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ー旅立ちの章89- こっしろーくんが役立ってくれているんやで?

「クンクンッ!これはワラビの匂いでッチュウ!前方20メートル、2時の方向でッチュウ!」


「うおおお。こっしろーくん、すごいっしー!役立たずかと想っていたのに、食べれる野草がどんどん集まるっしー!」


「これは食費が浮くんやで!こっしろーくん、どんどん教えてくれやで!」


「ふぬぬぬう。はっ!前方10時の方向に、つくしの匂いがするでッチュウ!これは大軍でッチュウ!」


 わいと千歳ちとせちゃんが、こっしろーくんの鼻の良さが何かに使えないかと、試しに食べれる野草の匂いを嗅いでもらったわけやで?そしたら、お宝ざくざくや!わい、こっしろーくんとお友達になれて、ほんまに良かったんやで?


「お前ら、何を寄り道しているッスか。前田家の屋敷に到着するのが遅れるッスよ」


「すまへんのやで?こっしろーくんが想ってのほか、高性能なのが悪いんやで?こっしろーくん、次はできたら、ゼンマイを視つけてほしいんやで?」


「ゼンマイでッチュウか。ちょっと待ってほしいでッチュウ。ふぬぬぬう!」


 わいと千歳ちとせちゃんは肩下げカバンがパンパンになるくらいに、野草を集めたんやで?


「ふう。これで1週間は食費に困ることがないんやで?こっしろーくんは鳩のまるちゃんより有能なんやで?」


「そんなに褒めないでほしいでッチュウ。代わりと言ってはなんでッチュウけど、ご褒美に天かすを食べさせてほしいでッチュウ」


「こっしろーくんは、燃費が良いっしーね?長屋に帰る前に、天かすを天麩羅てんぷら屋でもらってくるっしー」


「ありがたき幸せでッチュウ。天かすは、ぼくのソウルフードでッチュウ」


「でも、脂が多いもんばっかり食べたらダメなんやで?ちゃんと、あわひえも食べるんやで?」


「ソバも良いっしーよ?こっしろーくん、天かすばかりじゃ太ってしまうっしー。栄養のバランスはちゃんと取るっしーよ?」


「わかったでッチュウ。あわ1、ひえ1、ソバ1、天かす7でバランスを取るでッチュウ!」


 あかんわ。ねずみのこっしろーくんはぶくぶぐに太って、長寿さまくんに丸飲みされる未来しか視えないんやで?


「おう。よんたん。千歳ちとせさん。そろそろ、前田家の屋敷に着くんだぜ。お待たせしたんだぜ」


 おっ。やっとかいな。結構、歩いたもんやで。5キロメートルくらいかいな?しっかし、慶次けいじくんはこの5キロメートルを12歳の女性といえども、よくもまあ、背負って運ぶもんやで。慶次けいじくんの体力には感心するもんやで?


「ひっさしぶりに前田家の屋敷に来たッスねえ。松。ゆっくり体調を戻すッスよ?」


「あれ?利家としいえくんは中に入らないっしー?」


千歳ちとせさん。俺は信長さまから勘当を言い渡された身ッス。俺が本家の門をくぐれば、問題に発展するッス」


「そうかっしー。じゃあ、利家としいえくん、僕たちは中に入っておくっしー。寂しくないように、こっしろーくんを側に置いておくっしー?」


「要らないッス。どうせ、俺は、こっしろーとは会話ができないッスからね。とっとと、松を屋敷の中に運んでほしいッス」


「おう。じゃあ、松さんのことは任せてくれなんだぜ。親父にはたっぷり栄養のあるモノを食べさせておくようにって言っておくんだぜ」


「頼んだッスよ。じゃあ、俺はその辺の日なたで、ひと眠りさせてもらうッス」


 利家としいえくんがそう言うと、日当たりの良さそうな丘の上でごろりと転がって眠りだしたんやで?これでひと雨きたら、最悪やろうな?


 わいらは利家としいえくんを置いて、前田家の門をくぐるんやで?ありゃ?今、想ったけど、あんまり大きい屋敷ではないんやなあ?前田家当主が住んでいるから、もっと、豪勢な屋敷やと期待したんやけどなあ。


 これじゃあ、どこぞの豪族の屋敷と大きさは変わりまへんなあ?ってことは、前田家は元々、豪族の出なんかな?


慶次けいじくん。前田家って、この辺の豪族なんかいな?」


「うん?まあ、その認識で間違ってないんだぜ?俺は養子だから、前田家の歴史については、それほど詳しくはないが、三河に割と近いせいで、いくさでは織田信秀さまの代からよく助力させてもらっているらしいんだぜ?」


 そうかあ。なかなかに厳しい場所に前田家の領地があるんやなあ。


「松さんの親父は、今川家との戦いで松さんが幼い時に亡くなってしまったんだぜ。それで、叔父貴おじきとは兄妹のように接してきたんだぜ」


「ふーーーん。血の繋がらない妹と結婚したってことかいな。なんや?利家としいえくんは、人生の勝ち組すぎるんじゃないんかいな?12歳の少女で、さらに血の繋がらない妹で、極めつけに幼馴染との結婚やで!?ただしイケメンに限るでも許されることと、許されないことがあるんやで!?」


よんさま。いい加減にしておかないと、蹴っ飛ばすっしーよ?松さんまで、よんさまを睨みつけているっしーよ?」


「す、すまんやで!?つい、男としてうらやましすぎると想っただけなんや!後生やで!タイキックはやめてくれやで!」


 ばっちこおおおん!


 あいたあああああああ!なんで、慶次けいじくんが、わいの尻に蹴りを入れとるんやあああ!

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