1話 ここはどこ
午後にもう一話投稿します。
当分のストックがありますので毎日2話投稿します。
唇がザラザラする。
なんか土の味がする、それと匂いも土臭い。
ゆっくり目を開ける。何で地面とキスしてるんだ。
え! 俺外で寝たのか?
うつ伏せだった体を動かして、手で口に付いた土を落とす。
まだ頭がボーとする。意識がハッキリしないが少しずつ頭の中で整理していく、確か仕事で取引先に向かうために...... そうだよ。品川に向かうため横浜駅のホームで電車を待っていたんだよ。それなのに何で寝てたんだ。
とにかく整理使用、俺の名前は斉藤 一で年は35歳で、家族は両親が他界していて弟がいる。愛する奥さんはいない彼女がいたことがないからな! 普通の顔だよ体系も中肉中背で真面目だけが取り柄で休みの日は漫画を読んだりゲームをしたりしている、だから出会いがないんだけどな。
会社は中小規模で勤続12年の営業職で働いていて主任を任されている、ちなみに午後18時以降の残業代は出ないブラック会社だよ。ちくしょう残業代ぐらいだせよ、だから人の出入りが激しいんだ。
頭の中で色々思い出して整理していく少し余裕がでたので周りを確認する、木だ......大きい木があり周りは木や花等の植物が生えていて地面は土だ落ち葉もある、当然アスファルトではない。上を見ると木で隠れていて太陽は確認できない明るいから夜ではない。
土を払いながら体を起こして少し遠くの方を視線を向けると人が倒れていた背格好や服装を見ると女性だ。冷静に周りを確認すると倒れている女性だけではなく他にも男性が倒れている。俺だけじゃないぞと思い一番距離が近い女性に近づいて起こそうとしたら周りから声が聞こえ来た。
「ここどこだよ!」
「お母さんどこにいるのお父さんお母さんがいないよ」
「うぇぇぇぇぇぇん!」
「何で家で寝てたのに森にいるんだよ」
「警察に警察に電話だ」
怒鳴り声や泣き声が聞こえてきた、俺は仰向けで倒れている女性の肩を揺らして起こした。手で目を擦りながら上半身を起こして俺を見てビックリした表情になる。
「......えっ......誰ですかあなた!」
「待って叫ぶ前に説明をさせてくれ」
女性はキョロキョロと周りを確認をする。俺は状況の説明をする。
「まぁ。君が倒れていたから起こした只それだけだよ信じてくれ」
「え......えっとそのありがとうございます。」
少し疑いながらお礼をしてきた。
少し離れている男性がみんなに聞こえるように声を掛けてきた。声が聞こえる方を振り向くと集まる用に聞こえる。移動しようと思い体を動かすがその前に女性に手を差し伸べる。
「立てますか、あちらに移動しましょう」
「あ! はい大丈夫です」
手を握って立たせて上げた。
「私、宮川です。」
女性を見ると20代前半で可愛らしい女性だ。
「斉藤です。とりあえずみんなが集まってる所に向かいましょう」
女性と一緒に歩き出した。
みんなが集まっている所を見ると10歳未満の子供から70歳ぐらいのお年寄りがいる。家族連れの人達や片親がいない者やスーツを着たもの学生服を着たもの作業服の人もいる。40人前後の人達が20歳ぐらいの青年と話しをしていた。
「みなさんまずは情報の交換しましょう。何でもいいので教えてください。」
50歳ぐらいのビール腹の男性が言う。
「情報と言っても何も分からないよ。事務所で仕事していたはずなんだ」
坊主頭の男子学生が手を挙げて言う。
「僕は彼女と渋谷でデートしてたんだ、ここに彼女がいないんだ。誰か知りませんか」
周りの人達が次々と話し始める。
「私は原宿にいた。」
「えっ 俺は川崎だよ。」
「ついさっきまで茅ヶ崎で建築工事をやっていた。どういことなんだ」
20歳ぐらいで金髪で鼻ピアスをした男性が声を掛ける。
「テレビ番組の収録なんかだろ。どこかにカメラがあるんだろ」
周りが騒ぎ出す。
眼鏡を付けたキツイ眼つきの30歳ぐらい女性が言う。
「カメラなんかどうでもいいわよ。それよりもここはどこなの大事な取引先と打ち合わせがあるのに連絡使用にも携帯は圏外だしどうしたらいいのよ」
最初に話しをした青年が話し始める。
「場所もバラバラで誘拐、いや拉致になるのか何も分からないですね。とにかく携帯が通じる所まで移動しましょう。その後に警察に連絡しましょう。それと自己紹介がまだでした自分は前川と言います、よろしくお願いします。」
各自で自己紹介している。
「斉藤です。よろしくお願いいたします。」
眼鏡を付けたキツイ眼つきの30歳ぐらい女性が。
「私は飯島です。こちらこそよろしくお願いします。」
金髪で鼻ピアスをした男性が威張りながらみんなに聞こえる用に声を上げた。
「俺は村上だ、さっさとこんな辛気臭い森を出るぞ付いてこい」
村上が前を歩きその後ろをみんなで歩き出した。その先が終わりの道だと知らずに。
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森を歩きながら右腕に付いている時計を確認すると3時間程歩いたことになるが森の先が全然見えない迷い込んでしまったようだ。子供の泣き声が聞こえもう疲れたと言う。子供だけじゃなく年配の人も歩けないと誰かが文句を言いだした。それを聞いた村上が怒鳴り散らしていた。
「みなさん向こうに空けた場所があって湧き水が出る場所がありましたそこで一度休憩しましょう」
前川が声を掛けてきた。みんなが喜びの歓声を上げて歩き出す。
休憩場所にたどり着いて、座って休憩している者や湧き水を飲みに行っている者と別れいた。地面に座って休憩していると宮川から話し掛けてきた。
「斉藤さんお疲れ様です。この森からいつ抜けられるんでしょうかね」
「宮川さんもお疲れ様。正直分からないよこの森の出口は全然ゴールが見えない」
「そうですよね。なんか疲れましたよ」
思い出した用に話し掛ける。
「そういえば村上にひつこく話し掛けられていたね」
宮川がうんざりした表情になり、ため息をしていた。
「はぁ......本当に嫌何度も断っているのに話し掛けてきて俺が守ってやるとか本当にウザイです」
苦笑いしたお互いに。
湧き水の場所を見ると人が空いてきたので宮川と向かうことにした。宮川が先に湧き水を飲みに行く。何かないか見ていると泥濘があるところに動物の足跡が有った。しゃがんで足跡を確認すると、後から宮川の声が聞こえてきた。
「どうしたんですか?
」
足跡を指さして伝えた。
「ここに動物の足跡があるんだ」
宮川が足跡を見る。
「本当だ足跡ありますね。それにして大きくないですか?」
「やっぱり大きいよな。動物の足跡何て見たことないけどこれは大きいよな」
宮川が頷き同意した。
「私みなさんを呼んできます。斉藤さんは湧き水を飲んで来てください」
宮川がみんなを呼び行き、俺は湧き水の方に歩き出した。
水分休憩が終わり足跡があった場所に戻ると、みんなが足跡を見ながら相談していた。村上が宮川に俺が守ってやるとか、そんな動物は俺がぶっ飛ばしてやると胸を張って話していた。
動物の事を考えていると、大きな声が聞こえてきた。上を空を見ろと怒鳴り始めた、全員が空を見上げた。そこにはどうみても月ではない星があんなに近くに3個ある、ここはどこなんだ。呆然としていると周りが騒ぎ出し声を上げてきた。
「ここは日本じゃないのか」
「馬鹿野郎、地球でもないわ」
「宇宙人に攫われたのか」
みんな空を見ながら叫ぶ者や泣く者、笑っている者がいる。みんなが呆然と気力を失っている時に後ろから女性の叫び声が聞こえてきた。
後ろを振り向くと大きな大きな動物がいた、それは熊に似ていて体長は4メートルから5メートルぐらいの大きさで額に大きな剣のような角が生えていた。熊の右前足を見るとビール腹の男性の背中を大きな爪を刺し抑えていた。周りを見るように顔を動かし俺たちを確認するかのうに見て、大きな口を開けて腹の底から力強く叫んだ。それが終わりの始まりだった。