見た事がないのでなのとも言えないが、こんなに太い骨は初めて見た。

 博物館のティラノの足と同じくらいはある。



「マジでなんの骨なんだ?·····これ。」


 警戒よりも、好奇心の方が強かった。


取り出し口の中がよく見えるように屈んでから手を突っ込む。

薄汚れた太い骨を手に掴んで力を入れてみる。



「·····あっ」


 取り出し口の骨は、手の中で砕けていた。

骨が折れる時に出た粉が湿度の高い右手にへばりつく。


 どうやら相当脆くなっていたみたいだ····。

取り出し口の枠に引っかかって割れたせいか、骨は真ん中で真っ二つになっていた。


割れて手に残った方の骨を取り出して観察する。



 茶色に変色してはいるが、化石の類いには見えない。

裏側が見えたからか、取り出す前よりも大きく見える。形は、背骨や肋というより足の関節みたいに見える。



「でけー·····」


割れたもう一個の破片も取り出してくっつけてみる。

 やはり今まで見たことがない位デカい骨だ。

大型の生物の背骨かなんかだろうか·····。


 警察に届けようか思案した瞬間、頭がぐらついた────


立ちくらみだろうと思って振り始めたゼリー飲料の缶が指から抜けてアスファルトの地面を転がる。



「ぇっ·····!?」


 あまりにも強烈な目眩に襲われて、リュックを取り落とす。

本能的にポケットから出したスマホが地面にぶつかって、液晶が割れる音が聞こえた。


まるで、ぐるぐるバットを極限までしたかのように体の制御が狂い、周囲の風景が廻る。

 膝から崩れ落ちて、咄嗟に地面に手をつく。



地面にぶつかった骨が手の中で砕ける─────



 地面しか見ていないはずなのに、目の前で景色が廻る。



 自販機─────さびれた駐車場──コンクリートの隙間に生えた雑草──────龍·····?──────


 廻る、回る、囘る·····


自分が地面に突っ伏したのをどこか冷静に感じながら、意識は暗闇に放り出された。








相良 稜雅·····さがら りょうが


御歳16歳。身長174cm、体重59.8kg。うお座。

英検四級、剣道ニ年、キックボクシング三年目。


好きな食べ物:シュークリー厶

嫌いな食べ物:ゴーヤ


好きなこと:寝ること、音楽を聴くこと。

嫌いなこと:勉強、めんどくさいこと。


性癖;重度のケモナー。




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