第6話(僕と彼女の異世界財宝)
小鳥?を救うと言うミッションを完了して、後ろに倒れるように大の字になって寝る焔ちゃん。僕も一緒に振り回されるけど、服と柔らかいものでキチンと固定されているから、飛んでいくこともなく焔ちゃんと一緒に大空を見上げる。
「コケッココ?コケッココ?(終わったの?治ったの?)」
僕達を覗き込むように親鳥がやってきて、再度確認してくる。
「うん、大丈夫。子供さんのお腹にいた何かはキチンと退治出来たから、この後は元気になるはずだよっ!」
少し身体を起こしながら元気に焔ちゃんが答える。親鳥は安心したかのように溜息を一つ吐き出すと、子供の様子を見に去っていく。
「モルル、モルルルモルモルルルルモルモルル。モルモルルモルルルゥル(これで、何とか食べられないで済みそうだ。ありがとう焔ちゃん)」
「うぅん。私一人だったら絶対上手くいかなかった。モルさんがいたお陰だよっ」
焔ちゃんと僕は親鳥が小鳥?を心配そうにあやす様子を見ながら、何とか危機を乗り越えた事を喜び言葉を交し合う。焔ちゃんが撫でてくれる頭と首筋がとても気持ちいい。
「でさ、鳥さん。子供が調子悪くなる2、3日前に変わった物を食べさせなかった?」
「コけコケコケケ?コケケ……コケケケッコケケコケコケココケッケケコケコケケコケコケコケケ(大変なもの?そうね……なんかぐったりしていた水牛を食べさせたかもしれない)」
「多分、その水牛の中にいた寄生虫が原因かもしれないね。今後は気をつけたほうがいいよ」
「コケコケ。コケー、コケコケケコケケケココケケコケコエコケケケケ(なるほど。じゃぁ、これからは元気な獲物を狙うようにするわ)」
焔ちゃんが僕をゆっくり撫でながら、何か親鳥と会話している。親鳥は納得したように頷くと更に鳴き声をあげる。
「コケケコケコケコケケコケケコケコケ。コケコケケコケケケコケケ(あなた達には悪い事をしたわね。お詫びに何処にでも送るわ)」
「本当?!それは助かるー。ここからバイバイじゃ、どうやって町に行ったらいいかわからなかったよー」
「コケ?コケケコッケケコケコケケ?(町?人のいっぱいいる所?)」
「うん。私たちそこに行きたいの。あ、でも行ってもお金ないから……どうしよう……」
「コケケ?コケコケココケケコッケケコケケコケケ。コケケケコケケコッケッケココケケ(お金?キラキラするものだったら幾つかあるわ。御礼に全部持ってっていいわよ)」
親鳥は巣の奥を向くと、僕達に突いてくるようにと首をクイッと動かす。焔ちゃんは元気に跳ね起きると、親鳥の促す奥のほうへ付いて行く。
巣の奥には色々な骨と共に、武器や防具や宝石などが積み上げられていた。
「コケケコケケココケコケコケコケコケケコケケコケケケコッケコケコケコケケ。コケケコケケコケケココケコケケケコッケコッケ(私たちを殺しに来た人間達が身に着けたり持ってたりした物よ。私たちには不要だから好きに持っていって)」
「モルさん。どうしよう?好きに持っていって良いってさ」
「モッモルモルルモルルモルモルル?モルルルルモルルルモルモルモルル(折角だから少し頂いたら?僕達もお金で困りそうだし)」
「そうだね。じゃぁどういうのを貰ったら良いんだろう?私一人だとあまり持てないな」
「モルモルルモルルルモルモルルモルルル、モルルルモルルモルルモモルルル(宝石や指輪や首飾りなんかが、小さいし高く売れると思うよ)」
焔ちゃんは、僕の助言どおりに財宝の中にあった皮袋の中に、宝石や首飾りや指輪といった価値が高くて売りやすいものを選んで入れていく。
僕はそんな中、一本の短剣に目が留まる。月日が立った中でも色褪せずに新品のように輝いていて、装飾も見事だ。柄には何かしらの紋章が刻まれていて、とても由緒正しい短剣のように見える。
「モルルルゥル。モルモルルモルルモルルモルモルルモッルモッル(焔ちゃん。その白と金と銀の短剣も持っていって)」
「え?んーと、これの事かな?」
「モル、モル。モルモルルルルモルルルモッルモルルモル(そう、それ。でも換金はしないでとっておいてね)」
焔ちゃんは、そうやって皮袋に財宝を詰めていき、皮袋が一杯になると小鳥?の様子を見に巣のほうへ戻る。小鳥?の状態は安定しており、少しうつらうつらとしている。
「コケッケコケ。コケコケコケケコケケ(終わったのね。それなら最後にこれを)」
親鳥はうつらうつらしている小鳥の首の後ろに嘴をそっと、入れると一本の羽根を抜いて焔ちゃんに手渡す。その羽根は白い羽根なんだけど、光に当てるとキラキラと七色に光ってとても綺麗だ。
「コケコケケコッケ、コケケコケコケケケケコケケコケコエケコケケコケ。コケケコケコッケコッケコッケコケケケ(その羽根を持って、念じればこの子が貴女の元に飛んでくるわ。私のも取って持っていって頂戴)」
親鳥は頭を項垂れて、首元を焔ちゃんに晒す。焔ちゃんは首筋に手を入れてワサワサと毛をのけると、一本だけ輝く羽根を見つけて抜いた。
「コケケ、コケェコケケコケケコケケケ。ココケケコケケコケケココケケコケココケケケ?(さてと、じゃぁ貴女達を送るわね。ここから一番近い大きい町でいいのね?)」
「うん。お願いできる?」
大きな鳥は連れてこられた時とは全然違い、丁寧に僕達を足で摘むと、数度大きく羽ばたいて、空に舞い上がる。
僕達は、以前と違って食べられる心配のない快適な空の旅へと出発するのだった。