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風鈴
風鈴の音が聞こえる。風が戸を叩いている。
驚いて其方を振り向けば、風鈴は静かに鳴り止んだ。
風鈴の音が聞こえる。風が戸を叩いている。
来たかと勇み其方を見れば、風は静かになりを潜めた。
風鈴の音が聞こえる。風が戸を叩いている。
またかと思い其方を見れば、いつも通りの風景だった。
風鈴の音が聞こえる。風が戸を叩いている。
「もう、気にしてやるもんか」
僕は静かに目を瞑り、そっぽを向いて呟いた。
チリンチリン、ドンドン。
チリンチリン、ドンドン。
チリンチリン、ドンドン。
チリンチリン、チリン。
「───ねぇ、なんであけてくれなかったの」
「えっ」