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8:仮面姫は司祭から情報収集する

ランス司祭は一瞬顔色を明るくした後、パッと目を伏せた。


「…実は、戦争に備えて教会の運営費や寄附金が大幅に減っておりまして…。現在、こちらに回ってくる運営費はほとんど近くの孤児院のために使っておりまして…。ルイ王子を御支持出来るほどの資金が手元にあるかと言われると……申し訳ありません。」と、深々と頭を下げられた。


「…!!!い、いえ!そのような資金の協力をお願いしに来たのではありません。」私は手をブンブンと横にふる。

「では、他にどのような…?」ランス司祭は自分に出来ることはあるのか?と不安そうな顔をしていた。

「まず、今の教会の状況を詳しく教えて下さい!」

それなら、とランス司祭は丁寧に教えてくれた。



………


ふむふむ。話はだいぶ分かったわ。


今、教会全体としては、戦争推進派と反対派に別れていて、戦争推進派が勢力を強めてきていると…。

戦争推進派のトップは教会ナンバー2と名高いグレゴリー・キャンベル。彼は、(本来、政治と宗教は近づき過ぎないことが基本だが…)都合の良い解釈で、父の戦争をサポートし、その報酬で私腹を肥やす、小悪党に成り下がっていた。

最近、我が国は戦争を控えて不景気で、生活のために推進派になる方も多くいらっしゃるとか。


一方で教皇様は戦争反対派だが、反対派を公言すれば、反対派の聖職者を殺すと脅されており、実質、監視されてる状態。と……


ランス司祭自身においては、運営費の大部分を孤児院の子どもたちに渡していて、成長したけど働き手のない子ども達を教会に下働きとして雇い入れてるとか…

なんて良い人なのっ←


話を聞いて、考え込んでいると…


「…申し訳ありません。ご協力したいのですが、教会側にも問題が沢山ありまして…お恥ずかしい限りです。」と頭を下げられた。


「いえいえ!目の前の生活が大事なのは当たり前です!

…言い方が悪いかもしれませんが、まずはランス司祭が当面自由に動くために生活資金を何とかせねばいけませんね。

…一つお伺いしたいのですが、オレガノ教会で集めた寄附金などはオレガノ教会の資産として自由に使うことができるのですか?…それともアテナイ教本部に取られてしまいますか?」


「いえ!この教会の寄附金はこちらで使うことができます。でも、貴族様は大抵、本部に寄附されますので…」

「なるほど!それなら良かったです!」

「…良かった…ですか?」

ランス司祭は、分からないという様子で聞き返した。

「はい!要はココに寄附金が集まるようにすれば良いのですよ!」

「それは、一体どのようにでしょうか…?申し訳ありません。私に良い方法が思い付かなくて…」


「…ランス司祭、先ほどから謝ってばかりですよ?貴方は精一杯頑張っていらっしゃるじゃないですか?」私は謝ってばかりのランス司祭が気になった。


「…そう…ですね。自分のよりも幼い王子様を焚き付けておきながら、良い大人である自分が、何も出来ないでいることが本当に情けなく、恥ずかしいのです。孤児院の子どもたちの生活も満足にさせてあげられず…本当に後悔ばかりです。」

ランス司祭は顔を歪める。



ーーーとは言え、私の中身年齢は貴方の約3倍だけどな←

ははは、と苦笑いしたい気持ちを抑える。



今日はじめて話したけど、この人は、自分一人で背負い込んでしまうタイプの人なんだな。

個の力では限界がある。集団の力を使うことを覚えてもらわないと!(上から目線すみません←)


「…ランス司祭、自分を卑下してはいけません…。一人で出来ないときは、他の人に頼るのですよ?」

私は立ち上がり、ランス司祭の両手を握り、さっきより力強い声で話す。

「…孤児院の子ども達に会わせて下さい!何か皆の力を借りましょう!こういうときは皆で乗り切るのです!今までは、ランス司祭お一人だったかもしれませんが、私達もいますし…ね?」と、仮面越しではあるが、口元に笑みを浮かべた。


ランス司祭は顔をあげて、少し複雑そうなお顔をしながらも「…はい!」と返事をしてくれた。

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