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苦情係、マルコ・ピーターズの報告

「あ、いたいた、アニーさーん!」


 城から歩いて出てきたアニーさんに呼びかける。


 すぐに気付いてこちらに駆け寄ってきてくれたから、知りたいであろうことを、即、報告した。


 それが僕の役目だ。


「アリアナさん、無事に国に着いたそうですよー」


「本当ですか?良かった……」


 アニーさんは心底安堵したように、ホッと息を吐いた。


 いくらアリアナさんとは言え、いきなり国外退去処分だから、それは心配だよね。


 それにしても、怖かったなぁ。


 シスラ公爵様直々に連絡してきて。


 僕、通話機越しでもビクビクしていたよ。


 姪の事が心配とは言っても、僕に怒鳴っても仕方がないよー。


「あ、それと、アニーさんに伝言がありますよ。アリアナさんと、ライオネル様から」


 うん、うん。


 それを伝えた途端に、パッと表情が明るくなったから良かった。


 アニーさん、お姉さんのことも、婚約者さんのことも大好きだもんね。


 ライオネル様も、ご自分の婚約者が心配だからって、僕にくどくどと愚痴らなくてもいいのに。


 それで、アニー様に会えなくて寂しいものだから、わりと近くにいる僕に八つ当たりを始めるし。


 地味だけど、連絡係って、大変なんだよー。


 感情に任せて喋る人達を宥めて、用件を聞き出してまとめなければならないから。


「ライオネル様の伝言としては、交渉事は僕に任せて、アニーさんは一度国に戻ってきてって。迎えが明日にも到着するから準備しててねーって。後のことは、僕が一任されたよ。それから、アリアナさんは、諦めたわけじゃないから、焦らずにやろうって」


 それだけで、アニーさんには真意が伝わるようだ。


 少しだけ涙ぐんでいた。


 御両親と同じ病で亡くなる人をこれ以上出したくないって、アニーさんの願いだもんね。


 僕の権限がある程度融通がきいたら良かったのだけど、最後通告みたいな場面にならないと一任されないからなぁ。


 まぁ、こんな事、誰も予測できないよね。


 それだけ、この国が愚かってことだよ。







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