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その暗殺者、月夜を往く  作者: 混ぜるな危険
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フェイトの〈運命〉

書いてることは前回と変わらないです(ネタばれ)

「さて・・これからどうしたものかな」

 俺の名前は『フェイト』

といっても、これは偽名である。まあ、本名は使わな過ぎて最早忘れた。だからこの名前が本名みたいなものである。


 俺はとある盗賊団で産まれた。といっても、快楽目的の行為であって別に子供が欲しかったわけではなかったらしい。まあ、避妊もせずにそんなことすればいつかは子供ができるだろう。


 そんなわけで産まれた俺は、それなりに良い待遇で育てられた。幸い貯蓄は多かったし、何より初めての事だったので珠のように扱われた。環境が環境なので、自分には兄弟が多くいたような感覚だった。常に傍に誰かいたし、暇になっても遊び相手には事欠かなかった。


 そんな風に育てられた俺だが、7歳になるころ、俺は盗賊の技能を習得し始めた。といっても、大人から教えられたり、自分から教わりにいったわけではなかった。

ただ、大人の真似をしていたらいつの間にか技能として覚えていただけだ。


 ある程度経験を積むと、今まで決まっていなかった俺のジョブが『盗賊』になっていた。

 大人たちは喜んだ。ジョブを得たということは、そのことに関しては一人前ということだ。単純に人手として使えるし、何より初めての子育てをうまくやれたという満足感に浸っていた。


 それからは、俺は盗賊団の一員として活動し始めた。この世界は魔王によって支配されているが、そのおかげで金を持っている奴ははっきりとわかる。俺たちは宝をため込んだ貴族や役人どもからそれらをちょろまかし、アジトにため込み少しずつ換金していった。


 そんなある日、こんな噂を耳にした。

「国王が魔王討伐の為に勇者を召喚したらしい」

それを聞いた俺は、心底どうでもいいと思った。

たとえ魔王がいなくなろうと人間のパワーバランスはそう変わらない、そう思っていたからだ。

それにもともと俺たちの生活は魔王や魔物たちとは一切関わりのないものだった。

確かに、襲いかかってきた魔物を狩るくらいはしてきた。しかし、魔物を殺した数よりも、人間を殺した数のほうが圧倒的に多かった。


 それから一年半経過した。そのころ俺は15,6くらいだったと思う。

殺しても特に減る様子は見えなかった魔物たちが徐々に数を減らしてきていたのだ。

勇者たちが魔王を討伐した、という情報を耳にするまでそう時間はかからなかった。


 そんな風に世の中が変わっても俺たちの生活は変わらない。

金を持ってそうなやつを襲い。屋敷に忍び込み。俺たちは確実に金と勢力を増やしていった。


 それから1年後。――事件が起きた。

この間に、魔王を倒した勇者たちは国を三分割し、それぞれに領土を持ち、国を治め始めた。仕事が終わったなら自分の国へ帰ればいいのに。

俺たちのアジトがあるところを治めていたやつが軍隊を派遣しやがった。

誰が場所を漏らしたかは分からない。とにかく皆必死だった。そりゃそうだ。抵抗しなければ殺される。誰だって必死になる。


 だが、結果は俺たちの負けだった。盗賊団はほぼ全滅。事実上組織は壊滅し、表立って活動はできなくなった。生き残った者は俺含めて4人。命からがら軍から逃げてきた。

 俺は逃げた。両親も。兄弟同然の仲間たちも。皆見捨てて逃げてきた。

いや、正確には『逃がされた』というべきだろうか。あいつらからはそんな明確な『意思』を感じた。だから俺はこうしてここにいる。


 追跡が来ないことを確認すると、俺たちは分かれて散り散りになった。幸い、金には困らなかった。手持ちで宝石をいくらか持っていたことが正解だった。



 俺は一人で野盗生活を送っていた。今更表舞台に出る気はないし、こんな世の中じゃ『冒険者』なんて役割は存在しない。所詮、裏の人間は裏でしか生きられないのだから。

 17になるころ、俺の『盗賊』レベルが最大になった。この世界では、下級ジョブのレベルが最大になると、上級職になることができる。盗賊からの派生は『ローグ』か『暗殺者』だった。


「ここが運命の分かれ目ってわけか・・」


 俺は迷わず『暗殺者』への道を選択した。

「俺は・・勇者とやらを許さない。いや、許す許さないじゃないか。ただただ憎い。だから俺は。」


勇者をこの手でブチ殺す――


そう決意した。




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