9:孤児院へ向かう
孤児院は教会のすぐ近くにあったので、ランス司祭に連れて行ってもらった。
………
…
孤児院に着くと、護衛兵は子ども達を怖がらせると悪いので、馬車とともに外に待たせて入ることにした。(実はさっきから護衛いたのよ←)
孤児院は思っていたよりも大きかった。聞けば、子どもの数は約3~14歳で、40人程いらっしゃるとか!…凄い←
ランス司祭が扉を開けて案内してくれる。中に入ると、子ども達が集まってきた。
「ランス司祭!どうしたのですか?」
「これから鬼ごっこをするんです!一緒に遊びましょう!」
「だめ!私達と遊びましょう!」と皆、目をキラキラさせて近づいてくる。ランス司祭は人気者だった。
「…皆さん!落ち着いてください!…今日はシャーロット王女様が来てくださったのです!」と皆に話すと…
これは、自己紹介の流れのようだ。
「皆さん、初めまして。シャーロット・オブ・ローズグレイですわ。本日はランス司祭に同行させて頂いております。」と挨拶をした。
すると「…なんで仮面を被ってるの~?」「変なの~」と子ども達の声が聞こえる。やはり子ども達は素直である。ここは素直に答えるとする。
「火傷の痕が酷くて、お見苦しいので、仮面で隠しておりますの。」と明るい声で話した。
「「…………。」」
あれ?間違えた?そうなんだ!って軽く終わると思ってたんだけどな。
すると、ランス司祭の顔が青ざめていた。
「シャーロット王女様はお怪我をされているのです!皆さん優しく接して下さい!」と子どもたちに言うと、申し訳ありません。と私に頭を下げた。
「…とんでもない!私は気にしないわ!」と口元に笑みを浮かべる。
すると、一人の少年が声をあげた。
「…どうせ、王族なんて食べ物に困ったりしないで、楽に生活出来るんだから良いじゃん!」
パッと声の方向に目を向けると、この中では年長者のグループだろうか、面倒くさそうな目でこちらを見ていた。
すると、ランス司祭の顔がさらに青ざめた。
「こら!エドワード!そのようなことを言ってはいけません!」申し訳ありません、とさらに深々と頭を下げた。
「…ここに来たのだって、慰問してやってますって王族サマのポーズだろっ」と言い捨てる。
エドワードという茶髪で緑の瞳の少年は、見た目が悪くないのだが…中身がひねくれてる←
どうした、お前←
「…申し訳ありません。実は、この子達の姿を見て…邪な気持ちでここの子ども達を引き取りたいという貴族が多いので…その…。
…先ほどの発言は私の教育不足によるものですので、代わりにお詫び申し上げます。」
ランス司祭が土下座でもしようという勢いで頭を下げた。ランス司祭、今日は謝ってばかりだね←
ーーー確かにここの子ども達は顔が整っている。エドワードとかいう子の後ろの双子なんて段違いに美しい。金で買いたい輩は沢山いたのね。
私の考え込んだ様子を見て、ランス司祭がまた声をあげた。
「…っ無礼は承知しておりますが、何卒寛大なご慈悲を…。」
イヤイヤ!処罰を考えてたわけではないからっ←
その様子を見て、エドワードはやっとことの重大さを理解したようだ。
でも、ここまで来て謝り方も分からない様子。
私はランス司祭に「良いのです」と声をかけ、横を通りすぎるとエドワードに近づいた。
「貴方、エドワードと言ったかしら?」
エドワードはこちらを驚いた顔で見つめている。
そして、あ、はい。と小さく返した。
「1つ聞きたいの。貴方は一体何の努力をしているのかしら?」
10代の若い子には申し訳ないが、お説教だ。