信用というものは血の上に築かれる
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──信用というものは血の上に築かれる
貴族の暗殺は早朝から騒ぎになった。
衛兵たちが殺され、貴族が惨殺されたという事実に精霊帝国が反応したのだ。
デルフィ市の城門は閉ざされて、街の中ではよそ者を狩り出す衛兵たちの動きが始まった。衛兵たちが宿屋や路地を捜索し、行商人や住居不定者が捕まって、衛兵の兵舎に位置する牢獄へと連れ去られて行った。
このことを予期していたので俺はデルフィ市に入ることに協力してくれた行商人を先に出発させておいた。彼は暗殺が行われる1日前にデルフィ市を出ている。今頃は衛兵たちの手の届かない場所にいるだろう。
残るは我々がどうするかだ。
「そちらの要望は果たした。確認できたかな?」
俺はリベラトーレ・ファミリーの拠点であるレストランの2階で、レオナルドに向けてそう告げた。リベラトーレ・ファミリーから賄賂を受け取っているのか、衛兵たちはこの怪し気なレストランを調べようともしない。
「確認した。ちゃんと喉を裂かれて死んでいたな。上出来だ」
俺の言葉にレオナルドが上機嫌にそう告げる。
「我々の身の安全は確保してくれるとのことだったが」
「もちろんだ。今を以てしてお前たちは俺たちの同盟者だ。南部人は仲間を見捨てたりはしない。ちゃんと匿ってやる。騒ぎが収まるのには1週間ほどかかるだろうが、何も心配する必要はないぞ。俺たちに任せておけ」
今はレオナルドに頼るしかない。強引に城門を突破しても、誰かが脱落するだろう。全員が揃って帰還するには、レオナルドという現地住民の支援が必要だ。
「一先ずはこのレストランの中に隠れているといい。ここには衛兵どもは踏み込まない。連中には鼻薬を嗅がせてあるからな。ここにいても食事は毎回運んでやるし、酒でも女でも仕入れてやろう。安心できるか?」
「できればこのままデルフィ市での活動基盤を作りたい。そちらの活動状況について把握したいし、ペネロペたちがやっている活動についても把握したい。その上で、早速だがこちらも協力を始めたいのだが、どうだろうか?」
このままぼんやりと1週間をこのレストランで過ごすのは時間の無駄だ。
デルフィ市には確かな衝撃が与えられた。この衝撃に衛兵たちが、貴族が、精霊帝国がどのように反応するかを把握したい。そして、そこで活動する抵抗運動にそれがどのように影響したかも知っておきたい。
デルフィ市ではこれから弾圧が始まるだろう。貴族たちが自分たちの生命の危機から保身に走り、下層民たちを締め上げて、安全を確保しようとするだろう。それは間違いない。既に城門が封鎖され、よそ者が狩り出されていることからもそれが窺える。
問題はその弾圧が如何ほどの効果を発揮するかだ。
これまでの精霊帝国の治安対策の動きは遅すぎたし、不適切だった。彼らは事件そのものにはまるで対処できず、闇雲に民衆に危害を加えて人心の離反を招いてきた。行動そのものも時機を逸した段階での行動が多く、こちらには都合がいいと言えばよかった。
だが、今回はどうだろうか。
デルフィ市の市内で貴族が殺された。衛兵と家族が殺された。貴族は喉を切り裂かれ、心臓を突かれて殺された。明白な衛兵たちの失態だ。
貴族は衛兵たちの責任を追及するだろうし、衛兵たちはそれに応えなければならない。そして、貴族はもはや都市の内部ですら安全ではないという事実を知って、本格的に行動することを余儀なくされるだろう。
その場合は草の根分け出ても抵抗運動を摘発せよという命令が出される可能性もある。その命令に衛兵がどこまで応えられるかは衛兵の能力次第ではあるが、全くの無能でなければ何かしらの成果を示そうとするだろう。
それがここに抵抗運動にどのような影響を与えるか。
弾圧に対するリアクション。潜伏、反撃、解散、先鋭化。様々なリアクションがあるが、このデルフィ市の抵抗運動はどうするだろうか。
もし、ここでの抵抗運動が途絶えることがあれば、我々のしたことに何の意味もない。ただ、無意味に貴族を刺激しただけで終わる。
だが、彼らが反撃に転じたら。
それを正しい方向に誘導しさえすれば、ついに都市部でのゲリラ戦が始まる。精霊帝国への抵抗運動は都市部にまで拡大し、精霊帝国は少なくとも南部においては危機的な状況に立たされるだろう。絶好の機会だ。
そんな機会にのんびりとはしていられない。行動しなければ。
「分かった、分かった。好きにしろ。ただし、ここに衛兵を入れるようなことはするな。移動には地下下水道を使え。あれはどこにでも繋がっている」
「そうしよう。そこでまず聞いておきたいのだが、このデルフィ市において抵抗運動を組織しているのはあなたたちリベラトーレ・ファミリーとペネロペたちの違法出版組織、その他に誰かいるのか?」
レオナルドが頷きながら告げるのに、俺はそう尋ねた。
「脱走奴隷がペネロペたちに影響されて抵抗運動を組織してる。鉱山にいる奴隷たちやコロシアムで貴族の玩具にされている奴隷たちと接触しながら、この街で貴族たちに立ち向かおうとしている。俺たちも脱走奴隷を逃がすのは仕事のひとつだ」
脱走奴隷か。このデルフィ市における人的リソースとして使えそうだな。
「彼らに接触できるだろうか?」
「奴らは俺たち以上に用心深い。だが、仕事を手伝ってやれば信頼されるだろう」
「仕事と言うと?」
俺の問いに、レオナルドが顔に呆れの表情を浮かべた。
「決まっている。奴隷を脱走させるんだよ」
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コロシアムというものは貴族以外に観客席に立つことはない。
デルフィ市のコロシアムは古代ローマ帝国を彷彿させる広大なものだったが、実際に観客としてそこにいるのは僅かなものだった。
古代ローマ帝国は皇帝が民衆の機嫌を取るためにコロシアムを開いたが、この精霊帝国でその必要はないのだ。皇帝であるモレク・アイン・ティファレトは絶対権力者として15世紀に及ぶ統治を続けており、その彼は魔術師という武力ある貴族を完全な支配下においている。下層民の機嫌など取る必要など感じはしないだろう。
そして、俺もまた観客席には立っていない。
「そちらがドン・リベラトーレの紹介にあった人物か」
コロシアムにおけるある意味での主役──剣闘士の控室に俺とエーデはいた。これから協力関係が見込めるかもしれない人物を前にして。
「八代だ。こちらは聖女エーデルガルト・エイセル」
俺がそう告げる相手は鍛えられた大男だ。
「私は剣闘士のトゥーリオ・タッツォーリ。そして、精霊教会助祭だ。ここで戦う剣闘士たちのために儀式を行っている」
そう、我々はレオナルドの話していた脱走奴隷たちの組織する抵抗運動に接触していた。
目の前いるトゥーリオはその組織の幹部のひとりであり、コロシアムから奴隷を逃がすことに携わっているとのことだった。組織の全容はレオナルドの話では、鉱山奴隷も含めた巨大なものらしいが、ペネロペの話では実際に抵抗運動に参加しているのはその脱走奴隷の中でも僅かということだった。
脱走奴隷たちは脱走に成功するとこのデルフィ市の外に逃げ出し、そのまま帰ってこないという。彼らが無事に再定住の場所を見つけたのか、それともそのままのたれ死んだのかはペネロペたちにも定かではなかった。
俺自身の印象としては脱走奴隷の抵抗運動にはそれなりの潜在能力があるが、組織力という面では不足しているように思われた。人的リソースを街の外に垂れ流しにしているのは、抵抗運動として洗練されていないことの象徴のようだ。
だが、奴隷という立場ならば仕方のないことなのかもしれない。
地球にはもう奴隷はいないと多くの人間が思っているだろう。自分を奴隷的な労働者だと思う人間はいたところで、それは本当の奴隷ではない。日本の労働環境が如何に劣悪なものであったとしても、現実の奴隷と比べればまた救いがある。
発展途上国では未だに人身売買が行われている。女子供が様々な用途のために売り捌かれているのだ。ことに戦渦に飲み込まれた国においてそれは顕著であった。
戦渦に襲われた、あるいは現在進行形で襲われている発展途上国において、人間の権利などあってないようなものだ。両親を失った子供が軍閥やテロリストに売り渡され、そこで極めて劣悪な労働環境において労働を強いられる。
それは危険性を伴う単純労働であったり、使い捨ての兵士としての労働であったり、軍閥の兵士たちを相手にする性奴隷であったりした。
満足な食事もなく、心休まる休息もなく、労働に対する対価が払われることもなく、自分の権利を保障してくれるものもなく、ただただ肉のある機械として使い潰されていく。そんな光景を地球で何度見たことか。
日本は奴隷を国際的に禁止する国連の決議や条約にも加盟していたが、自分たちの同盟者がその決議や条約を守っているかどうかは気にしなかった。
日本情報軍の同盟者である軍閥やテロリストは奴隷を公然と売買していたが、それについて何かしらの行動を移すようにという命令が来たことは一度としてなかった。
それどころか日本情報軍は軍閥に子供兵を集めるための資金を提供しさえした。完全に資金洗浄された上で、使い古された米ドルがトランクに詰められて軍閥の指導者の手に渡され、その金で軍閥の指導者は奴隷市場で子供を買った。純粋な戦闘目的のためのものと、性奴隷としてのものを。
我々にとってそれは日常であった。ナノマシンに良心まで握り潰されたかのように何も感じない日常であった。
遠い日本本土では寛容と慈悲の精神が政治家たちによって叫ばれていたのに、そこから少し離れればそこは非文明の大地であった。かねてからの権力が支配する旧文明社会。すなわち、武力こそが権力であるという社会。
正義の味方がやってきて悪い人間を倒して、虐げられた奴隷たちに自由をもたらしてくれる。そんな都合のいい話はそこには存在しない。時折飛んでくるアメリカ空軍の爆撃機は、遠い空から碌に地上を見ずに爆弾を落としていくだけであり、対立する軍閥はロシアか中国の支援を受けて同じように奴隷を買っており、国連はただただ呆然と目の前のことを眺めているだけのいつも通りの役立たずだった。
正義とは権力であり、権力とは武力である。そんな社会において、御伽噺や一昔前のハリウッド映画のような勧善懲悪を求めることなどできはしまい。
そんな血の上に築かれた平和な日本本土とその混沌とした大地と、どちらが住み心地がよかったかと言われれば、俺は後者を選んでいただろう。
さて、問題は奴隷だ。
奴隷とは前述したような劣悪な環境下での労働によって、肉体的にも、精神的にも疲弊している。彼らの劣悪な環境は抵抗運動の動力源にもなるかもしれないが、それと同時に抵抗運動の組織力を減衰させる可能性もあった。
あまりに虐げられた人間は抵抗する心を失い、言われるがままになってしまうのだ。その様子は奴隷のみならず、カルト宗教などでも見られる。カルト宗教の閉鎖的で、意図的に劣悪にされた環境下では、人は抵抗する心を失い、僅かな希望として示される些細なことで誘導され、教主の思うがままになる。
朝鮮戦争中の中国の捕虜収容所でも、僅かな褒美を求めてアメリカ兵たちが資本主義を批判するスピーチを行った歴史がある。捕虜収容所というのも閉鎖的で、劣悪な環境だ。人はそこで生き延びるためにちょっとした光に手を伸ばす。
ここの奴隷たちはその主である貴族たちから褒美を示されることはまずないだろう。だが、その役割を抵抗運動が担ってしまう可能性はあった。
抵抗運動が示す脱走という希望に奴隷たちは縋りつき、そのまま逃げ去ってしまう。そこに抵抗の意志はなく、ただただ生き延びるのだと信じて逃げるだけ。
それではダメだ。それでは精霊帝国は倒せない。
「精霊教会の助祭ということだが、教義には反しないのか?」
「立場として精霊教会の助祭であるだけだ。あの教義は最初から信じてはいない。ここで戦う奴隷たちを慰めるのにあの教義は何の役にも立ちはしない。だが、人というものは何かを信じなければこの困難を乗り越えられない」
俺が尋ねるのにトゥーリオがそう告げて返す。
「彼らには女神ウラナの名において祝福を与えた。その死後、魂が安らぐようにと。このような世界に生まれたのだから、死後報われることを祈ってもいいではないか」
トゥーリオは聖職者に相応しい慈悲に満ちた瞳でそう告げた。
「なるほど。それならば問題はない。だが、この世界に生まれたことを悔やむだけでは何も生まれない。それに抵抗しなければこれから先も不幸な人間が生まれ続けるだけだ」
抵抗をしてもらわなければ精霊帝国は壊れない。
「分かっている。だからこそ、我々は抵抗運動を組織したのだ。奴隷たちに自由を与え、その奴隷に頼っていた精霊帝国に打撃を与える。中には脱走した後もこのデルフィ市に留まって、我々の活動を支援してくれるものたちもいる」
「その数が少なすぎるのではないか。奴隷を逃がしてやっても、彼らがその後平穏に暮らしていけるという保証はどこにもない。山林に潜んだところで、まともな技術と道具がなければ野垂れ死に、獣の餌となるだけだ」
俺の反論にトゥーリオが黙り込む。
「奴隷たちを解放するだけで満足しているならば、改めた方がいい。それは精霊帝国の存続を脅かすものでもなければ、奴隷たちに自由を与えているものでもない。ただの自己満足だ。本当に抵抗する意志があるならば確たる行動を起こさなければ」
俺はそう告げてトゥーリオを見つめる。
「それにはそれなり以上の犠牲が出るのではないか? 奴隷として虐げられた彼らにさらなる苦難を課すことが正しいことだとは思えない。たとえ自己満足であったとしても、解放された奴隷たちの表情を見れば、彼らに戦えとは言えないだろう」
「戦わなければ同じ犠牲が出る。それとも誰かに本当に自由にしてもらうのを待ち続けるつもりか?リベラトーレ・ファミリーが解放してくれるのか?彼らはビジネスマンだ。自分たちの組織の利益になる範囲でしか行動しない。彼らに解放者としての役割を期待しているならば、それは期待するだけ無駄だ」
リベラトーレ・ファミリーが脱走奴隷に手を貸していることは知っている。彼らが脱走させた奴隷に積み荷を運ばせ、それで密輸を行っているということも。彼らは純粋な好意と慈愛から行動しているわけではないのだ。
そのままリベラトーレ・ファミリーの運び屋になる脱走奴隷もいれば、積み荷を渡して消えてしまう奴隷もいる。人的リソースを浪費している。
「……アッシジ市を襲ったのはあなた方なのか?」
そこでトゥーリオがふいにそう尋ねた。
「ああ。南部国民戦線がアッシジ市を襲撃し、聖女エーデを解放した。そのことはペネロペの機関紙で知ったのだろう。ならば、書いてある通りのことが起きたということを伝えておこう。我々は戦い、そして勝利した」
「勝利してはいないだろう。アッシジ市は解放されなかった。あの後にアッシジ市から奴隷たちが送られてきた。抵抗運動に協力したということで」
俺の言葉にトゥーリオは首を横に振った。
「だが、あなた方に力があることは認めよう。あなた方が一時的にとはいえ、貴族に支配されたアッシジ市を解放し、多くの民衆たちに希望を与えた。そして、何よりも聖女をアッシジ大聖堂から解放した」
そう告げてトゥーリオはエーデを見る。
そこに情欲の色はない。彼は崇拝の視線でエーデを見ている。この剣闘士の控室にいる多くの剣闘士たちが異性を見る目でエーデを見つめているのとは対照的に。
「彼女は目が見えないのか?」
「見えていない。だが、彼女は我々より優れた目を持っている。下層民のメイドを無理やり暴行し、殺害した卑劣漢リーヌス・フォン・ロッソウの首を引き裂き、心臓にナイフを突き立てたのは彼女だ」
相手が女神ウラナの信仰を心の拠りどころにしているならば、エーデの存在は無視できないはずだ。この手のイデオロギーで取引をするのはあまり確実ではないため好きではないが、現状我々が彼らに提示できる取引材料はエーデしかない。
奴隷に金銭を渡しても無意味だし、既に犯罪者と同等の扱いを受けている奴隷に女性たちを斡旋してもそれはスキャンダルにならないし、身の危険から保護するということは彼らを脱出させることだけだ。
どれも交渉材料にはなりはしない。今はイデオロギーを使って、共感を得ることぐらいしか他に方法はない。
「それは神の奇跡なのだろうか」
「神の奇跡なのだろう。他に説明のしようもない」
エーデは奇跡を示した。血塗れの奇跡を。
「聖女よ。あなたは女神ウラナから神託を受けたと聞きました。女神ウラナはあなたに何と告げられたのですか。女神ウラナは我々にどうするべきだと告げられたのですか」
トゥーリオはエーデに崇拝の眼差しを向けたままそう尋ねる。
「女神ウラナはおっしゃいました。精霊帝国を破壊せよと。精霊帝国は世界にとっての敵であり、絶対に滅ぼさなければならないのであると。万物破壊の聖剣を手にし、女神ウラナの遣わされる勇者とともに戦うのだとおっしゃいました」
エーデは小さく微笑みながらそう告げる。
「女神ウラナは精霊帝国の破壊を望んでおられるのですね」
エーデの言葉にトゥーリオが頷く。
「では、協力をしましょう。ただし、条件がある」
さて、何をしろと言うのだろうか。
「奴隷の脱走を手伝ってもらいたい。その目で聖女エーデルガルトの奇跡を見たい。そうすれば我々はあなた方を信頼し、その活動に協力するとする。聖女が奴隷たちを解放する姿を皆が見れば、奴隷たちもただこの場から逃げだす以外にも自分たちに希望はあるのだと理解してくれるだろう」
レオナルドから聞いていた通りになった。
奴隷を脱走させる。そのことによって信頼を獲得する。元々は犯罪組織であったレオナルドのリベラトーレ・ファミリーとこのトゥーリオの奴隷たちの抵抗運動が結託した根底にも、レオナルドたちが奴隷の脱走を手伝っていたことによる。
そして、今回はエーデの存在がある。
奴隷たちは脱走できると知れば、そのまま脱走し、またデルフィ市の外に消えるだろう。そして、そのままどこかで野垂れ死ぬか、また奴隷になるか。それでは意味がない。
だが、エーデの存在があれば。聖女の存在があれば。彼女が抵抗を奴隷たちに呼びかければ。状況は幾分か変わるだろう。
奴隷たちは希望を求めている。今は脱走することだけが希望だが、エーデが別の希望を示す。すなわち、聖女の名の下に精霊帝国を打倒し、奴隷たちが真の自由を取り戻すという新しい希望を示すのだ。
奴隷たちがトゥーリオの思うように信心深く、死後の生を信じているならば、聖女の存在は大きなものとなるだろう。聖女という神の遣わした存在に従い、そのために犠牲になるならば、その魂の安らぎは約束されたと誰もが思うだろうが故に。
実際はその魂は地球のある世界に送られ、そこで何事かに使われるとしても。
「分かった。協力しよう。それで君たちが満足するならば」
俺はそう告げて、手ごたえを感じていた。
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