ー旅立ちの章79- 田吾作くんに質問を開始するんやで?
両腕と左足をボキッと折られた田吾作くんは、ついに心までボキッと折られたわけやで?
「じゃあ、質問を始めるッス。これは尋問じゃないッス。あくまでも質問ッス?意味はわかるッスよね?」
わいも利家くんの言っている意味がわかっているんやで?応えなかったら、ボコォッ!と一発、腹に蹴りをいれまっせ!ってことやで?
「四。ひと聞きが悪いッスね。ちょっと、槍の穂先でつつくだけッス。深さ5センチメートルほどッスけど」
うわっ。わい、利家くんにドン引きやで?刃物はあかんと想いまっせ?
「話がそれたッスね。じゃあ、質問を開始するッス。お前は誰に頼まれて、井戸に毒を入れようとしていたんッスか?」
「うぎぎぎ。教祖様だぎゃうぎぎぎ」
「教祖さまってのは誰のことッスか?名前を知っているッスか?」
「な、名前はわからないだぎゃ。ほ、本当だぎゃ!本当に教祖様としか教えられていないんだぎゃ!」
おお、おお。利家くんが田吾作くんの左腕の二の腕部分に槍の穂先を突き刺したんやで?いやあ、質問ってのは怖いもんやで?
「そうッスか。嘘は言ってない見たいッスね。じゃあ、次の質問ッス。お前たちの仲間は何人いるッスか?できるだけ正確に応えるッス」
「うぎぎぎ。た、多分、30人くらいだぎゃ」
「30人ッスか?お前たちは【神の家】の組織ッスよね?組織と名乗る以上は、もっと人数が多くてもおかしくないはずッスよ?」
「数年前はもっとたくさんいたんだぎゃ。でも、幸運の壺を売ってやったと言うのに、それをタン壺だと難癖つけてきたやつが居たのだぎゃ。そいつが、八つ当たりで、那古野支部を潰したせいで、脱会者が相次いだんだぎゃ!」
ん?何か、ひっかかることを言うやつなんやで?田吾作くんは。
「ほう。面白いことを言うッスね。ちなみにどこのどいつにお前たちの那古野支部は潰されたんッスか?」
「うぎぎぎ!やめてほしいのだぎゃ!そんなにぐりぐりされたら、死んじゃうだぎゃあああ!」
おお、おお。利家くんが今度は左肩に槍の穂先をぶっ刺して、ぐりぐりと捻っているんやで?ほんま、利家くんは質問攻め上手やで?
「おっと。しまったッス。俺としたことが、力を込めすぎたッス。もう少し、優しく扱うつもりだったのにッス」
「利家くん。あんまりやりすぎると、質問をし終わる前に、田吾作くんが死んでしまうんやで?まあ、質問し終わったら、殺してしまうんやけどな?」
「四はひどいやつッスねえ。まあ、井戸に毒を投げ込んで、無差別殺人を企んでいたやつなんざ、生かしておく理由もないッスけど。さあ、誰に那古野支部を潰されたッスか?」
「こ、楮四十郎と言う男なのだぎゃ。教祖様はその男を危険視しているのだぎゃ!」
「楮四十郎って、わいのことやないか!なんやと?お前らがわいに売ってきた幸運の壺は、タン壺やろが!いい加減にせえや!」
「うぎぎぎ。タン壺ではないのだぎゃうぎぎぎ。あの壺の底は2重底になっているんだぎゃ。その中に教祖様作成の幸運になれる薬が仕込まれているんだぎゃ!」
「な、なんやと!!じゃあ、わいがタン壺とは想わずに、あの壺を水差し用に使っていたら、わいは、その教祖様お手製の幸運になれる薬を飲まされてしまっていた可能性があったってことかいな!?」
「そうだぎゃ。そうとも知らずに四十郎と言う男。ようはお前のことだぎゃ!お前は逆恨みを起こして、【神の家】の那古野支部を潰したんだぎゃ!だから、教祖様は、お前を危険視しているんだぎゃ!」
「おい。四。なんか、お前が全ての元凶のような気がしてきたッス。勘違いで那古野支部を潰すのはダメッスよ」
「そ、そないなこと言われても、わいは何も知らされていなかったんや!てか、そんな怪しげな薬を、相手の同意も無く、飲ませるほうが悪いんとちゃいますの?」
「ちゃんと商品説明はしているのだぎゃ。幸運の壺に入れた水を飲めば、幸せが訪れると宣伝しているんだぎゃ!」
「ま、待ってや?わいがその幸運の壺を買い取ったときは、そんな説明、買い取った奴から一言も聞かされていなかったんやで?」
「それはおかしな話ッスね。四。もしかしてッスけど、【神の家】の組織のしたっぱもしたっぱに売りつけられたんじゃないッスか?そいつが事情もよくわからずに、四に金を手に入れる目的で売っぱらったんじゃないッスか?」
「そ、そうかもしれへんな。庶民も庶民のわいに1貫もの高値で売りつけてきたもんな?田吾作くん、ちなみに【神の家】では、幸運の壺はいくらで売っているんや?」
「うぎぎぎ。1壺50文だぎゃ。庶民相手に1貫で売りつけようにも、売れるわけがないんだぎゃ!」
そういうことかいな。欲に溺れた【神の家】のしたっぱもしたっぱが、詐欺まがいの値段で、わいに売りつけたんかいな。わい、勘違いにつぐ勘違いで【神の家】に喧嘩を売ってもうたんかいな!




