おっさんは、転生する。
よくあるパターンです。
「……」
遠くで声が聞こえる。
「………さ……………さ」
よく聞こえないが、焦っているような必死な雰囲気だ。
笹団子は、好きだぞ。
「…しゃ…………か……………い。」
よくわからないが、呼ばれてる気がする。
…気のせいだろう。
俺みたいな糞野郎を呼ぶやつなんていない。
ちなみに、学生時代は暗記が苦手で社会の点数は良くなかった。
「……さま……どうか……い……くいく……」
……いや、声が徐々にはっきりと聞こえてくる。
しかも、俺に語りかけているように聞こえる。
どうでもいいが、行くなら早く行け。
あぁ、新刊買いそびれたなぁ。
「勇者様、……うかこの……をお救いくだ……」
確実に呼ばれている気がする。
俺は、勇者じゃないけどな。
まぁ、子供を救ったって言う点では勇者かもしれないなぁと苦笑いをしてしまう。
「……………ォオオオ!!」
それにしても、だんだん騒がしくなってきたなぁ。
語りかける声が聞こえなくなってきた。
そういえば、運動会とかの時期だっけ?!
若いっていいなぁ………。
「ウォオオオォオォォォオオオ!!」
あぁ、周りがうるさい!!
めっちゃ近くから声が聞こえてくる。
心なしか声の振動が体を揺さぶってくる。
まだ、眠い寝させてくれ!!
俺は、まだ眠いんだ………。
あれっ?
なにか忘れてることがあるような、無いような??
んんっ?!
そういえば、俺って車に…。
「アアッ!!!」
思いっきり上半身起こし体を確認する。
しかし、夜なのか辺りは暗く明かりは僅かなので目視はできない。仕方がないので立ち上がり体を捻ったりジャンプしたり腕を回したり。
あれだけの衝撃を受けたのに、体はどこも痛くない。
お約束で自分の両頬をひっぱたく。
………滅茶苦茶痛い。
やらなければ良かった。
あの世でも痛みは感じるのかぁと呑気に考えていた中、突然胸に強い衝撃が受け無様にも尻餅をついてしまった。
暗くて良くはわからないが、柑橘系の甘酸っぱい香りと柔らかい感触と体温で女性だと判断しドギマギしてしまう。
暫くぶりの感触だ。
悪くない…だが、調子に乗って抱き締めたりはしないぞ。
迂闊な行動は後々面倒なことになる。
まずは、状況確認をしないと。
言葉が通じるか分からないが胸のなかにいる女性?に声をかけた。
「えっと、ここは「この国を救ってください!!」」
私の第一声は遮られ、凛とした声が部屋にこだまするのだった。
呼んで頂きありがとうございます‼
土日に投稿していきます。
宜しくお願いします。