ー旅立ちの章83- わいの左手の小指が骨折してしまったんやで!
うぎぎぎ。ぐげげげ。おががが。ああ、わいがわいで無くなる感じがするんやで!?
「やばいんだぜ。四たんが身体に巻かれた縄を引き千切ろうとしているんだぜ!」
「困ったッスね。こんなことになるなら、神社からしめ縄を失敬してきて、それでがんじがらめにしておけば良かったッスね」
「四さま、しっかりしてほしいっしー!無理に動くから、縄がこすれて、擦り傷が出来上がっているんだっしー!」
ああ、千歳ちゃん、逃げてくれやで?このままやと、わい、何をしでかすかわからんのやで!
「おい、慶次。四をぶん殴るッス。気絶させるッス!」
「おう、わかったぜ!四たん、すまないんだぜ。ちょっと、死ぬくらい痛い目にあってもらうんだぜ!」
あかん!死ぬ気で殴ってもうたら、わいの【瀕すれば鈍する】が発動してしまうんやで!こんな、わけのわからん状態で、わいの特殊能力が発動したら、どうなるかわかったもんじゃないんやで!?
「うおおおおらああああだぜえええ!」
うおおお!慶次くんの殺気の籠った右のこぶしが、わいの顔面直撃コースで突っ込んでくるんやで!?わい、こんなもん、まともに喰らったら、死んでしまうんやで!?
わい、暴れて皆を傷つけたくはないけど、死にたくもないんやで?うおおお!燃え上がるんやで!?わいの身体に眠る大宇宙やで!
慶次くんの右こぶしがすっごくのろい動きで、わいの顔面めがけてやってくるんやで?あかん、わいの動きものろいから、今からかわすのは不可能なんやで?
でも、できる限りのことはするんやで?わいは身体に巻かれた縄を引き千切って、慶次くんの右のこぶしを両の手のひらで受け止めるんやで!?
ばっちーーーーーーん!
「いったあああああああああ!わいの左手の小指が曲がってはいけない方向に曲がっているんやで!?」
「おいおいおい。四たんが縄を引き千切ってしまったんだぜ。こりゃ、いったい、どういうことだぜ!?」
「ん?慶次くん、何を驚きの顔をしているんや?いたたたたっ。わい、骨折してもうたんやで!」
「四。自分がしたことに気付いてないんッスか?お前、今、縄を引き千切ったんッスよ?」
「あ、あれ?わい、自分で縄を引き千切ってもうたんかいな?こりゃ、いったい、どういうこっちゃ?」
「それよりも、四さまの顔がいつもの3枚目に戻っているっしー。薬の効果が切れたんだっしー?」
「ああ、千歳ちゃん。言われてみればそうやな?わい、心を取り戻せたようやな?なんや、安心したんやで。わい、もう少しで、皆を殺してしまいそうやったんやで?」
「四が元に戻ったようで安心したッス。しかし、この教祖様の薬ってのは危険ッスね。四が馬鹿力になったッスよ?縄を引き千切るほどの力があれば、俺と慶次はともかくとして、松と千歳さんが危険だったッス」
「ああ、そうなんだぜ。四たん、念のために、千歳さんの身体に触れる前に、馬鹿力が持続してないか、もう一度、縄を引き千切ってみてくれだぜ?」
「そないなこと言われても、わい、左手の小指を骨折してもうて、本気で痛いんや。もう、死にそうなくらいに痛いんや!」
「ケケッ。痛み止めなら、オイラの皿から出るヌルヌルの液体を塗っておくんだケケッ」
河童くん、ありがとうやで?ほんま、河童くんをこのボロ小屋に呼び寄せておいて、正解だったんやで?
とりあえず、河童くんのヌルヌルの液体を布に染み込ませ、小枝を添えて、折れた小指を布でぐるぐる巻きにするんやで?
「これで良しっとっしー。四たん、教祖様の怪しい薬を飲むのは金輪際、禁止なんだっしー」
千歳ちゃん、ありがとうやで?はあああ。河童くんのヌルヌルの液体が皮膚から肉に染み込んでくるんやで?とりあえず、痛みの半分くらいは引いてくれたんやで?
「どうやら、馬鹿力も視たところ、発揮できなくなっているみたいだぜ。でも、四たん、くれぐれも気をつけるんだぜ?」
「わかっているんやで?千歳ちゃんと首絞めイチャイチャをしていて、ぽっきり折ってしまったとかになったら、しゃれにならへんもんなあ?」
「四。ドン引きッス。首絞めイチャイチャは馬鹿力じゃなくても危険ッス」
「冗談やで?わいと千歳ちゃんは、そない変態なイチャイチャには手を染めていないんやで?」
「四さま。いくら親しい仲の慶次くんたちとは言え、イチャイチャのことを言うのは禁止だって言っているっしーーー!」
「す、すまんやで?千歳ちゃん。悪気があって言ったわけちゃうで!?なんていうか、話の流れ的にボケておかなきゃならんかなって、想っただけやで!?」
「知らないっしー!今日から、四さまの左手の小指の骨折が治るまで、イチャイチャは禁止にするっしーーー!」
「そんな殺生やで!そないなことになったら、わいのきんたま、パンパンになって破裂してしまうんやで!」
「うっさいっしー!骨折が治るまで、接吻だけしかしないんだっしーーー!」