6:仮面姫は教会に向かう
こんにちは!今日は良い天気ですね!
さて、今はランス司祭の教会に馬車で向かっていますよ!
道の整備もまだまだ整ってないから道がガタガタだし…馬車移動はまだ慣れないわね←
私が少し青い顔をしていると…
「…姉様?大丈夫ですか?」顔をこてんと傾けながら聞いてくる、正面に座る可愛い弟。
「ルイ、ありがとう!大丈夫よ。」と微笑み返す。
「…本当は1日お供でか来たら良かったのですが…急遽、父上と共同の視察が入ってしまいまして…ランス司祭のご紹介だけで…申し訳ありません。」
「大丈夫よ!今日はとりあえずご挨拶だけだから」
お父様がいるなら仕方ない。むしろ、お父様の動向をしっかり探ってきてほしい。(何かやらかしそうだから←)
「…ところで、ランス司祭は何で味方になってくれそうって思ったの?」
「前に教会でランス司祭にお会いしたときに、戦争ばかりのこの国の行く末を嘆いておりまして…私の治世に期待している、とおっしゃっていただきました。
…その時、私は、お父上の後に私が引き継いだら…とまだ王位は先のことと…恥ずかしながら思っておりまして…」せっかく本音で話していただいたのに、ランス司祭には何も出来ずにおりました、と伏し目がちに話した。
「…なるほどね。確かに味方になってくれそうね!早く話してみたいわ!
…ルイはどうやって本音を聞き出したの?もともと親しかったわけじゃないわよね?」
きっかけって大事なので知っておきたい…
「それは、ランス司祭が栞を落とされまして…」
「…栞?」
「はい。ランス司祭が援助されている孤児院の子ども達が作ってくれたものらいのですが…栞についてのお話を聞いてるうちに、どんどん話してくれまして…」
……。
そうだった!!
前世の娘は、"天性の人たらし"であった。
彼女はかなりの聞き上手で、気づけば回りに人と仲良くなり、人が集まり、病院の中でもいつも楽しそうに過ごしていた。
そして頭も悪くない。皆の話の腰を折らずに自分の意見を言うことも出来た。
人の誕生日会などは病院内外あらゆる人を巻き込み盛大に行えるほどの実行力も持ち合わせていた。
今世ではまさに王の器!!!!←
素晴らしいわ。お姉ちゃん感動!!
「…ルイは、人の話に耳を傾けることができる素晴らしい才能があるのね!」
「…とんでもないです!ただ、聞いただけで、何も出来てない。ただの無力な王子です…」
私はスッとルイの横に腰掛ける。
「…ルイ。まずはその情報を知ることがなければ始まりませんわ。全ての優れたモノの制作背景は情報収集が基本です。貴方はそれが自然と出来ているではありませんか!」
さらに、ぎゅっとルイの手を握る。
「…正しい情報を正しく活用することに意味があるのですよ!貴方は、私に情報を教えてくれました。そして、今、ランス司祭へと向かっています。これは貴方が味方を増やすために行動した結果でしょう?
ルイはルイの出来ることをすれば良いのです。
…ルイの貴重な情報を使えるかどうかは、姉である私の責任ですわね。」
お任せくださいな、と笑って見せる。
「姉様!!…私も姉様のように、しっかりとした人になりたいです」と目を輝かせている。私の話に納得してくれたみたいだ。何やら尊敬の眼差しを向けられている。
どうしたら私のようになれるのか、と言われたが…私には前世58歳+今世13歳だから、71歳分の知識がある…。
年をあと60歳とればとか、言えないので…弟にはただ今は、勉強するしかないとしか言えなかった←
そんなこんなで、ランス司祭のいるオレガノ教会に到着した。