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4:弟王子との秘密会議


しばらくすると、私はベッドからすっと起き上がった。

「ルイ、大丈夫?」


「?えっ!?!?!?姉様っ!?えっ?!!お怪我は?!」とだいぶ驚いた顔をしてこちらを見ていた。

「あー、これね。大丈夫だから!…とにかく、ルイと二人きりで話がしたくて…ひと芝居打ってみたの。」

ニッコリと笑みを浮かべる。


「…本当に大丈夫なのですね?」

「うん、大丈夫よ」

「一体その酷い火傷は、どうなってるのですか?重症者は姉様だけだったので思わず、他国の刺客とか人為的なものかと思っちゃいましたよ。」

「あー。私はこの騒動に便乗しただけよ。あと私ってルイに魔法見せたことなかったっけ?」前の記憶を思い起こすが、やはり覚えがない。

「え、姉様!魔法が使えるのですか?!」

「うん、お父様には戦争で使われるのが嫌だったから見せてこなかったんだけどね。」

特別よ?と指をぱちんと鳴らすと、元の火傷の痕すらない顔が姿を覗かせた。

「いつもの美しい姉様です!!凄いです!何の魔法なのですか?」ルイは顔を輝かせた。



「これは、幻影魔法よ」


ーーーそう、シャーロットは魔法を使うことができた。

この国では戦争がすべて。ローズグレイ国ほど魔法がモノを言う国はないだろう。魔法が使えると分かれば、大人だろうと子どもだろうと、戦争に駆り出された。魔法は国民全員が使える訳じゃない、貴重な存在だ。

そしてこの魔法が知られたら、お父様に戦争だけでなく、プライベートでも利用さらに執着されるのが目に見えていた。これを隠してきたのは正解だ。前の私(シャーロット)は賢い子だったのね。


「…姉様は、もしかしてお顔は火傷の痕のままでいるつもりですか?」ルイが何か気付いたようにこちらをみる。

「ええ、そうよ。このままでいれば、お父様から逃れられるでしょ?見た目重視の方だもの。ルイのための時間も増えるわ。」

「……」

「…? …ルイどうしたの?」


「……姉様。お助けするのが遅くなって申し訳ありません。今回の件で、想いを強くしました。この国はあの王では行けません。私が王位を奪います!出来るだけ、早く!」

ルイはそう言うと己の拳を強く握った。美しい翡翠色の瞳にはしっかりと力が宿り、キラリと輝いていた。


それを見て、目標が決まって良い顔してるわね、と思わず笑みがこぼれた。

「ルイなら立派な王様になれるわ!私も協力する!」

私達は手を取り合った。両手を気ゅっと握り会う。


「ただ、問題が山積みです…。私が10歳で成人前ですので…後ろ楯が必要になります。他にも味方がまだまだ少な過ぎることです。現在、騎士団長や我が国の宗教であるアテナイ教トップ、格式の高い貴族などは皆、戦争派です。…こちらの対抗力としてはまったく歯が立ちません。」ルイが苦い顔をした。


「…あら、でも協力してくださる方がこちらにもいるのでしょう?どなたですか?」

「…はい。剣術を教わっているユリウス騎士団副長とその部下たち…この前、教会でお会いしたランス司祭というところでしょうか?」

「皆さん、割と上位階級の方じゃない!…私なんて、貴方よりお姉さんのくせに味方の一人も作れていないんだからっ!」凄いわ!と弟を褒め称えた。


「あれだけ、父上の側にいて味方を増やせていたら凄いですよ。…とりあえず、今は味方数を多く集めたいですね。私はこちら側の騎士団の勢力が増えるように、もう少し入り込みます。」より民に近い人達を取り込んでおきたいですしねとルイは微笑んだ。


「…10歳とは思えないほど、しっかりしてるわね」と、関心して声が漏れた。

「王になるためにこのくらいは当たり前です!それになんだか動き回って味方を増やして行くのが楽しいんですよね。」話がそれましたが…と語りながらもイキイキとしている弟が微笑ましい。


「私もルイの味方集めるわ。たぶん、宰相とアテナイ教皇サイドはこっちに寝返ると思うわよ?」



「「 ……。 」」←一瞬沈黙が流れた



「……どうしてそう思われるのですか?!」ルイはまた驚いた顔をしていた。


「え、見ればわかるじゃない。」



「「……。」」←本日二度目


え?え?何か違った?


「宰相は父をなだめているのを見たことがあるし、教皇は脅されているから戦争派についてるだけよ。じゃあ、たぶんアテナイ教が早いから、さっき言っていたランス司祭を紹介してっ。内部の情報を探ってくるから。」と沈黙に耐えきれず流れるように言った。


「…姉様こそ、13歳とは思えないですよ。私では父上の側にいるような上位の方が味方になる可能性があるとは夢にも思いませんでした。さすが姉様。ランス司祭をご紹介出来ますが…どうなさるおつもりですか?」


記憶が合わさったときに知ったのだが、前の私(シャーロット)はよく人を見ている子だった。将来誰が私を庇ってくれて、誰が裏切るか…。と父の横で怯えながら過ごした産物と言えよう。

ただ、父が怖くて行動を起こせなかっただけで…。でも今の私は、違うわ!


「この火傷をネタに、突撃しかかないでしょう?」

一瞬ぽかんとした後、

「姉様って、行動派だったんですね。初めて知りました。」とふふと笑いながら話された。


その後も味方作りの他に今後の父の対処法など、秘密の作戦会議は続いた。


そして最後に「私に顔の火傷を隠す仮面を用意してもらえないかしら?」ずっと魔法使ってるの疲れちゃうから、ね?とルイにお願いをした。




これが、後に仮面姫と呼ばれるきっかけとなる。

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