夢々
最近、不思議なことがある。
目を覚ますと、夢の世界にいる。
そう。夢の世界だ。
なんか、現実とそっくりなんだけど、夢の世界だってわかる世界。
そこで、僕は旅をするんだ。
始まりはいつも家から始まって。
歩き出して、山を超えて空を飛んで足を早めて。
そして、時には人を殺してみたりして。
そう、僕が思えば、なんでも出来る。
その場所は、僕の意思でなんでも思い通りになる、僕だけの夢の世界だったんだ。
けど、最近様子がおかしい。
夢の世界が、夢の世界の中だけじゃなくなってきたんだ。
いつも、楽しくなってきた所で目が覚める。
人を殺してるなら、殺してる所で。
山を昇ってるなら、山を登りきる手前で。
空を飛んでるなら、雲を掴んだその終わりで。
いつもいつも、目が覚めるんだ。
でも、きのうは違った。
目がさめて、起き上がって。
そして、目の前に死体があった。
夢の中で殺した。
そう、僕が夢の中で殺した死体だ。
なぁ......今、狂ってるって思ってるだろう?
げんじつを、夢の中だと思って、僕が人を殺したんだって。
僕の精神が異常をきたしていて、僕が現実世界を夢だと認識して人を殺したんだって、思ってるんだろう?
でも、違うんだよ。
違うんだ。
だって僕が、夢の中で殺したのは───
『......紛れもない、自分自身なんだから。』




