人間
キミはさ。何のために生きてるの?
人間はさ。何のために生きてるの?
理想はある?
目的はある?
生きる意味はあるの?
……今の質問に答えられる人が、この世界に何人いると思う?
私はさ。
言っちゃあ悪いけど、理由なんてないと思うんだよね。
人が生きてる理由、成すべき事、存在する意味なんて、きっと人間が深く考えすぎてるだけで、何も無くてもいいと思うんだ。
だって、世界から見れば人間はちっぽけな存在だから。
長い長い歴史の中で、
始まりから終わりを迎えるためだけに進んでいる時の中で、
この短い一瞬の時間、
相対的に見ればゼロに等しい間に存在している生物なんか、生きてる意味があるはずもないんだから。
それこそ、世界……
宇宙のどこかには、意味を持って存在しているナニカが居るかもしれないけど。
でも、それはキミじゃない。
キミは何もしなくていいんだ。
何かをしても、なんの意味もないから。
───でも、何かをしてもいい。
だって、同じように、そこには何の意味もないから。
だからさ、人間。
死ぬまでに色々試してみなよ。
キミが行動した結果の出来事なんて、ほんとに些細なことなんだから。
失敗しても大丈夫。
意味なんてないんだ。 大したことじゃない。
それに、もしキミの行動が世界を変えるような何かを生み出せたとしたら。
少しぐらいは、この世界で意味を持つことが出来るかもしれないしね?
だから、頑張れ人間。
軽い気持ちでさ。
私も応援してるから。行ってらっしゃい。
そう言って彼女はそっと僕に笑いかけると、その鎖で縛られた腕を軽く振って、見送ってくれた。
あの夢は、なんだったのだろうか。
今でも分からない。
だが、それはとても心地のよい夢で。
朝、目が覚めて、何故か涙が零れていたのを今でも僕は覚えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー