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手を


思いは空に登って、星のように瞬いている。


心は瞬きに向かって浮かぼうとして、私の頭上に梯子を掛けた。


長い道程を上がっていく。


その道中で、心は摩耗していく。


私はそれを眺め、止めようとして手を伸ばして……


しかし、それがとても不快で思わず手を止めた。



心は、そんな私を馬鹿にするように梯子を登る。


その姿は、蛍光灯に恋焦がれ飛びついて、そして死んでいく羽虫のようにしか見えない。


けれど、あれはそのことを分かっていながら、登っている。


道半ばで死することすら誇りであると思っているのだろう。



……何故、あの場所を目指すのか。


きっと、届かないというのに。


きっと後悔するというのに。


頭では、その事がわかっているというのに。


……私はどうして目指してしまうのだろう。



思いは、空で瞬いている。


それに向かって、幾つもの梯子が掛かっている。




「私は星になれるだろうか」




私が私の耳元で囁いた。


それは耳から全身へと侵食し、体内の全てを凍えさせる。



脳が重くなって、溶けだして……


息が荒くなって、視界が暗転して……


ぐちゃぐちゃになっていく私が見えて、怖くて怖くて手を伸ばしもがき苦しんだ。


「あぁ、嫌だ、嫌だ。死にたくない」



……しかし、心はそんな私を馬鹿にするかのように。


光に群がる羽虫のように……



瞬きに向かって、


ただひたすらに梯子へと手をかけた。


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