ー旅立ちの章88- 移動を開始するんやで?
「言いたいことだけ言ってやったという感じだったポッポー。四よ。これからどうする気なんだポッポー?」
鳩のまるちゃんが、わいの頭に乗って、そう聞いてくるんやで?
「とりあえず、向こうの出方を待つとするんやで?あまりにしつこく嫌がらせをしてくるようやったら、わいと慶次くんで、ぼっこぼこにしてやるんやで?」
「俺様としては、すぐにでも追いかけて、ぼっこぼこにしてやりたいところだぜ。しっかし、ここでやりあうわけにもいかないところが歯がゆいところだぜ」
「慶次、すまないッスね。俺と松のためにも、今は抑えておいてほしいッス。それよりも、念のため、松の体調不良が治るまで、前田家に匿ってもらうッス。慶次、松を運ぶのを手伝ってほしいッス」
慶次くんがわかったんだぜ!と言って、ボロ小屋のほうに戻って行くんやで?わいと千歳ちゃんは念のため、教祖様くんが、気が変わって、何か仕掛けてこないかの見張りなんやで?
「教祖様くん。なんだか、嫌な感じだったっしー。僕をまるで舐めるように視ていたっしー」
「千歳ちゃんは可愛いからしょうがないんやで?わいも千歳ちゃんを舐めるように視てしまうさかいな?」
「四さまのは嫌らしい意味での舐め回して視るだっしー。でも、教祖様くんのは違う意味での舐め回して視てくる感じだったっしー。まるで、品定めでもしている感じを受けたっしー」
「品定めかいな。そりゃ、変なな視線やなあ?なんや?教祖様くんは千歳ちゃんと顔見知りとかそんなんかいな?」
「わからないっしー。そもそも顔を白い布で隠していたから、知人かどうかも確認できなかったっしー。でも、教祖様くんの声をどこかで聞いた気がするんだっしー。布越しだったから、もしかすると気のせいなのかもしれないっしーけど」
千歳ちゃんの知り合いである可能性がわずかにあるっていうんかいな?なんか、ひっかかるんやで?そもそも、わいへの復讐のためだけに、教祖様くんがわざわざ出張ってきたって言うのもおかしな話やしな?
「ちょっと、まるちゃん。頼まれてくれませんかいな?あいつらを上空から追って、那古野支部とやらの場所を突き止めてほしいんやで?」
「ポッポー。拙者の仕事がやってきたというわけだポッポー。任せておけだポッポー。夕暮れまでには戻るんだポッポー」
「戻るなら長屋のほうに来てくれやで?松くんを前田家の屋敷に運んだら、わいらも、長屋に帰るさかい。慶次くんと一緒に行動したほうが、わいとしても安全なはずやさかいな?」
「ポッポー。了承したのだポッポー。では、拙者は行ってくるんだポッポー」
まるちゃんがわいの頭から飛び立っていったんやで?ほんま、羽ばたきながら、ウンコをわいの頭に乗せていきやがったで!帰ってきたら、羽を毟ってやるからな?おぼえときいや?
「おう。四たん。お待たせだぜ。じゃあ、さっそく、前田家の屋敷に行こうだぜ。四たんはこれから危険になるから、武器を貸してやるんだぜ」
「おっ。ほんまかいな?これは嬉しい申し出やで?千歳ちゃんも、護衛用に何か懐剣あたりでも、もらっておこうかいな?」
「わかったっしー。でも、僕、一応、弓矢も使えるっしーよ?」
「長屋に押し寄せられたんじゃ、弓矢なんか役に立たないんやで?それよりも、懐剣でも握っていたほうが、相手としても、うかつに近寄れんもんや」
「わかったっしー。じゃあ、懐剣だけじゃなくて、薙刀も借りるっしー。薙刀なら長屋の中でも振り回せるっしー!」
なんか、千歳ちゃんが薙刀を振り回して、わいの尻をその刃でえぐりそうな気がするんやで?まあ、尻がえぐられたら、河童くんの妙薬でも塗りましょうかいな。ここでいらんこと言って、千歳ちゃんにぶーぶー文句言われたら、たまったもんやないしな?
「ほな。慶次くん。案内頼むんやで?」
「よっし。じゃあ、叔父貴。四たん、千歳さん。ついてくるんだぜ!」
「ケケッ。おいらたちはどうしたら良いんだケケッ?」
ああ、河童くんと長寿さまくんのことをすっかり忘れていたんやで?
「河童くんと長寿さまくんは長屋の方に先に戻っていてほしいんやで?怪しい奴が長屋に入ってきたら、ぼっこぼこにしておいて良いんやで?」
「ぼくはどうしたら良いんでッチュウ?長寿さまと一緒だと、食べられそうでッチュウよ?」
ねずみのこっしろーくんが、わいの腹ちかくのポケットから顔を覗かせて言うんやで?
「こっしろーくんは、わいと一緒に前田家の屋敷に行くんやで?こっしろーくんは鼻が利くさかいな?【神の家】の連中の匂いがしたら、わいらに報告頼んまっせ?」
「わかったでッチュウ!ぼくの鼻は50メートル先の天かすの匂いでも嗅ぎ分けることができるでッチュウ!任せてほしいんでッチュウ!」
なんか、無駄に高性能なねずみのこっしろーくんやな?しかし、50メートル圏内に敵がやってきてもわかるってのはでかいんやで?こっしろーくん、頼んだやで?




