ー旅立ちの章85- 教祖様くんが現れた!やで?
結局、わいの左手の小指の骨が折れてしもうたから、大事を取って、その日の晩は、慶次くんと長寿さまくん、河童くんが見張りをするということで、利家くんとこのボロ小屋で一晩、過ごすことになったんやで?
しっかし、困ったことに布団がふたつしかなかったから、松くんと千歳ちゃんにその布団を譲って、わいと利家くんは雑魚寝なんやで?ちなみに田吾作くんは両腕と左足が折れているけど、念のため、縄で縛って、その辺に転がしておいたんやで?
それから、次の日の朝、わいらは慶次くんに叩き起こされたんやで?
「おい、四たん、それに叔父貴。どうやら、お客様がやってきたみたいだぜ?」
「マジッスか。慶次、相手は何人ッスか?」
「鳩のまるちゃんの話ではざっと10数名と言ったところなんだぜ?武器の類は持っていないようだが、どうするんだぜ?」
「せやなあ。10数名程度で、さらに武器を持っていないようなら、慶次くんひとりでも、全員ぶっ殺せるんやなあ?」
「四さま。武器を持ってないってことは、あちらは戦うつもりはないんじゃないっしー?」
「千歳ちゃん?それはそうかもしれへんけど、用心はしておかなならんのやで?服の下に武器を隠しもっているかもしれへんやで?」
「ご主人さま。ぼくがあいつらが武器を持っているかどうか、匂いでわかるでッチュウ。もし、あいつらと話し合いになるのであれば、ぼくに匂いを嗅がせてほしいでッチュウ!」
「ん?四。ねずみがチュウチュウうるさいッスよ?何か言っているんッスか?」
「ああ、ねずみのこっしろーくんがな?あちら側が武器の類を持っているか、匂いで探ってくれるみたいなんやな?」
「それはありがたい話ッスね。じゃあ、ねずみ、頼んだッスよ?」
「わかったでッチュウ!ぼくに任せてほしいでッチュウ!」
「チュウチュウじゃわからないッスね。四。相手が武器を持っているようであったら、地面をどんどんと2回踏むッス。持っていないなら、指をぱちんと1回はじくッス」
「わかったんやで?じゃあ、敵さんと対峙しましょうか。慶次くんは田吾作くんを担いで外に出てくれやで?まるちゃんは、ボロ小屋の屋根の上で待機や。敵さんに援軍が居ないか、要チェックやで?」
「わかったんだポッポー。もし、援軍が居るようであれば、すぐに教えるんだポッポー!」
「頼んだやで?まるちゃん。さて、河童くんと長寿さまはボロ小屋の中で、松くんを守ってくれやで?」
「フシュルルルー。では、変身を解いておくんだフシュルルルー」
「ケケッ。小屋の中に押し入ってきたやつらの尻小玉を全部、抜き取ってやるんだケケッ!」
「ごめんねー。こんな時に体調を崩しててー。あたしがこんなんじゃなかったら、とっくにここから逃げだせていたのにー」
「松。気にするなッス。おい、そこの大蛇と、河童。松を頼んだッスよ?」
「あれ?僕はどうしたら良いんだっしー?」
「千歳ちゃんは、わいの後ろで立っていてくれやで?そのほうが、わいとしては安心やからな?」
「わかったっしー。僕は四さんたちと同行すれば良いんだっしーね?四さま、僕をしっかり守ってねっしー!」
「任せてくれやで?わいがしっかり守るさかい、側から離れちゃあかんのやで?さて、あちらさんはどうでてくるんかいな?わざわざ10数名も来ているんや」
わいたちはボロ小屋の戸を開けて、敵と対峙するんやで?
あれ?なんや?顔を白い布で隠したやつが1名いるんやで?
「おやおや。田吾作殿は生きていたでしゅか。戻ってこないものだから、殺されたものだと想っていたでしゅよ?」
「きょ、教祖様だぎゃ!なんで、教祖様がここに来ているんだぎゃ!」
な、なんやと!?【神の家】の棟梁である教祖様が直々にやってきたやと!?
「一筋縄ではいかないと想って、ぼくちん自ら出向いてきたのでしゅ。利家殿と言うのはどちらでしゅか?」
「なんッスか?俺に何か用ッスか?仲間をやられたことに腹を立てて、復讐にきたんッスか?」
利家くんが槍を構えて、教祖様と話を始めたんやで?
「いやいや。今日は争いをしにやってきたわけではないでしゅ。話し合いをしにきたのでしゅ」
「ふんっ。何が話し合いッスか。井戸に毒を投げ込もうとしていたやつらが話し合いとは、なかなかにふざけているッスね」
「それはちょっとした行き違いというやつでしゅ。ぼくちん、そんな過激なことをするなと忠告したのが裏目にでたっしゅ。まったく、屋敷の薬置き部屋から、猛毒の瓶が無くなったことに驚いたもんでしゅよ」
「きょ、教祖様。それはあまりにもひどい言い方なんだぎゃ!使うなよ、絶対に使うなでしゅよ!とか言われたら、ニンゲン、使いたくなるものだぎゃ!」
田吾作くん。その気持ちはわかるんやで?ダメよ?絶対に中出しはダメよ?って言われたら、余計に興奮してまうもんな?ニンゲン、絶対にやるなよ?って言われたら、やってしまいたくなるもんなあ?




