ー旅立ちの章87- 教祖様くんは悪いやっちゃやで!
「な、なんや!?なんで、わいと利家くんは別件扱いなんや!?わ、わ、わいと一戦交えようというんかいな!」
「いやいや。今日は宣戦布告まででしゅ。お前には過去に尾張支部を潰された恨みがあるのでしゅ。利家殿とのことは悲しい行き違いであったでしゅが、お前とは因縁浅からぬ仲でしゅ!」
「おお。四たん。【神の家】の教祖様から直々に宣戦布告されるたあ、さすがだぜ!よっし、俺様、四たん側に付くんだぜ!」
「慶次くん、ありがとうやで?ほな、目の前の奴らを皆殺しにしてくれやで!」
「ま、待つでしゅ!今日はあくまでも宣戦布告まででしゅ!争いは何も生まないでしゅ!」
なんや、今日は宣戦布告までかいな。そりゃ、おもろないんやで?
「四さま。ここで仕掛けたら、まずいでっしー。ボロ小屋の中には病気の松くんが居るでっしー。巻き込まれたら大変でっしー」
「せやなあ。利家くんと松くんはさっきの話し合いで無関係になってしもうたもんなあ?利家くんに免じて、今日は見逃してやるんやで?」
「くっ!言わせておけばなのでしゅ。しかし、今日から四十郎。お前がおちおち、嫁さんと夜にイチャイチャできないように邪魔をしてやるでしゅ!」
「それは困るんやで?夜は勘弁してほしいとこやで?できるなら、昼ごはんが終わったあとくらいにしてほしいんやで?あと、今、左手の小指が折れているから、完治してから襲ってきてほしいんやで?」
「ほう。それは良いことを聞いたのでしゅ。道端でばったり出くわしたら、それとなく、お前の左手にドンッとぶつかる感じで歩くのでしゅ」
しまったんやで!そないなことされたら、わいの左手の小指の完治が遅れてしまうんやで!?
「そんなせせこましい復讐なんかせずに、正面から殴り込みにきてほしいとこだぜ。俺様なら、10人は軽くさばけるから、そちらとしては30人ほど準備してほしいとこなんだぜ?」
さすが慶次くんは頼りになりまんなあ?
「ふんっ。誰が、こんな大男とまともにやりあうでしゅか!しかし、四十郎。お前には塗炭の苦しみを味わらせてやるでしゅ。ただし、許してほしいなら、今のうちでしゅ」
「許してほしいやて?何をへそで茶をわかすようなことを言っておるんや。どうせ、許す気なんて、これっぽちもないんちゃいますの?」
「いやいや。ぼくちんたちは暴力は好まないのでしゅ。和解金を支払ってもらえれば、それで、こちらとしては手を引いてやるでしゅよ?」
「和解金やと?ちなみにいくらなんや?聞くだけ聞いてやりまっせ?」
「1000貫(=1億円)で許してやるでしゅ。それで、今後、一切、ぼくちんたち【神の家】は、四十郎とその家族には手を出さないでしゅよ?」
ちっ。家族には手を出さないでやんすか。こいつら、わいの千歳ちゃんをどうにかする気まんまんってことかいな!
「わいの家族を人質にとるってことかいな。さすがに汚い連中やで。それに一介の兵士の身分のもんがどうやって1000貫なんて金出せるんや?最初から許す気なんて、これっぽちもないやんけ!」
「おやおや。ぼくちんとしては、随分、値引きさせてもらったつもりなのでしゅがね?払えないのでしゅか。そうでしゅか、そうでしゅか」
「四。俺も加勢してやるッスか?こいつ、ふざけたことを言い過ぎで、いい加減、俺も我慢できなくなってきたッス」
「ダメやで?利家くんには松くんと言う家族がいるんやで?利家くんは、こいつらと縁が切れたんや。松くんを守るためにも、わいのことは放っておいてくれやで?」
「そうッスか。すまないッスね。おい、慶次。四のことは頼んだッス。俺がこいつらに手を出せば、松に被害が及ぶッス」
「わかったんだぜ。叔父貴。おい、教祖様よ!俺様と叔父貴は無関係だから、俺様が四たんに加勢しても構わないんだよな?」
「それは構わないでしゅよ?でも、好き好んで、他人さまの争いに巻き込まれてくるとは、馬鹿な奴でしゅ。まあ、ぼくちん、馬鹿はきらいじゃないでしゅよ?扱いやすいでしゅからね?ひっひっひ」
教祖様くんが気持ちの悪い笑い声をあげているんやで?あの顔を覆い尽くしている布をひっぺ返して、ニヤついているであろう、顔面に右のこぶしをぶち込んでやりたいんやで?
「では、そろそろ、こちらとしても退散させてもらうでしゅ。夜に襲うことだけはしないでやるでしゅ。こちらとしても、暗がりに襲い掛かって、同士討ちとか馬鹿な眼には会いたくないでしゅからね?」
「できるなら、朝も昼も夕方も襲ってこないでほしいもんやで?あと、千歳ちゃんがひとりの時も襲ってきてほしくないとこやで?」
「ぼくちん、婦女子暴行をする趣味はないでしゅ。まあ、ぼくちんの部下が誤って、何かしでかした場合は許してほしいとこでしゅね?」
ほんま、教祖様くんは胸糞悪い奴なんやで?絶対に、ぼっこぼこにしてやるさかいな?覚えておくんやで?