7:仮面姫は突撃する
オレガノ教会では、仮面をつけた私にも偏見の目を向けずに、ランス司祭が温かく出迎えてくれた。
ランス司祭は最年少で司祭にまで登り詰めたエリートさんで、栗色の髪の毛と瞳の癒し系のお兄さんだった。確か、25歳だったはず…。
「お久しぶりです。ランス司祭。本日は姉の訪問をお許しくださり、感謝致します。」と弟は私とランス司祭が話せるように完璧な繋ぎをしてくれた。
この素晴らしい流れに乗れねば!!
「初めまして、ランス司祭。私はシャーロット・オブ・ローズグレイです。本日はよろしくお願い致します。」とすかさず挨拶した。
「…こちらこそ。お忙しいところありがとうございます。オレガノ教会で司祭をしています。ランス・エドワーズです。よろしくお願い申し上げます。…また、この度の火災の件、こちらにも聞き及んでおります。ご心労お察し致します。」と深く礼をとってくれた。
こちらから仮面の話を切り出さなくても良いようにしてくれたのね。
ーーーとても良い人そうだわ。
何事もなく挨拶が終わると、ルイはもう時間のようだった。
「では、私はここで失礼します。姉様、またお迎えに上がりますね!」とルイは私に挨拶すると…
次にランス司祭に向き合った。
「…ランス司祭、この前のお話の件、きちんとご返事が出来なかったが……答えはyesだ。また話しましょう。」と言い残して消えて行った。
ランス司祭は何やら驚いた顔で、少し弟の後を追ったが、少し考えた後、はっと理解したようで…
「…私に出来ることは精一杯お手伝いさせていただきます。」とルイの背中に返していた。
二人の背中姿は絵になっていて…
思わず、私のテンションが上がっていた。
「…///」
ルイったらカッコいい//
こういう男同士の主従のやり取りで良い物語が書けそうなくらいだわ。
…いやいや、脱線はいけない←
ふぅと深呼吸をして、心を落ち着かせていると…
後ろを振り返ったランス司祭はすぐにこちらに頭を下げた。
「…以前、ルイ様とお話をさせて頂いておりまして…王女様の御前で申し訳ありません。教会の中にご案内させて頂きます。」と私を教会内に誘導する。
「お気になさらず、ランス司祭と弟のお話は聞き及んでおりますよ。私もランス司祭と同士ですの。」と歩きながらにこやかに返した。
「そうだったのですね!それは心強いです!」と笑顔で返してくれた。
そのまま、和やかな雰囲気で、中を案内してくれた。
教会には築300年の歴史があり、正面には豪華なパイプオルガンが設けられ、その奥の大きいステンドグラスにはローズグレイ国の国旗にもなっている"薔薇と剣"が左右に描かれており、中央に美しい女神アテナイが描かれていた。
「…本当に美しいですね。」ポロリと声が漏れた。
「…ありがとうございます」とランス司祭も小さく返してくれる。
さて、一応名目上は火傷の痕のがなくなるようにアテナイ様へのお祈りということになっているので…熱心にお祈りすることにする←おいっ!
「…」教会のイスに座り、手を合わせ祈る。
もちろん、ルイに王位を。ルイに王位を。ルイに王位を。ルイに王位を。ルイに王位を…………………エンドレス(笑)
そして、お祈りが終わると本題だ!
「…ランス司祭!」私は声を掛けにいく。
「はい!どうされましたか?」
「…回りくどいことは止めて、本音でお話をさせていただきたいわ。これ以上戦争が起こるのを傍観していられないの。貴方の力を貸してください。」
強く言い切って、ランス司祭の前に立った。