連絡員、マルコ・ピーターズの困惑
アリアナさん、遅いなー。
さっきから約束の時間に来ないって、催促が僕のところに来るけど、連絡員の僕に言ったところで、話を聞くことしかできない。
個別の依頼主さんの窓口になるのが僕の役目だから仕方がないけど。
何度もアリアナさんの通信機に連絡を試みてるけど、全く繋がらない。
何でもきちんとしているアリアナさんにしては、珍しいことだった。
こんな街中で、アリアナさんほどの人が誰かに何かされるとは思わないから、きっと彼女のことだ、その辺で困っている人に親切にしていて遅れているんだろう。
自国にいた時はよくあることだった。
アリアナさん、お人好しだからなー。
それで、大体のことは自分で解決できちゃうから、まだ未成年なのに将来有望だよ。
「マルコさん!」
「おや、アニーさんじゃないですか。アリアナさんからの言伝があったりしますか?」
事務所代わりに用意してもらっている家に、息を切らせてアニーさんがやってきた。
やっぱりアリアナさんは、誰かのお手伝いでもしているのかと思っていると、切羽詰まった様子のアニーさんから言われた事は、
「姉が国外追放になって、依頼主さんのお店に行くことができません。その旨をマルコさんから各お店に伝えてもらえませんか?それから、公爵家とギルドにも伝えて下さい。それからそれから、お願いします、私にも、自国と連絡がとれる通信機を貸してください!」
「はい?」
美人で真面目なアニーさんから一気に言われた冗談みたいな事は、僕の頭を完全に停止させていた。